my way of life   作:桜舞

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374話『エピローグ1』

魔王との戦いから三ヶ月が経ち。

僕は目の前で、披露宴の料理の配置やら、会場の飾り付けやらを、メイド長であるルーティや料理長と相談している婚約者に、苦言を呈していた。

 

「ユエさん? なんで結婚式、僕の誕生日にするとか言ってるんですかね? わかってる? シルフの月って寒いんだよ? 雪が降る日だってあるんだからね? ちょっと、聞いてます?」

 

母様達から婚姻を認められたは良いものの、ただ婚姻届を出すだけでは駄目だと言われたらしい。

それはその通りで、王太子の結婚式なのだから国民にお披露目をするべきではある。

だが、それを寒い時期に執り行おうとするのは如何なものかと、僕はユエを止めている次第だった。

 

「聞いてる。でも、暖かい日もあるでしょ?」

「それごく稀だって、君も知ってるはずだよね? もう6年か7年くらい、ここにいるんだから。それに、式が終わった後王都一周するの忘れてない? 幌がついた馬車じゃないんだよ? 寒風吹き荒ぶ中、君笑顔保っていられる?」

 

僕がそう詰め寄ると、ユエはうっと言って黙ってしまう。

ユエが望むようにしてあげたいけれど、流石に寒い中、沿道に国民を立たせたくはないかなと思う。

 

「式は寒くなる前にしよう? そうだな…今ノーム2の月だから、ウンディーネ1の月にしたら良いんじゃないかな。僕も君と一緒にやるから、ね?」

 

それなら、と彼女は渋々頷いた。

まぁ、準備期間半年しかないわけだけど。

二人でやれば早く終わるはず…だよな?

 

結婚式の準備の傍、父様の政務を覚える。

学校を卒業したという実感は湧かなくても、僕にはやるべき事が沢山あった。

 

近況としては、シンクとユタカは大学に進学し、学園都市内のアパートで一緒に暮らしているらしい。

弟はおばさんの研究室に入り、おばさんの手伝いをしつつ日銭を稼いでいるのだそうだ。

ユタカもカフェで働き始めたようで、二人で忙しくも楽しく過ごしているようだった。

 

ツルギは騎士団に入り、見習いから騎士になる為に、日夜訓練に励んでいた。

だが、同期との力量の差が付いていて、ツルギ達を預かっている部隊の分隊長が、少し泣き言を言っていたと小耳に挟んだ。

 

曰く、ツルギの実力はもう自分を遥かに超えていて、騎士団の副団長クラスにまでなっている。

そんな奴に、自分が何か教えられるわけがないだろう、と。

 

基本的な事を覚えないといけないだろうし、ツルギは基本徒手空拳で戦う。

剣の扱いは不得手のはずなんだけれど、彼はメキメキ上達しているようだ。

 

シャナはといえば、ツルギのお嫁さんになると父様や母様に直談判して、婚約者の座をもぎ取ったと聞かされた。

姉を狙っていた子息達が大勢いて、ツルギに決闘を申し込む奴らも後を絶たない。

彼は全て返り討ちにしていたけど。

 

そして姉はツルギを支える為、日々花嫁修行に勤しんでいる。

たまに、厨房が爆発するのは何故なんだろうな、とは思うが。

母様が政務の合間、カヅキおばさんと一緒にシャナへ付きっきりで教えているはずなんだけど。

 

うちの弟妹も相変わらずで、リーゼはのほほんとしながらもルージェを避けるように行動しているし、この間アンナはスイカ君と婚約した。

ラゼッタは相変わらずヤンチャ坊主で、リオンちゃんが弟の後を付き従っている姿が、度々目撃されている。

 

本当、うちの弟が迷惑かけてすまないと、見かけるたびに思っていた。

 

シンクの故郷も復興が進んでいるようで、この間精霊達が戻って来てくれた、なんてソルフィアナが嬉しそうにしていたと、弟から聞いた。

 

桃華の見舞いにも、時間が出来たら行くようにはしている。

相変わらず、ずっと寝たきりで虚な目だけれど。

あと、見舞いに行った後ユエが少し不機嫌になってしまう所が、難点ではあった。

 

忙しくも充実した日々を送り、合間合間で結婚式の準備を進め、そしていつの間にか、結婚式の前夜になってしまっていた。

 

「……明日かぁ…」

 

明日、僕はユエと婚姻する。

その後は初夜なわけだが…ほんの少し心配があった。

 

「僕、優しくできるかなぁ…」

 

枯山水の庭に来て、床に寝転びながら呟く。

あの日、ユエと一緒に見たような満月が、空に上がっていた。

 

僕は、あの父様の血を引いているわけで。

処構わずユエを襲おうとは思わないけれど、タガが外れたように彼女を貪ってしまわないか、そこだけが心配であった。

 

「何? 私そんなにか弱く見られてるの?」

「…あのね、ユエさん。気配消しながら近付かないでもらえませんかね? 僕じゃなかったら、驚いて庭に飛び込んでるところだよ…」

 

扉を開ける音がしなかったし、足音もしなかった。

うちの奥さん、暗殺者か何かなのかな?

 

「あと、心読んだろ。やめろってば」

「分かりやすい思考してる方が悪いでしょ」

 

ユエは僕の頭の上辺りに腰を下ろし、膝枕をしてくれる。

僕の頭を撫でながら、彼女は微笑んだ。

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