my way of life   作:桜舞

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37話『僕に対して危機感持ってユエ!!』

「ごめん、メルディア。替えの服取ってくれない?」

 

少しガサゴソと音がして、服を持ってきたのはユエだった。

 

「アオ、慌てん坊さんだね。服を持っていかないなんて。私に言ってくれても良いのに」

「……ありがとう」

 

服をもらい、扉を閉める。

 

だから!

今僕半裸なんだよ?!

もしメルディアいなかったら、そのままベッドに押し倒してた可能性だって皆無じゃないんだよ?!

少し、僕に対して危機感持ってユエ!!

僕が宣言通り何もしないとでも思ってる?!

僕だって男なんだよ?!

君を暴きたいって常々思ってるケダモノなんだよ!!

 

「………はぁ…」

 

脳内で散々喚いてから、僕は服を着る。

ユエのセンスはとても良いようで、黒いデニムのズボンに白いシャツ、七分丈の空色の上着だった。

 

「ごめん、お待たせ」

「ううん。大丈夫だよ」

 

紅茶を飲みながら、ユエは微笑む。

その姿に少し、安心感を覚えた。

 

「ユエ、僕に何か用だった?」

 

メルディアは僕の分の紅茶も入れてくれる。

ユエの真向かいに座り、それを少し飲んだ後、僕は彼女へ尋ねた。

時計を見れば、朝の9時。

推測だが、ユエが来たのは8時あたりじゃないだろうか。

 

「先生から、今日はお休みだって言われたから。なんか昨日の騒動の件で判明した事があるから、その検証をするって。だから、アオと一緒に過ごそうと思ったんだけど…迷惑だったかな」

「全然。ユエと一日一緒にいられるなんて、僕は嬉しい…けど。ユタカは? まだお説教されてるの?」

 

いつもなら、ユエと一緒に登城してくるはずの彼女の姿が見えない。

ユタカ、僕の護衛って認識無いんだろうなぁ。

 

「うん。パパに根性鍛え直されてるよ。ママは少し私達に甘い所があるけど、パパは本気で怒ったら容赦がないし。だからアオ、さっきの事は黙っててね。まぁ、ママには筒抜けだろうけど。流石に着替え持ってっただけだから、パパに言うなんて事しないだろうけどね」

 

口に指を当て、ユエは笑う。

 

うん、僕もユーリおじさんに殺されたくはない。

何もやましい事してないし…したい気持ちは充分にあるけれど。

 

「なら、指輪見に行かない? 最初はそれも考えてはいたんだけど、指輪贈ったら贈ったで重い奴って思われないかな、なんて思っちゃったんだ。束縛してるようでさ」

「私、アオになら束縛されても構わないよ。でも! 私以外見たら許さないから」

 

見るつもりはないよ、と彼女に告げた。

そして、ふと疑問に思った事を聞く。

 

「あのさ、周りもなんだけど。なんか僕、軽薄なイメージ付いてない? そんなつもりないんだけど、なんかやっちゃってる?」

「うーん…八方美人とは言わないけど、少し鈍感な所があるよね、アオは。誰にでもいい顔をするって言うか。それで勘違いする子もいるし、アオを好きになっちゃう子だっているの。私とユタカ、恋敵が増えすぎて、少し困ってたんだよ?」

 

ユエはそう言い、紅茶を一口飲んだ。

 

全く自覚がなかった。

ユエに指摘されて、確かに頼まれた事は断ってないし、出来る範囲でやれる事はやっていたと気付く。

女の子達から何か貰う事もあったけど、丁重にお断りしていたんだが。

 

「…気を付ける」

「別に良いよ、気を付けなくても。そんなアオが、私は好きなんだし。だから、アオとお揃いのが欲しいの。アオは私のだって、証が欲しいんだ」

 

僕は肘掛けに肘を置き、手で口元を隠す。

 

冷静になれ、僕。

ユエを押し倒したいのは、わかる。

愛しい気持ちが溢れてくるのもわかる。

せめて、婚姻できる年齢まで待て。

責任が取れるようになるまで、待つんだ僕。

 

「アオ?」

「…ごめん、少し待って。メルディア、ちょっと鞘で僕の頭殴って。不問にするから」

 

メルディアは少し嘆息して、中身が入ってない鞘で僕の頭を軽く叩いた。

その衝撃と痛みで、僕は冷静になった。

 

「よし、買いに行こうか」

「う、うん…大丈夫?」

 

大丈夫と返して、メルディアにもついて来てもらう。

ユタカがいないし、流石に僕らだけでいったらおばさんや母様達に怒られそうだった。

 

◆◆◆

 

「どれがいい? 予算は気にしなくていいよ。全部出すから」

「アオ、それ成金のセリフ…」

 

僕らは腕を組んで、学園都市のショップが並ぶ場所に来ていた。

何の気なしに言ったが、そう聞こえてしまって苦笑する。

 

「そういうつもりで言ったわけではないんだけど…」

「わかってるよ。でも、二人のなんだから私も出すよ。ちゃんと毎月ママからお小遣い貰ってるからね。私はちゃんと貯めている子です」

 

ふふん、とユエは少し胸を張った。

 

今日の彼女の服装は黒いワンピースに、スカートの裾にフリルがついている。

そのフリルの色は、僕の髪色である青色。

もしかしたら偶然かもしれないけど、僕の色を纏ってくれてて嬉しく思う。

 

「うん、ユエは偉いね」

「…あの、ツッコんでくれないかな…。少し恥ずかしい…」

 

どこにツッコむ要素があったのだろうか?

金銭感覚がちゃんとしているのは、とても良い事だと思うけど。

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