my way of life   作:桜舞

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340話『少し落ち込んでしまった』

〈気にしないで、愛し子。私達は、愛し子にお願いされるの大好きだから〉

〈シルフが素直じゃないだけだから。本当はお願いされたらすぐに駆けつけたいくらい、シルフも愛し子が大好きだから〉

〈あんまり愛し子悲しませると、元素の精霊怒るよシルフ〉

 

スネグーラチカ達が、シルフをジト目で見る。

うっ、とシルフが少したじろいだ。

 

〈だ、だってさぁ…〉

〈だっても何も…シルフ。元素の精霊が少しお怒りですよ。愛し子は、あの娘の子でもあるのです。元素の精霊は、あの娘も愛し子も慈しんでいるのです。そこを理解なさい〉

 

また何もない空中から水球が現れ、人の形を成していく。

大精霊ウンディーネが、シルフを嗜めるために来たのだろう。

だが、姿を現した瞬間圧が凄すぎて、僕は意識を飛ばしかけた。

 

「アオ?!」

 

ふらついた僕をユエが支えてくれる。

感謝を述べようと口を開きかけるが、バタバタと人が倒れる音がして、僕はそちらを振り向いた。

 

「ユタカ!!」

 

気を失ったユタカを抱き抱え、シンクが少し慌てている。

その隣にはツルギがうつ伏せで倒れていた。

二人とも、大精霊の圧に耐えられなかったのだろう。

 

「…ユエ、平気?」

 

僕を支えてくれている彼女に声をかける。

ユエは僕を見上げ、少し苦笑した。

 

「え、あ、うん。少し頭がぼーっとするけど、倒れる程じゃないかな。それより、アオ大丈夫?」

「…何とか…あともう一体来たら、ユタカ達と同じく倒れるとは思うけど…」

 

本当、少しその体質を分けて欲しいよシャナ。

大精霊に囲まれても、ニコニコ笑って立っていられるんだから。

 

「ありがと、スネグーラチカ、ウンディーネ。でも、シルフの言い分も最もだし。あんまり、みんなに頼りすぎるのもダメだよね」

 

シャナがそう言うと、四体の大精霊はシルフを見る。

何とかしろとでも言いたげだ。

 

〈う…〉

〈やはり、エアリアルと交代させた方が良い。シャナを悲しませるなど、精霊の風上にもおけん。シャナは我々の大事な愛し子。彼女の頼みは、我らの至高。それを無下にするなど…〉

 

バリバリと紫の雷光が走り、ヴォルトが姿を現す。

シャナの事が大好きな彼からしたら、シルフの言い分は許容出来ないものなのだろう。

だが、僕は先程も言った通りあともう一体大精霊が来たら、意識を保っていられる自信が無かったので…素直に気絶した。

 

◆◆◆

 

「おーい、グンジョー。大丈夫ー?」

 

ペチペチと軽く頬を叩かれ、目を開ける。

シャナが少し心配そうに、僕を覗き込んでいた。

頭の下の柔らかい感触と姉の顔が近い事から、膝枕されているらしい。

 

「シャナ…大精霊達は?」

「帰ったよ。とりあえず、グンジョウが気絶した後ミラ様以外の大精霊がみんな来ちゃってね。シルフに対して説教大会。ユエちゃんとシンクも、グンジョウと同じく気絶しちゃったから、あっちの方で寝かせてる」

 

シャナが指差した先に顔を向けると、川の字状態で四人が寝かせられていた。

僕は起き上がり、姉の頭を撫でる。

 

「…大丈夫?」

「大丈夫だよ。シルフからもごめんって謝られたし。本当に素直じゃないねー。みんなからも、遠慮せずに呼んでってお願いされちゃった。どんなにくだらない用事だったとしても、あたしに頼られるの凄く嬉しいんだって。なんか、励まされちゃった」

 

たはは、なんてシャナは苦笑いを浮かべた。

 

姉は母様に似て、慈愛がある人だ。

僕らも精霊も、等しく大好きなんだろう。

だから、シルフの言い分に少し落ち込んでしまったのだ。

嫌がられてたんだな、なんて思ったに違いない。

 

「あれは、シルフが悪かったんじゃないかなって思うよ」

「ありがと、グンジョウ。あたしはもう大丈夫だから。さて、みんなを起こそうか」

 

シャナが立ち上がり、みんなを起こしにかかる。

僕も手伝い、全員が意識を取り戻した後、当初の目的通り下へと降っていく。

 

暫くして、最下層にあるミラ様の居住区に到着した。

居住区と言っても、あるのは大きな岩と地底湖のみだが。

 

「ミラ様ー!」

 

地底湖の真ん中に大きな岩があり、そこに続く一本道を歩きながら、シャナが手を振る。

フワフワとその麓で漂っていたミラ様が、僕らに気付いた。

 

〈シャナ。ここまで来るとは珍しいな。言ってくれれば私から出向いたのに〉

 

フワリとミラ様はシャナの所まで来て、姉を抱きしめる。

僕らが小さい頃にここへ来た時も、ミラ様はそうやってシャナを抱きしめたっけな。

 

〈グンジョウも来ていたか。おいで、抱っこしてやろう〉

「あの、ミラ様…結構背も大きくなったので…小さい子供扱いはやめていただけると…」

 

小さい時分ならまだしも、今は精神的にも身体的にも成長している。

まだ未成年とはいえ、子供扱いは本当にやめていただきたい。

 

〈お前は幾つになっても、小さい子供さ。私にとっても、シャルにとってもな〉

「いや、それはそうなんですけど…ミラ様と僕の体格からして、むしろ僕がミラ様を抱えられると言いますか…」

 

おいで、と手を広げるミラ様に苦言を呈す。

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