my way of life   作:桜舞

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361話『姉さんをよろしく頼むよ』

「ユエ、結界の維持代わるよ。食事してから寝て?」

「そうする」

 

ユエと僕は手を合わせ、彼女から結界を譲渡される。

シャナとのリンクは生きているから、難なく維持出来た。

ツルギも交えて、僕らは食事をする。

 

「僕が寝てから、何か変化はあったか?」

「いえ…静寂そのものです。襲撃もありませんでしたし…外に感じる気配は魔獣のみです。多分…見逃されている、かと…」

 

まぁ、だろうな。

あの、性格悪い方のシャナが僕らを見逃す理由なんて、面白い以外の何物でもないだろう。

 

ただの暇潰し。

王者の貫禄ってか。

 

「…同じシャナちゃんだけど…性格真反対すぎない? 何をどうしたら、あんな捻くれるんだか」

 

オムレツを食べながら、ユエがため息を吐く。

彼女も僕と同じ考えに至ったようだ。

 

「僕らの所は王政だけど、こっちは女王政だからね。それに、優秀な姉君であるソルフィアナがいた。推測にはなるけれど、ソルフィアナを遣わしてシンクの様子を伺っていた辺り、シャナは放ったらかしだったんじゃないのかな」

 

跡継ぎの教育はソルフィアナへ。

幽閉してしまった息子へ会いに行けず、そちらへ気を回した結果、あのシャナが出来上がったのではないかと思う。

一応淑女教育は受けさせていただろうけど。

 

「教育も、多分家庭教師あたりに丸投げだったんじゃないかな。こっちでは、お祖母様が僕らのそういう教育を担当してくれていたし、何より僕らが小さい頃は、政務の合間に二人で様子を見に来てくれていたから。長期休暇中なんて、ずっと一緒に過ごしてくれてて…親からの愛情を疑った事なんて、一回もなかったなぁ…」

 

反抗期らしきものも、僕やシャナ、以下兄弟姉妹には来なかった。

反抗した所で、母様達は余裕で受け止めてくれただろうけど。

偉大なる両親に反抗する気力が湧かなかった、が正しい。

それだけ、僕達兄弟姉妹は両親を尊敬している。

 

いや、ラゼッタは来るかもしれないけれど。

まだ幼いから。

 

「ママがいても、シャナちゃんの凶行止められなかったのかなぁ…」

「そこら辺は、ソルフィアナが詳しく知っているだろうね。まぁ、聞きに行く余裕はないわけだけど」

 

ユエが作ってくれたサンドイッチを頬張り、僕は寝ている三人を見る。

シャナもシンクも、ユタカもぐっすり寝入っているようだ。

 

姉辺りは匂いに釣られて起きるかとも思ったが、精神的にも疲労していたのだろう。

全く起きる気配がない。

 

他の三人の分を残しつつ、食事を終える。

僕が寝ていたベッドにユエが横になり、暫くしてから寝息を立て始めた。

壁に背を預ける形で、扉の所へ戻ったツルギの横に行って座る。

 

何か喋るわけでも無く、僕らは無言で四人を見続けた。

ツルギも僕も、別に共通の話題があるわけではなかったし。

ただ、少しだけ夕陽の記憶を思い出した。

 

夕暮れ時、夕陽の居残り勉強を呆れながらも、終わるまで待っててくれた(つるぎ)の事を。

 

「ツルギさ。マジでぼっちだったよね。僕が話しかけるまで、ずっと教科書と睨めっこしてて。本当、阿呆の夕陽と友達になってくれてありがとう、ツルギ。試験対策とか、雪那と別の学校だったから出来なくて。本当に助かってたよ」

「……そういうの、死亡フラグだって…夕陽自身、言ってましたよ殿下…それに、礼を言うのは…俺の方です。こんな奴と、友達になってくれて…ありがとう、夕陽」

 

ツルギにしては珍しく、微笑みを浮かべている。

僕も彼に笑いかけた。

 

「今も友達だけどな。それに、シャナの夫になるって事は僕の義兄だ。姉さんをよろしく頼むよ、義兄さん」

 

僕は拳をツルギの方に差し出す。

彼も拳を突き出し、僕と合わせた。

 

「当たり前だろ。シャナの事は絶対に守る。彼女は、俺にとって宝だ。自分でも自覚しているが…こんな、表情筋が死んでる奴…通常なら、誰も付き合おうなんて…思わないから。別に、顔が良いわけでもないし…」

 

ふっ、とツルギは自嘲気味に笑う。

母親譲りのとんでもない美人な姉と付き合えてるんだから、自分の幸運は使い切ったのだろうな、なんて思っていそうで、僕は苦笑した。

 

「シャナは顔なんて見てないって。姉さんは、心根でお前に惚れたんだから。不器用だけど優しいお前だからこそ、シャナはフラれてもお前の事を想っていたんだ」

 

途端僕の方に枕が投げられ、それを片手で受け止める。

やる奴なんて一人しかいなくて、枕をどかしながら僕はニヤリと笑った。

 

「おはよう、シャナ。寝覚め最悪だろ」

「ほん…っと、最悪!! グンジョウの馬鹿! なんでそれツルギ君に言うかなぁ?!」

 

ツルギが扉から離れ、シャナの方へ行くと姉を抱きしめる。

小声でシャナへ何か言ったようだが、僕には聞こえなかった。

姉は少し頬を染め、うん、と頷く。

 

どうやらツルギに口説かれたようだ。

良かったな、シャナ。

 

まぁ、良い雰囲気な所申し訳ないが、今度はツルギが休む番なので二人に声をかける。

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