「…っ!! 煩い…っ! 煩い煩い煩いっ!! お前に何が分かる!! 何をしても、何をやっても!! こちらを見もしなかったお父様やお母様!! あたしがいるのに、グンジョウにばかり気を向けるお姉様やおじ様達!! 誰もあたしの事など、見向きもしなかった!! だから力を示しただけでしょう?! あたしが一番偉い!! あたしが正しい!!」
「…シャナ…」
シンクが憐れむように、魔王を見る。
その視線に気付き、魔王は片手を上げた。
「いずれは、あの魔王もあたしの力で捩じ伏せて取り込んでやる。この世の全てはあたしの物。だから……そんな目で見るなグンジョウ!! あたしはお前に憐れまれる程落ちぶれてはいない!!」
魔王の背後で、魔法陣が多重展開される。
それを予想していた僕は、前衛にいるユタカに指示を出した。
「ユタカ! 魔武器展開!! 唱えさせる前にカートリッジで魔法陣の破壊をしろ!!」
「了解!! 喰らい尽くせヴェディオヴィス!!」
ユタカの魔武器の柄から無数の触手が生え、その全てが爆弾と化したカートリッジを持っている。
「
「させるかぁっ!!」
魔法陣から魔法が放たれる前に、ユタカがヴェディオヴィスで投げた爆弾が次々と魔法陣を破壊していく。
対物だけのはずが、シャナはこういう事も見越して改良し、対魔にも特化させたようだった。
更に魔法陣を展開し魔王は攻撃をしようとしてくるが、それも全てユタカに阻まれ、こちらに攻撃する余裕もなさそうだ。
「ユエ! ユタカが魔法陣を破壊している間に攻撃しろ!! シャナ、シンク!! 特大魔法の準備!! 僕もやる!! ツルギは向こうからの攻撃を防いでくれ!!」
ビュン、と風を切る音がし、次いでツルギが何かを蹴りで弾く。
蹴り上がったそれを見れば、槍だった。
まさかと思った僕は脚力強化で飛び上がり、その槍を手に取る。
「グンジョウ、それ壊して!! 母様にかかった呪いが解けるかも!!」
シャナの声が聞こえ、僕は腕に強化を施し槍を折った。
案外あっさり折れたが、修復されても面倒なので炎魔法で消し炭にしておく。
地面に着地して、シャナ達同様特大魔法の詠唱に入る。
「我が道を阻みし者に制裁を与えよ、空を裂きし者。激しき雷霆と共に、全てを破壊し尽くす力を解き放て。稲妻よ走れ!!
「四大元素の熱き躍動を感じ、悠久の時の流れに身を委ねよ。天地を超える力を呼び覚まし、全てを包み込む神秘の炎を燃やせ。
雷属性最大の神雷と、四大の力を召喚し合わせたものを、二人は魔王に叩き込んだ。
「こんな…こんなものに、あたしが…っ!! 魔王であるあたしがっ!! 屈すると思うてか!!」
ユタカとユエの攻撃の速度以上に、魔法陣を展開した魔王は、十の元素魔法を放ってくる。
二人の攻撃を掻い潜ったそれらは僕らに迫ってくるが、シャナとリンクを繋いでいたのであろうツルギが、その反射速度で全てを叩き落とした。
「グンジョウ!!」
「すまないツルギ!! 星々が踊り狂う様を目撃せよ。無限の時空を横断し、過去と未来を照らせ。無限の輝きを具現化し、我が手に集結せよ。宇宙の至宝を解き放て。星屑の羽音が響き渡り、彼らの輝きは流星の如く降り注ぐ!! 集結せよ!!
極小の隕石群が、魔王に降り注ぐ。
隕石は魔王の肉を割き、骨を砕き、その身に穴を開けていった。
最期の悪足掻きなのか、魔王の手にもう一本槍が出現し、シンク目掛けて投げられる。
お前だけは道連れにしてやる、という意志が感じられた。
「シンク!!」
その射線上にユタカが躍り出て、背中から腹部にかけて槍が彼女の体を貫いた。
おばさん特製の魔術礼装のはずなのに、それを上回るほどの攻撃。
多分、母様に呪いをかけた槍と同じものだろう。
「っ!! ユタカっ?! ユタカぁっ!!」
傾いだ彼女の体を受け止め、シンクが泣きそうになりながらユタカの名を呼ぶ。
彼女は口から血を吐きながらも、弟に微笑んだ。
「大…丈夫、だよ…シンク…。私、立花の…娘、だから…。体、丈夫…なんだぁ…。だか、ら…泣かないで…?」
槍を引き抜き、シンクは泣きながらユタカに
だが母様同様、傷は回復せず血は流れ続け、礼装を赤く染め上げていった。
僕は槍を破壊し、シンクとのリンクを切る。
これで多少は、ユタカへの回復魔法に回せるだろう。
「ふふ…あは、は…っ!! あーっはははは!! そう!! その顔が見たかったのよグンジョウ!! あんたの絶望した顔!! あんな無気力で全てを諦めたつまらない顔なんて、面白くもなんともなかったから!!」
「……シャナ…っ!!」
怒りの目を、シンクは魔王へ向けた。
その横を姉であるシャナが通り過ぎ、異次元同位体である自分を足蹴にし、その顔を踏みつける。