my way of life   作:桜舞

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376話『エピローグ3』

流石に、父様の結婚式の時みたいな乱入者は現れないようで、僕は内心ホッとする。

乱入されてたまるかとは思うけど。

 

ユエにやっかみをかける連中も居るにはいたけれど、式を邪魔しようとはしてこないようだ。

僕へも婚約の打診が何度も来てはいたが、全てお断りしていたし。

元々リューネの民ではないとはいえ、おばさんの家である立花家は、オーシアの大貴族だったわけだし。

 

血筋がー、なんて時代錯誤甚だしい連中も父様が全て黙らせた。

寧ろそんな事言った瞬間、その家はお取り潰し確定である。

なんて言ったって、母様が元平民だから。

 

それでいて魔王討伐をし、戦争を何度も一人で片付け、勝利の女神の如く国民から慕われている母様に対して、侮蔑を吐ける貴族は多分いない。

カヅキおばさん除く。

 

なんて事を考えていると、扉がゆっくりと開いた。

ユーリおじさんと共に現われたユエは、ベールで顔が隠れて見えないが出立ちがとても美しく、僕は見惚れてしまう。

僕の前まで彼女を連れて来たおじさんは、小声で僕へ言った。

 

「ユエを泣かせたらどうなるか、分かっているねグンジョウ君?」

「…勿論です。泣かせるとしたら、嬉し泣きをさせますよ」

 

僕も小声でそう返すと、ユーリおじさんは満足そうに笑い、僕へユエを渡してくる。

彼女の手を取り、僕はまっすぐ前を見た。

 

ジルベルト卿が、僕らの式を行う宣言をする。

聖書を祭壇に広げ、卿は僕に問いかけた。

 

「汝、グンジョウ・デルフィニウム・ブリリアント。貴方はここに居られる立花月を、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も。妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「誓います」

 

凛とした声で、僕は言う。

ジルベルト卿は頷き、今度はユエへと問いかける。

 

「汝、立花月。貴女はここに居られる、グンジョウ・デルフィニウム・ブリリアントを、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も。夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「…誓います。私はいつ如何なる時でも、グンジョウ殿下のお傍を離れる事など致しません」

 

ユエ、そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、今言う事なのかなぁ…?

ジルベルト卿が苦笑いしてるじゃないか…。

 

「それでは指輪の交換の後、誓いのキスを行って頂きます」

 

リングピローを持って来たのは、末の弟であるラゼッタと、ユエの妹であるリオンちゃんだった。

 

「兄様かっけぇ!」

「ラゼル。しー、ですよ? おめでとうございます。グンジョウ殿下、お姉様」

 

僕の姿を見たラゼッタが興奮して叫び、リオンちゃんに嗜められる。

お祝いの言葉を貰い、僕は礼を言った。

 

「ありがとう、リオンちゃん。ラゼッタをよろしく頼むよ」

「それは勿論ですわ、殿下」

 

二人が持っているピローから指輪を取り、ユエの左薬指に嵌める。

ユエのより二回り大きい指輪を彼女は手に取り、僕の左の薬指に嵌めてくれた。

 

デザインは至極シンプルなもので、最初右の薬指に嵌っているものと同じ物にしようと思っていたら、ユエからダメ出しをされたのである。

普通のシルバーリングで良いと言われたので、城お抱えの彫金師に言って、最高級品を用意したけれど。

 

「では、誓いのキスを」

 

卿がそう言い、僕はユエのベールを持ち上げる。

少し緊張した面持ちの彼女だったが、ステンドグラスから差し込む光と、いつもより大人びた化粧をしているからか、この世のものではないくらい美しい。

 

「…アオ?」

 

僕が中々動かないからか、ユエが少し眉を寄せた。

彼女にごめんと謝りつつも、顔を近付ける。

 

「君が綺麗で、神々しくて…見惚れてしまっていたんだ」

「…馬鹿」

 

ユエと口付けた瞬間、ジルベルト卿が宣言した。

 

「これにより、二人の婚姻が成立した事を認めます」

 

唇を離し、僕は彼女に笑いかける。

ユエも僕に微笑みを返し、スルリと僕の腕に自分の手を添えた。

そのまま入り口まで、二人で歩く。

 

両側からおめでとうという声が上がり、そして花びらが舞い降りてくる。

あとで掃除大変だろうなぁ、なんて頭の片隅で思うと、ユエがクスリと笑った。

 

「どうしたんだい?」

「別に、アオが片付けるわけじゃないのに。真面目だなぁ、って思って」

 

また人の思考読んだな、こいつ。

まぁ、今日くらいは良いか…。

 

「気になったんだから仕方ないだろ」

「そういう所、貴方らしいなぁって思う。大好きだよ、アオ」

 

ユエは僕を見上げ、満面の笑みを浮かべた。

その言葉が嬉しくて、僕も笑顔で彼女に言う。

 

「僕も、君を愛してるよユエ」

 

◆◆◆

 

幌なしの馬車で王都を一周する。

沿道に集まってくれた民達に、僕らは手を振った。

 

三時間か四時間位で城に着き、僕は先に降りるとユエへ手を差し出す。

僕の手を取り、彼女は馬車から降りた。

 

「サフィールに乗って、王都一周でも良かったかもなぁ…」

 

ユエと共に城の中に入りながら呟くと、彼女が苦笑する。

 

「私が着てるウェディングドレス。結構重いから、サフィールの負担になるよ」

「そういえばそれ何処製? 結構細かく刺繍とかしてあるけど」

 

光に当たると、金に光る刺繍糸で刺繍されたユエのウェディングドレスは、細部まで拘った作りをしていると素人目でもわかった。

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