my way of life   作:桜舞

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349話『楽しそうにワルツを踊っていた』

でも、ユエの胸柔らかかったな…。

ヤバい、思い出したら…。

 

「ごめんユエ、先に上がるね」

 

少し慌てて風呂から上がり、諸々やって鎮めてから部屋に戻る。

ソファーに座り、背もたれに頭を乗せてちょっとグッタリしているユエが目に入った。

 

「ユエ? 大丈夫?」

「大丈夫…のぼせただけ…」

 

髪を乾かす余裕もないのだろう、ポタポタとソファーから雫が垂れ落ちている。

僕は脱衣所にある洗面台からドライヤーを持ってきて、コンセントに差した後起動し、ユエの髪を乾かし始めた。

 

「アオ…あとで自分でやるから…」

「いつも僕に風邪引くって言ってるのは誰だい? これくらい苦ではないから。知ってるだろ?」

 

ドライヤーの温風でユエの髪が乾き始める。

サラサラとした彼女の髪が、風で宙に舞った。

ヘアオイルがないので、後でシャナの部屋からくすねて来ようかな、なんて思う。

 

「アオの手、大きいね。少しくすぐったいかな」

「男ですから。君の手は華奢だから、握ったらすぐ折れそうだなって怖くなる時はあるよ」

 

そこまで華奢じゃないよ、と彼女は笑った。

そう思ってしまう程、君の事が愛おしいって話なんだけどな。

 

ある程度乾いたので、一回ドライヤーを仕舞い、部屋を出ようとする。

 

「アオ、どこ行くの?」

「シャナの部屋。ヘアオイル持ってきてないだろ、ユエ?」

 

持ってきてるよと言われたので、僕は部屋の中にUターンして戻った。

彼女が持ってきたヘアオイルを使って髪質を整えながら、また髪を乾かし始める。

昨日ユエが使ってたヘアゴムで彼女の髪を結い上げ、ついでに僕が使っている香水を彼女に一吹きした。

 

「…アオの匂いだ…」

 

自分の服についた香水の匂いを嗅ぎ、ユエが嬉しそうに笑う。

 

「僕のっていうより、香水の匂いだけどね」

 

ドライヤーを片付け、僕は自分の勉強机の引き出しから包みを取り出した。

ユエの方へ向き直り、彼女に言う。

 

「ユエ、手を出して」

「? こう?」

 

両手を出した彼女の手に、包みを乗せた。

僕と包みを交互に見た後、ユエは首を傾げる。

これが何なのか、少し疑問に思ってるみたいだ。

 

「欲しいって言ってたろ? プレゼントするよ。開けてごらん」

 

ユエが包みを開けると、僕が使っている香水が出てくる。

彼女は目を丸くし、次いで花が開いたように微笑んだ。

 

「嬉しい…! ありがとう、アオ!」

「どういたしまして。ユエ、キスして良い?」

 

僕がそう聞くと、彼女はコクリと頷く。

少し身を屈めてユエの唇を奪った。

 

何回彼女とキスをしただろうか?

多分、数え切れないくらいだろうけど。

愛おしい、僕だけのユエ。

好きだ、愛してる。

 

キスを深くすると、彼女は僕の首に腕を回して抱きついてきた。

珍しいと思いつつ続けていると、ユエからストップが入る。

名残惜しげに唇を離し、僕は彼女に微笑んだ。

 

「ユエ、少し散歩しない? まぁ、昼食食べてからだけど」

 

自室に置かれている時計を見るともうそろそろ正午で、僕は彼女に提案する。

執務が終わったのが午前三時ぐらいで、そこから寝て多分お風呂入ったのが十時くらいだから…朝食食べ損ねたな…まぁ良いか。

 

「…うん」

 

ユエは顔を赤らめながら頷く。

とても可愛い彼女から体を離し、手を差し出すとその手をユエは取ってくれた。

 

「行こうか、ユエ」

 

声をかけると彼女はまた頷き、僕を見て微笑む。

 

「大好き、アオ」

 

僕も、と彼女に言葉を返した。

 

◆◆◆

 

昼食を食べ、城の中をユエと手を繋ぎながら散歩する。

道中メイドや親衛隊とすれ違ったが、皆僕らに会釈をして通り過ぎていった。

それが日常だし、この日常を守らなければと常に僕は思っていた。

 

ダンスホールに差し掛かると中から音がして、僕は扉を少しだけ開ける。

シャナとツルギが、二人きりで楽しそうにワルツを踊っていた。

 

「…ツルギ、踊れるようになってたんだな…」

「去年なんて散々だったって聞いたよ。何だっけ、シャナちゃんの足踏んだんだっけ?」

 

ユエも二人の様子を見て、クスクス笑い出す。

確かに、ツルギのダンスの練習に付き合った事があったが、ステップ間違えるわ足踏まれそうになるわで、僕の回避スキルがなかったら何回足を怪我していたかわからない。

 

「それは一昨年だったかな。練習のためにシャナが相手してたんだけど、足踏みまくってうちの姉涙目だったんだよね。それで次からは僕が相手してた。僕がいない時も自分で練習してたんだね、きっと」

 

コソコソ話していたんだけどシャナには聞こえていたようで、動きが止まる。

 

「こら、そこ。見るならちゃんと見なさい」

 

僕らを指差し、シャナは少しムッとしていた。

扉を開けて、僕は苦笑する。

 

「ごめん姉さん。ツルギの上達ぶりに驚いてたんだよ」

「ふふん、凄いでしょ! あたしも驚いてるんだけど!」

 

じゃあなんでそんな鼻高々で話すんだよ、お前。

 

呆れた目線を姉に投げていると、ツルギが少し困ったように笑った。

 

「流石に騎士団に入ったら、別の令嬢とダンスする機会があるでしょうし…それに、俺はシャナの婚約者…候補ですし。彼女に恥はかかせたく、ありませんから…」

 

候補じゃなくて婚約者だと、姉は言う。

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