my way of life   作:桜舞

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351話『今プロポーズされたの!』

「シャナちゃんが傍からいなくなっても、私はずっとアオと一緒にいるよ」

「……あぁ、うん…そうだね。君はずっと、僕と共に歩んでくれるんだから。君を蔑ろにしたつもりはないんだけど、ごめんねユエ。僕の傍にいてくれてありがとう。愛してるよ」

 

彼女を抱きしめると、ふふ、と嬉しそうに笑って抱き返してくれた。

 

◆◆◆

 

またユエと散歩を続けていると、化け桜の所にシンクとユタカがいる事に気付く。

ユタカを抱き上げ、シンクは幸せそうに微笑んでいた。

 

「……邪魔しちゃ悪いから、退散しようかユエ」

「そうだね」

 

その場から立ち去ろうとしたのだが、ユタカが僕らに気付いて声をかけてくる。

 

「あ、ユエ! グンちゃーん!」

「…一歩遅かったみたいだね…」

 

大きく手を振るユタカと、僕らを見て眉を寄せるシンク。

弟からは、空気読めよ、とひしひし感じられて大変申し訳ないと思ってしまう。

 

ユタカから見つかってしまった以上無視するわけにもいかず、僕らは二人に歩み寄った。

 

「何してんの、ユタカ? あ、いや、愚問だった。シンクとイチャついてたんなら、なんで私達引き止めたの。スルーすれば良かったのに」

 

ユエが僕と手を繋ぎながら、呆れた目を自分の姉に向ける。

しかしユタカは、ふふふ、と楽しそうに笑った。

 

「シンクからね、今プロポーズされたの!」

「今? 遅くね?」

 

弟を見ると、ギロリと睨まれる。

遅くなったのにも何か理由があるんだろう。

ごめん。

 

「うん。それで幸せのお裾分けって事で、呼び止めたわけか…ユタカあんたさ…」

 

ユエが少し、頭が痛そうにそこを押さえる。

不思議そうに、ユタカは首を傾げていた。

 

「どうかしたの?」

「シンクの気持ちも考えてやりなさいよ」

 

更に首を傾げるユタカを見つつ、ユエはシンクに姉を降ろすよう告げる。

降ろした直後、ユエはユタカの腕を引っ張り、僕らに声が届かない所まで連れて行った。

 

「…で、なんて言ったんだよ」

 

二人の様子を見つつ、僕は弟に尋ねる。

 

「……俺が絶対ユタカを幸せにするから、貴女の将来を俺にくれませんか。俺と一緒に、この先もずっといてくれませんかって」

 

何ともまぁ、格好良いプロポーズだな、おい。

それにイエスとユタカは答えたんだろうけど。

 

「…邪魔して悪かったな。ワザとじゃないんだけど」

「分かってる。本当なら、結構高めのホテルのレストラン予約してやりたかったんだけど、まだ学生だし。貰ってる小遣いをこれからの生活の基盤にしたいし。あんま無駄遣い出来ねぇな、って思ってここでユタカにプロポーズしたんだ」

 

寮生活は高等部生まで。

それ以上になると自分で家を探すか、貴族とかなら学園都市にタウンハウスとかを建てて、そこから通学するかなんだけど。

シンクは何処かを借りて、ユタカと一緒に住むつもりなんだろう。

確かに、大学へ行くための金はかからないとは言え、生活費はかかるわけで。

 

「ちゃんと考えてるんだな、お前」

「じゃなかったら生活出来ねぇだろ。それより、お前はユエと結婚した後どうすんだよ」

 

シンクの問いかけに、僕は弟をチラリと見た後軽くため息をついた。

 

「どうするも何も、王太子として王の仕事の補佐に就くだけだよ。父様の仕事を覚えないと、引き継げないじゃないか」

「それもそうだけど、あんま寂しい思いさせんなよ。ユタカの妹なんだから」

 

分かっているつもりだと、僕は弟に返事をしてユエとユタカを見る。

ユエから何か言われたのだろうユタカは、アワアワしながらシンクをチラチラ見ていた。

 

「…あれ、なんだと思う?」

 

見られているシンクは、何故ユタカが慌てているのか理解出来ていないようで、不思議そうに二人を眺めている。

 

「大方ユエが、僕らを呼び止めた時にシンクが感じてた感情やら何やらを、自分の経験も交えて説明したからじゃないかなとは思ってる。憶測で話をしてるとは思うけど」

「…あー…別に、今は気にしてねぇんだけどな」

 

邪魔されたとは思っただろうけど、ユタカの性格上そういう行動をするだろうな、とは納得しただけに、怒りは抱いていないのだろう。

ユエは同じ状況になったら、滅茶苦茶怒るだろうけど。

 

「シ、シンク、ごめんね!!」

 

ユタカが謝りながらこちらに走ってくる。

コケる事もなく、ポスンと弟の腕の中に収まった。

 

「気にしてねぇよ。ユエ、あんま脅すな」

「私は、こういう状況で相手がどう思うか、って話をしただけ。ユタカはアホだけど、そこはちゃんとわかってるはずだから」

 

誰がアホか、とユタカから抗議の声が上がる。

そんな彼女の頭を、弟は撫でて宥めていた。

ユタカが愛おしいと、その目は語っている。

 

シャナもだけど、シンクも幸せになってほしいな、なんて思った。

 

「ユエ、もう行こうか」

「何処か行くの、グンちゃん?」

 

これ以上邪魔をするのもな、と思った僕は、ユエに声をかける。

弟の腕の中で、ユタカが僕へ問いかけてきた。

 

「アテもなく歩いてるだけだよ。君達もだけど、恋人と過ごす時間っていうのは、とても貴重だろ?」

 

逆に問うと、二人とも頷く。

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