my way of life   作:桜舞

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354話『生きて帰るぞ!!』

シルフ2の月。

僕らはおばさんから作ってもらった魔術礼装を身に纏い、城の敷地内に建てられたゲートの前に立っていた。

 

「なんか、学生服みたい」

 

僕らが通っている学園の制服とは違うブレザーを着たユエが、ポツリと呟く。

 

「まぁ、明らかな戦闘服よかは、こっちの方が油断を誘えるっちゃ誘えるだろうが」

「スカートの中にスパッツも履いてるから、回避行動しても中は見えないし、安心しなよユエ」

 

シンクもなんで制服なんだと首を傾げ、ユタカの言葉へ別にそこは心配していないと、ユエは反論していた。

 

「防刃、防魔、ありとあらゆる攻撃を通さない服って話らしいよね。魔力なくても、ちゃんと結界も障壁も張れるんだって」

「ついでに、一回だけ…相手を拘束するための呪い付きらしいです。これは、王妃様考案だとか…」

 

魔術礼装に着替え終わったシャナとツルギも、ゲート前にやってくる。

これで、パーティメンバー全員が揃った。

おばさんやルカさんが開いてくれたゲートを、僕は睨む。

 

魔王を打ち倒せば、この戦いも終わる。

あいつは、別に世界征服とかを企んでいるわけではないと思う。

だが、僕の家族に、僕の大切な人達に手をかけるというのなら、僕はそれを許す事は出来ない。

 

やられる前にやれ、とはおばさんの言葉でもあるし。

 

「グンジョウ」

 

僕らの見送りに、父様や母様、カヅキおばさんが来てくれた。

僕はそちらに振り返り、頭を下げる。

 

「…では、行って参ります。父上、母上、先生」

「グンジョウ。一つだけお願いがあります」

 

母様からそう言われ、顔を上げた。

真剣な表情の母に、何でしょうと返す。

 

「もし魔槍を見つけたのなら、破壊してきて頂戴。それが、あたしが動けない理由だから。呪いが解除され次第、あたしも突入します」

 

父様とカヅキおばさんが驚いた声を上げて、母様を止めにかかった。

だが母様は、毅然と二人に言い放つ。

 

「自分が戦えるのに指を咥えて待っているなど、あたしは出来ません。この子達が魔王と戦っている最中、もしくは終わった後の救護を、誰が行えると? 残党がいた場合の対処は? カヅキ、ナズナ。あなた方には行えないでしょう? あたしは王妃である以前に、ヒーラーです。この国の守護者です。それに、あたしには頼りになる使い魔が二体いる。あたしを出陣させない理由がただ心配だと、それだけの理由なら引き止めないでください」

 

しかしだな、とカヅキおばさんが言葉を紡ぐ。

 

「お前、血が大量に出た後に魔力を行使する事になるんだぞ。それがどれほど寿命を縮めるか、分からないわけじゃないだろう? そんな状態で、お前を戦場に送り出せるか! 行くなら私が行く…!」

「あら。なら、エスコートをお願いするわ。それなら、貴女の心配も一つ減るのではなくて? カヅキ?」

 

母様が優雅に微笑む。

チッ、とおばさんは一つ舌打ちをした。

おばさんの監視下におけば、母様も無茶は出来ないだろう。

無茶をした所でフォローも出来る。

 

幼い頃からお互いを見知っているからこそ、そして母様を敬愛しているからこそ、おばさんは母様からのお願いを断れないのだ。

 

「…本当に、俺の女は無茶をしたがる…。グンジョウ。何なら槍は持って帰ってこい。こちらで破壊すればいい。シャルはたまに戦闘狂になる時があるからな。体を動かしたくて仕方ないのだろう」

「ちょっと、あなた? あたしをバーサーカーか何かだと思ってらっしゃるの? 酷いわ」

 

ぷくー、と頬を膨らませ、母様は父様に抗議する。

そんな両親を見て、緊張感がないなぁ、と僕は苦笑いした。

 

「グンジョウ、気楽に行こ?」

「そうだぜ、兄ちゃん。緊張してたら体の動き鈍るぜ?」

 

僕の両サイドから姉弟が声をかけてくる。

シャナは僕の背に手を添え、シンクは僕の肩に腕を回しながら。

 

「…全く、いつも通りだなこれ…よし!」

 

僕は自分の両頬を叩く。

緊張を解してくれた両親にも、僕の姉弟にも感謝をしつつ、気合いを入れるために。

 

「じゃあ、行ってきます! 父様、母様、カヅキおばさん! みんな、生きて帰るぞ!!」

 

おー!!

と僕の声に皆が応えてくれ、僕らはゲートを潜った。

 

◆◆◆

 

ゲートを潜った先、何処かの部屋に出たようだ。

しかし部屋の中が暗く、みんながいる事は気配でしかわからない。

 

(レイ)

 

シャナが光魔法を唱え、光源を頭上に出してくれる。

その場所を確認した瞬間、シンクが呟いた。

 

「……成程、そういう事か。流石カヅキおばさん。座標はちゃんと確認してあったわけだ」

「シンク?」

 

ユタカが心配そうに、シンクの腕に触れる。

そんな彼女を見つつ、弟は苦笑した。

 

「ここ、俺の部屋。幽閉されてた時の。あの時、魔王がこちら側のリューネにいるとは思ってなかっただろうけど、もし俺がこちら側に戻りたいと言った時用に、座標だけは残してたんだろうさ」

「いつもこんなに暗いのか?」

 

僕は部屋の中を見回す。

部屋の窓には鉄格子が嵌められ、簡単には抜け出せないようになっていた。

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