my way of life   作:桜舞

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378話『エピローグ5』

僕は彼女の服を見る。

吾妻ノ国の礼服だが、踊れるのか?

何かつんのめって、倒れそうで不安なんだけど。

 

「そんなに心配なさらなくても、ヒールも履いてますし上手く立ち回って見せますわ」

 

僕の視線に気付いたのか、ユエが苦笑しながら小声でそう言う。

そんな彼女に僕は眉尻を下げ、謝った。

 

「あぁ…すまない。君の事になると、私は途端に駄目になってしまってね。私の心配を跳ね除けるくらい、君は強い女性だというのに」

「まぁ、殿下ったら」

 

21貴族の挨拶が終わると父様が楽団に合図をし、ダンスをするための曲が流れ始める。

僕は立ち上がり、ユエへ手を差し出した。

彼女は僕の手に自分の手を添え、立ち上がる。

そのままホール中央まで行き、僕らは互いに礼をした後、ワルツのリズムで踊り始めた。

 

「久しぶり過ぎて…私、ちゃんと出来てる?」

「大丈夫。君は運動神経も良いから。本当に、今日の君はとても綺麗だ。この時間が早く終わらないかなって思うよ。早く…二人きりになりたい」

 

微笑みながら言うと、ユエは少し頬を染める。

この後初夜だって思ったからだろうが。

いや、うん。

そこは僕も意識してはいたけどね。

 

「アオのえっち…」

「夫婦なんだから別に良いだろ…」

 

夫婦という言葉へ、ユエは嬉しそうに笑う。

もう夫婦なんだねと言う彼女へ、僕は頷いた。

 

僕らが三回踊り終えると、招待客の面々や僕の兄弟姉妹達、父様や母様が各々曲に合わせて踊り始める。

 

僕はユエの手を引いて、テラスの方へと向かった。

 

「アオ? どうしたの? 私達が抜けちゃ駄目だと思うんだけど…」

「ほんの少しだけ、夜風に当たりたくなったんだ。会場に君だけを残すなんて、蟻に餌を与えるようなものだから癪に触って…」

 

招待客を蟻って…と、呆れた目を僕に向ける彼女に、僕は拗ねた顔を向ける。

 

「僕のユエにたかる男はみんな蟻だろ。もしくは蝿」

「アオ、言い過ぎ。誰が聞いてるか分からないのに…」

 

ユエは僕に寄り添い、肩に頭を乗せてきた。

頭を撫でたかったが、セットが崩れると思った僕は少し身を屈めて、彼女にキスをする。

唇を離すと、しょうがないなとユエは笑った。

 

「私の旦那様は、本当嫉妬深くていらっしゃる」

「それは君もだろ。だけど、それももう、する必要はないよ。これから身も心も、一つになるんだから」

 

僕は跪き、彼女の左手を取って薬指にキスを落とす。

気障だとクスクス笑い出したユエを見上げていると、僕らに声がかかった。

 

「義姉君とご歓談中の所、申し訳ありません兄君。父上が会場に戻るよう、仰せです」

 

いつの間に来ていたのか、シンクが僕らに頭を下げながら、父様からの伝言を伝える。

 

「分かった。すまないな、シンク」

「いえ。ご結婚おめでとうございます、兄君、義姉君。私も精進し、ユタカ嬢を幸せに出来るよう努力していく所存ですよ」

 

ユエの肩を抱き会場に戻る際、僕は弟の肩を軽く叩いた。

頑張れよ、と一言だけ告げて。

上座に戻り、父様が閉会の挨拶をする。

招待客を見送り、僕らは一路自分の部屋へと帰った。

 

◆◆◆

 

あー…ヤバい。

緊張する。

 

風呂に入ってさっぱりした後、僕はバスローブ姿でベッドの縁に座っていた。

手の甲で額を支え蹲っている僕を見たら、ユエは情けないと笑うだろうか。

それとも、お互い緊張して何も話せなくなるか。

 

一応そういう知識は、本で読んだり携帯で見たりしていたから知っているとはいえ、全て鵜呑みにするなとはエミル君やアラスター、他男友達から聞いている。

何が本当か分からなくなってくる、というのが僕の意見では正しいのだろう。

とりあえず嫌がられたらやめろ、とアドバイスはもらっていたけど…。

 

「大丈夫かなぁ…僕…」

 

理性飛ばしてユエに酷い事したくないんだけど…。

 

あーだこーだと考えていても埒があかないのは分かっているが、ユエが本当に大事なわけで。

 

「いや、いっそ何もしないで一緒に寝るって手も…!」

 

あるわけないと、ここに彼女がいたら言われそうではある。

どうしようどうしようと、頭を抱えていると扉がノックされた。

どうぞ、と僕は返事をする。

 

ゆっくりと扉が開いていき、ロングタイプの白いネグリジェを着たユエが入ってきた。

髪も下ろしていて、とても扇状的である。

彼女も風呂に入った直後だろうか、頬がほんのり色付いていた。

スタスタとユエは歩き、僕の隣に腰掛けてくる。

 

暫くお互い無言でいたのだが、ユエがポツリと呟き、その言葉に僕は彼女の方を見た。

 

「アオのヘタレ。どうせ、私に酷い事したら嫌だなぁ、とか考えてたんでしょ」

「いや、あの、当たり前じゃない? あとヘタレ言うな」

 

ヘタレじゃん、とまた彼女が言ったので、僕はユエを押し倒した。

 

「言ったでしょ? 乱暴にされたって平気だって。そんなに華奢じゃないよ、って」

 

僕を見上げ、ユエは微笑む。

腕を上げて、僕の頬を撫でながら。

その姿に劣情を抱く。

 

僕はリモコンで部屋の電気を消し、彼女に問いかけた。

 

「ユエ……覚悟は良いか? 理性が切れたら歯止めなんて効かないぞ。君が泣いて嫌がったとしても、それこそ気絶をしてでも、僕は君を抱き続けるからな」

「初めては痛いって聞くし、痛くて泣いちゃうかもだけど…貴方のものになれるのなら、その涙は幸せなものになるって、そう思うの。だから…良いよ、アオ。来て?」

 

ユエの言葉に、僕の理性はそこで切れた。

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