my way of life   作:桜舞

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359話『ジェンガやってるようなもん』

それでも、その手は止めていないが。

 

「……扉を開けるより、壁抜きをしていった方が…効率が良いのでは…?」

「ツルギ君、ナイスアイデア!」

 

ユタカの行動を見ていたツルギがポツリと呟き、シャナが賛同した。

多分、彼女が拘束しているテレジアごと、壁抜きすれば良いとか考えていそうで、僕は二人にストップをかける。

 

「待て待て!! 大柱を破壊したら、捜索どころじゃなくなるぞ?! 下手しなくても城が崩壊する!! シャナお前、大柱が何処の部分にあるか把握してるのか?!」

 

僕の問いに、シャナは首を横へ振った。

だろうなと思った僕は姉や、テレジアを今も転がしているユタカへ説明する。

 

「リヒト城の大柱は全部で10本。うち一本は今、ユタカが破壊したから残り9本。あとは謁見の間とか、中心部にあったりする。これ全部破壊したら、どうなるかなんてさっき言った通り。わかったら迂闊な行動しようとするなよ、三人とも」

「え、ごめんグンちゃん!!」

 

ユタカが慌てて、テレジアを叩きつけている手を止めた。

今はまぁ、彼女は一度言えば分かる子だからキツく言うつもりはないけれど。

問題はうちの姉なわけで。

 

「残り1本残ってたら良くない?」

「良いわけあるか馬鹿。城の支柱になってる大柱が折れるんだぞ? 1本だけならまだしも、残り8本折りましたー、残り1本だけですー、なんて…ジェンガやってるようなもんだからな? その1本折れたら全部崩れるんだからな?」

 

シンクのわかりやすい説明に、シャナもうんうん頷き始める。

どうやら納得したようだった。

途端、ユエの魔武器が弾を撃った音がして、僕は彼女を見る。

 

「ユエ?」

「ごめん、アオ。話の途中で。テレジアが動きそうだったから、撃った。目標は撃破だったよね? 死なせても大丈夫だった、はずだよね?」

 

彼女から確認され、僕は頷いた。

ユエの弾は、キメラになったテレジアの核を正確に撃ち抜いており、奴は体が砂の如く崩れ落ちている。

蘇生もしなくて良いと、僕はテレジアに近づきつつ告げた。

 

「レフ、何か言い残す事はあるか? 僕達が帰った後、貴様の一族郎党は全て斬首刑に処されるだろうが、遺言くらいは届けてやる」

 

僕の言葉に、テレジアはクッ、と笑いを零した。

 

〈なら、陛下に…二つ程お願い出来ますかな、グンジョウ殿下〉

 

続けろと言った僕の言葉を聞き、テレジアは話し出す。

その内容に、僕やシャナは驚いた。

 

一つ、父様の兄君であるハヤテ・クリサンセマム・ブリリアントを殺したのは自分である事。

僕らが産まれる前の出来事ではあるが、父様の兄君は石化の魔眼を持っていたらしい。

それの暴走で亡くなったのだと、テレジアから報告されていた。

 

それは父様から聞かされていたから、僕も知ってはいる。

暴走は事実だが、その暴走状態になるまで実験したのは自分だと、テレジアは言った。

 

〈我が家に伝わるのは…魔王の眼だったもので…その実験と解析をする為に、甥であるハヤテを使いましてなぁ…まぁ、失敗に終わったわけですが…〉

 

何ら悪びれもせず、テレジアは言葉を続ける。

そして二つ目を話し出した途端、シャナがテレジアを蹴り上げた。

 

「なんて事…っ!! なんて事を…っ!!」

「シャナ、気持ちは分かるが…落ち着け!!」

 

ツルギから羽交締めにされ、激昂したシャナがもがいている。

姉にとっては、耐え難い話だろう。

何せ、精霊に纏わる話だからだ。

 

テレジアから語られる二つ目の話は、精霊に瘴気を埋め込んだのだという。

自分の領地の端に精霊がいる事に気付いたテレジアは、ある実験を思い付いた。

エネルギー体である精霊に、瘴気は埋め込めるのかと。

 

その当時、瘴気というものの存在は知っており、洞窟の奥深くで発生しているのも知っていたテレジアは、それを封じ込め軍事に転用出来ないか研究していたそうだ。

封じ込めは出来るものの、あれやこれやと日夜研究に没頭していたある日だったらしい。

 

〈その精霊は、随分のんびり屋だったみたいで…人間だった頃の私が近付いても、逃げようともせず…設置するのは、容易でした…〉

 

その精霊の真下に装置を設置し、瘴気を封じ込めたコアを打ち出して、内部に留めるようにしたそうだ。

誤算だったのが、その場所が沼地で瘴気に汚染され始めた事だという。

 

〈実験とは常に、失敗ありきではありますが…いやはや、その当時は焦ったものですよ。まさか、我が領地が汚染されるとは〉

「ミラ様から聞いた事ある…ゲンブが瘴気に侵されてて、それを母様が助けたって……まさか……っ…ここの精霊達を使って、こっちのあたしに軍事運用させたの…貴方の入れ知恵?!」

 

テレジアはそれに対して返事はせず、ただ笑いを零す。

…肯定だとでも言うように。

 

「っ、許さない!! 絶対許さない!! 離してツルギ君!! ここの精霊達の仇討ちをしてやる!!」

「ツルギ。あと一つ聞いたら、シャナを解放しろ。流石に僕も不愉快だ。レフ、王家に反逆している意識はあったか?」

 

僕の問いに、否、とテレジアは答える。

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