my way of life   作:桜舞

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344話『ミラ様に嫉妬してどうすんの』

「う…ごめんなさい…」

 

自分の暴挙が分かっていたのか、ユエが素直に謝ってくる。

因みに今部屋の中にいるのは僕とユエのみだ。

他のメンバーは、なかなか入れないエルフの里で土産物を買うために出ている。

 

シャナのコミュニケーション能力があれば、エルフ達も普通に話してくれるだろうとの目論見だ。

しかも、姉は精霊の愛し子だから無碍にも出来ない。

僕ら以上に、エルフは精霊と共存しているのだから。

精霊の不況を買う事はしないだろう。

 

「ミラ様に嫉妬してどうすんの。創世の頃からいらっしゃる精霊の王が、赤子同然の僕に懸想なんてするわけないだろ。さっきミラ様も言った通り、僕はシャナの弟で母様の息子だから、良くして下さってるだけだよ。じゃなきゃ、僕みたいに何も持ってない奴がミラ様に謁見出来るわけないだろ」

 

ベッドに座り肩を竦めながら言うと、ユエが驚いた顔をする。

 

「そんな事…! アオは何も持っていないわけないじゃない…っ!!」

「持ってないんだよ、それ以外。ねぇ、ユエ? 僕が王子じゃなくても、こんな見た目じゃなくても、好きになってた?」

 

当たり前だ、と彼女は返してきた。

 

「私は、アオが王子だからとか、見た目が格好良いからとか、そんなもので貴方に惹かれたんじゃない! 私は貴方の心が、精神が、とても真っ直ぐで優しいから、そこに惹かれたの! 貴方が何も持っていないなんて、そんなの嘘だよ。もし、何も持ってなくてミラ様に会いたいって言ったとしても、ミラ様は会ってくれるよ。だって、アオはとても心が綺麗なんだから」

「あー…うん。ありがとう、ユエ」

 

煩悩まみれの僕の心が、綺麗、ねぇ…。

真っ直ぐで優しいかな…捻くれている自信しかないのだけど。

 

僕はユエを手招きで呼び、足の間に座らせて後ろから抱きしめる。

ここに一泊したら城に帰る予定ではあるんだけど、もう何泊かしたいなぁ…。

 

「ユエとイチャつきたい…」

「もうしてると思うんだけど…」

 

彼女の肩に頭を乗せながら呟くと、苦笑される。

 

「そうだけどさぁ…」

 

少し不満げに僕は言う。

そんな僕の頭を、ユエは撫でた。

 

「冬休みになったら、二人でゆっくり過ごそ? あ、お風呂も一緒に入ってもらうからね?! もうそろそろ高等部卒業するんだから!」

 

ツンツンと僕の頭をつつき始めたユエに、今度は僕が苦笑する。

 

「はいはい…仰せのままに、僕の姫。でも体の関係はまだ先だからな?」

「分かってますー!」

 

少し顔を上げると、プクッと彼女は頬を膨らませていた。

本当に分かってるのかな、こいつ…。

 

「グンジョウ、入っても大丈夫?」

 

コンコンと扉をノックされ、シャナの声が聞こえてきた。

どうせユエとイチャついているだろう、と察した姉もなかなかではある。

流石姉さんその通り。

 

ユエを立たせ、僕も立ち上がりドアを開ける。

 

「待たせてごめん、シャナ。何か収穫あった?」

「へへ。見てこれ! ツルギ君とお揃い!」

 

シャナが差し出した指に、指輪が嵌っている。

右手だったけれど、百合の花をモチーフにしたシルバーリングで、シャナに似合っていた。

 

「良かったね。なんで右手?」

「婚約の証だって。左手は結婚だってツルギ君言ってた。えへへ、かなり嬉しい」

 

それを聞いたユエが、自分の左手から指輪を外して右に付け直しをしている。

まぁ、結婚指輪つける時に外してもらう事になるな、とは思っていたから丁度良いけれど。

 

僕も指輪を外し、右に付け直す。

 

「他には何か買ってきたの?」

「えっと、母様にハーブティーでしょ、父様にはエルフの里にある木で作られた万年筆、リーゼにはバレッタ、アンナにはパズル、ラゼッタにはチョコ!」

 

家族全員分買うとか…本当僕らの事大好きだな、シャナは。

そっか、と僕は言い、姉の頭を撫でた。

 

「ユタカちゃんも、自分の家族用に何買うか悩んでて。ユエちゃんにも手伝って欲しいって事で、呼びに来たんだけど…」

「わかった。ありがとうシャナちゃん。でも、アオと二人だからって変な事しないでね?」

 

誰がするんだ馬鹿。

早よ行けと、僕は彼女の頭を軽く叩く。

途端シャナから怒られたが。

 

「彼女に手を上げるんじゃありません! そんな乱暴な子に育てた覚えはないよ、グンジョウ!」

「そんなに強く叩いてねぇよ。ユエがアホな事抜かすからだろ。彼女はもう家族なんだから、ツッコミ入れただけ」

 

それを聞き、ユエの顔が真っ赤に染まる。

行ってくると、彼女は駆け出して行った。

 

「…嬉しそうだったね、ユエちゃん」

「義妹になるんだから可愛がってあげなよ、姉さん?」

 

あたしはいつも可愛がってるもん、なんてシャナは言う。

 

可愛がってると言うか、シャナのフィジカルディスタンスが近過ぎるので、勘違いする輩が発生するんだけど。

まぁ、ユエとかユタカに対して可愛がってると言うなら、その通りなのだろう。

 

「じゃあ、僕もみんなに何か買って帰るか…」

 

そういえばアラスターとか、埋め合わせするって言って何もしてなかったな…。

ここの土産買って渡そう…。

あとはエミル君と、ついでにツェリにも買って土産送って貰おうかな…。

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