my way of life   作:桜舞

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355話『少々様子が違う』

ベッドも王族の部屋なのにシングルサイズ。

 

今は夜なのだろうか?

窓の外は暗く、何も見えない。

 

「まぁな。夜になったら何も見えねぇから、シャナみたく(レイ)を使って生活してたよ。俺の部屋だけだけどな、光原ないの」

 

ユタカの頭を撫で、シンクは部屋の外に通じる扉に近寄った。

僕はそれに待ったをかける。

 

「シンク、開けたら敵が待ち構えている可能性もある。ツルギ、代わりに開けろ」

 

僕の指示通り、ツルギが扉を少し開けて廊下の様子を確認した。

そしてすぐに扉を閉じる。

 

「どうした?」

「…殿下。廊下に敵影はありませんが…あちらのリヒト城と、少々様子が違うみたいです」

 

様子が違う?

一体どういう事だ?

 

ツルギを先頭に、僕らは廊下に出る。

すぐに、彼が言っていた事が理解出来た。

 

「なんだここ…」

 

元の世界のリヒト城にある僕の部屋は、結構奥まった所の角部屋で、部屋を出るとまっすぐな廊下が見えるはずなのだ。

そのすぐ側には、シャナの部屋がある。

シンクの部屋もそうだったとは思うのだが、目の前に広がる光景は、全く違うもので。

ダンスホールかと思われるくらい広い空間が、鎮座していた。

 

「へー…部屋の外こうなってたんだー…」

 

部屋から一歩も出た事がないシンクが、物珍しげに周囲を見渡す。

 

「いや、そんなわけなくない?! 普通に空間捻じ曲がってるんだけど?! これもこっちのあたしの仕業か…構造自体はあたし達の所と一緒だから、簡単に辿り着けないようにって事なんだろうけど…趣味悪、性格悪!! そんなんだから、意中の相手にも見向きされなかったんじゃないの?!」

 

シャナが激怒しながら壁を蹴った。

 

いや、そんな姿見せてツルギにドン引きされないのかな、うちの姉さん…。

それに、あのシャナに意中の相手なんていたのだろうか?

 

まぁ、いたとしてもシャナの言う通り、あの性格じゃ相手にもされないだろうけど。

見てくれだけしか良くないわけだし。

 

なんて思いながらツルギを見るが、シンクと同様物珍しげに辺りを見回していて、シャナの奇行に気付いていないようだった。

 

「シャナ、落ち着け。マッピング出来そうか?」

「…ごめん、落ち着く。出来るよ。あたしは母様の娘だ。リューネの守護者、シャルロット・マリアライト・ブリリアントの第一子だ。こんな異空間、何するものぞ!!」

 

シャナが片手を上げ、魔力を迸らせる。

それが、廊下を物凄いスピードで走って行った。

もう片方の手を上げ、シャナはマップを表示させる。

 

姉が作成したマップを見て、僕は眉を顰めた。

 

「なんだ、この複雑な構造…」

 

縦横無尽に廊下や部屋が広がり、巨大な迷路のようになっている。

マッピングしてもらえなければ、どれほどの時間が掛かっていたことやら…。

 

「空間歪曲しまくってんな、これ。三階のものも、地下のものも、全部同じ空間に引っ張り出してやがる。まぁ、どこに魔王がいるか、あれがいるかわかんねぇから、片っ端から開けていくしかねぇんだけど」

 

マップを見つつ、シンクが言う。

途中罠もあるだろうから、そこは気をつけなければならないだろうが。

 

「大丈夫だよシンク。開けた先に罠があっても、時を止めて排除するから。全体構造も把握した。ふふん、第一王女舐めんじゃないわよ…!」

 

シャナがニヤリと笑う。

本当にうちの姉は、弟妹の事になると張り切りすぎるというか何というか。

それがありがたい時もあるんだけど。

今はあんまり調子に乗らない方がいいと思うのだが。

 

「シャナちゃん、それ私にも共有して。罠があった場合、屋外に転移させるから」

「あ、私も! 影に沈めて消すよ!」

 

ユエとユタカが、シャナと手を繋ぎ意識を共有していく。

僕ら男性陣は、その間周囲の警戒をしていた。

 

「うちの奥さん達、本当に頼りなるよな。シンク?」

「本当にな。可愛いし、芯が強いし。そんな女を嫁に貰えるなんて、幸運以外の何者でもないよな。な、ツルギ?」

「え、あ、はい…。シャナは、とても美しくて…俺には、勿体無いです…」

 

僕らはそう言いつつ、ホールに続く廊下から現れた魔獣を掃討する。

今の女性陣に近づけさせてはならないから。

 

シンクの無属性魔法で牽制し、僕とツルギが魔獣を屠っていく。

 

「普通に魔獣は闊歩してるわけだ…あんまり無駄な戦闘はしたくないんだけどな」

 

ブランシュとノワールを、腰に履いた鞘に仕舞いながら呟いた。

意識の共有が終わったようで、ユエが隣に来て僕の腕を軽く叩く。

なんだとそちらを見ると、彼女は少し頬を染めていた。

 

「敵地なのに、あんまり照れるような事言わないで…気が抜ける」

「じゃあ、帰ったら目一杯口説くから覚悟しててね、ユエ。みんな、陣形を組め! 行くぞ!!」

 

僕の号令に皆は頷き、いつものフォーメーションで進み始めた。

 

◆◆◆

 

扉を一つ一つ開ける、という事をシンクがアンナとスイカ君から貰ってきた人形で行う。

いつの間にとも思ったが捜索のスピードが上がったので、シンクナイスと思った。

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