「テメェの属性は、もう解析済みなんだよ! 通常の人間なら、反対属性ぶつけられた所で少しのダメージを負うぐらいで済むが…そのキメラ体じゃあ、諸に受けるだろ!!
土属性魔法の大規模魔法、砂嵐をシンクは発生させた。
その中に岩石も見え、テレジアの体を削っていく。
しかし、奴は余裕そうな高笑いを上げた。
〈ククク…ふははははっ!! 効かぬ! 効かぬわ!! この体は、私の研究の成果!! 人間では成し得ぬ強靭な肉体! それに付随する再生能力!! 如何な攻撃も矮小たるもの! あとは見た目をどうするかが研究課題ではありますが…〉
「へぇー…なら、私の魔武器と相性良さそうだねぇ…」
シャナの
ユタカはその魔武器を振るうと、
「喰らい尽くせ!! ヴェディオヴィス!!」
魔武器の名を叫んだ。
ユタカの魔武器がその形状を変え、テレジアが出した触手に匹敵するくらい、剣の根本から何本も触手を出し、奴を絡め取っていく。
〈それしきの事で……っ…?!〉
「徐々に力が入らなくなってきてるでしょ、テレジア。私の魔武器、ヴェディオヴィスは魔力だけで無く生命力も奪う代物。普段は剣として扱うけど、本来の姿はこっち。あぁ、足掻いたって無駄だよ。身体中に刺さった棘は、返しが付いてるからね。それが無数。いくら、強靭な肉体と再生能力があるからって、痛くないわけじゃないもんね?」
彼女が、自身の魔武器の説明をテレジアにしてやっている中、僕は内心引き攣り笑いをした。
エッぐ!!
ユタカの魔武器エグい!!
え、これシンク知ってたのか?!
僕は弟の方を振り向く。
砂嵐の発動を止めたシンクも、僕同様顔が若干引き攣っていた。
知らなかったようで、夫婦喧嘩であれ使われたら勝てないなぁ、なんて思っていそうだ。
〈だ、だとしても…っ! 今の私は人間を超えた存在!! 魔力も生命力も、その身には余る代物だろう?!〉
「え? うん、そうだね。でも、私が全部受け止めてるなんて…誰が言ったのかなぁ?」
シャナが何か動作しているのを、目の端で見えた僕は姉の方を見る。
自分の収納空間からカートリッジを取り出し、瞬時に魔力を込めて収納空間に放り入れる、なんて事を延々と繰り返していた。
「…シャナ? 何してんの?」
一応、ここ敵地なわけで。
今はカートリッジを作成している場合ではないんだけど…。
「ユタカちゃんとリンク繋いで、アレの生命力を魔力に変換して、カートリッジに入れてるだけ。いや、ユタカちゃんに念話でそれ提案された時は、なんて凄い事考えるんだろうって思ったけどさ。しかも生命力を魔力に変換してるの、ユタカちゃんだし」
「俺の嫁、凄ぇな…。あ、シャナ。それ何個かくれ。爆弾にしてコイツらに配るから」
まだ戦闘終わってないんだけどな、お前ら…。
シンクは宣言通り、シャナから渡されたカートリッジに古代語で文字を刻み、僕らに渡してくる。
使い方は事前に教えてもらってあるから、誤爆する事はない。
〈ぐぅ……くそ……っ……離せ…っ!! 離せぇぇ……っ!!〉
「言われて、はいそうですか、なんて離すと思う? それにね、テレジア。私は立花夏月の娘なんだよ? 仕えるべき主の害になるのなら、粛清するのが立花だ。立花夏月と相対していながら、それも見抜けなかったの? だから、テスタロッサ卿の足元にも及ばなかったんだよ、貴方は」
ハッ、とユタカにしては珍しく、相手を馬鹿にしたような笑い方をした。
それに激昂したのか、テレジアがその巨躯を動かす。
〈き、貴様ぁ…っ!! 立花の小娘みたいに、礼儀というものを弁えておらんとは…っ!!〉
「相手と場所によるって、聞いた事ないかな? 私にとって、貴方は礼儀を尽くすべき相手ではない。テレジア。貴方はグンジョウ王太子殿下、並びにリューネ王家を敵に回した。だから」
ユタカは魔武器の柄を持ち上げた。
そしてそれを、ブンッ、とフルスイングする。
「とっとと死に晒せ!! この⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎野郎!!」
彼女の魔武器に絡め取られたテレジアは、巨躯ごと壁を破壊していった。
さながら、見た目はグロテスクなモーニングスターである。
そして、ユタカが発した言葉に一同唖然とした。
「…あ、口悪くなっちゃった。えっと…シンク…? ちょっと幻滅しちゃった…かな?」
可愛らしい見た目であんな毒を吐いたユタカは、少し困ったような笑顔を浮かべシンクを見る。
見られた弟は、ブンブンと首を横に振った。
「いや、驚いただけ…だけど…。ユタカ、大丈夫か? 無茶してないだろうな、お前?」
すぐさまユタカに駆け寄り、シンクはその身を心配する。
大丈夫と言いつつ、彼女は柄を離さずに左右へテレジアを叩きつけていた。
「死体打ちしてない、ユタカ?」
「してないよ。これだけやってもまだ生きてるもん。あー、しぶとい。紀元前から生きてるあの虫並みにしぶと過ぎ」
ユエからの問いに、肩を竦めながらユタカは言う。