知性も何もないと、そう言えるほどに彼女と遊戯を続ける。
それは朝方まで続き、そこでやっと僕も意識を落とした。
次に目が覚めたのは、昼過ぎだっただろうか。
陽が高くなった窓から入る日差しで、意識が覚醒する。
ぼんやりと窓を見て、昨夜から朝方にかけての出来事へ、僕は顔がニヤけてしまうのを感じた。
ユエ…め……っちゃ可愛かった…!!
泣き顔も声も、何もかも全て。
僕へ縋り付く時に背中へ爪を立てた事も、彼女は多分覚えていないだろう。
その姿も、動作も、全てが愛おしい。
しかし、汗とかで体がベタつくから風呂に入ろう、と起き上がると、ベッドが揺れた事によりユエが起きた。
「ん……今何時……?」
昨日啼き過ぎたせいで、彼女の声は掠れていた。
僕はサイドテーブルに置かれたペットボトルの水を手に取り、彼女へ差し出す。
これも読んだ本からの知識であったもので、用意しておいて良かったと思った。
「もう昼過ぎだよ。おはよう、ユエ。喉痛いだろ? 水飲むかい?」
「ん…ありがと…」
僕の指に触れた彼女は、昨夜からの事を思い出したのか、手を引っ込めて布団を頭まで被ってしまう。
ユエ? と問うと、彼女は布団から声を上げた。
「ちょ…恥ずかしい…っ!! 何も身に付けてないから、あっち向いてて!!」
「身につける前にお風呂入ろうよ、ユエ。色んなので体ベタベタだろ? そう言うなら僕、先に入ってるからさ。ちゃんと水飲んでから来るんだよ?」
来ないという拒否権はないと言外に言い、彼女の頭を布団越しに撫で、僕はベッドから出る。
それに、一緒に入ると結婚する前に駄々を捏ねていたのはユエなので、これからは存分にしてやろうじゃないかと、僕は彼女から見えていないだろうが、ニコリと笑んだ。
体を洗って湯船でのんびりしていたら、恐る恐るといった感じでユエが入ってくる。
彼女も体を洗い、僕から離れた所から湯船に入った。
「…ユエ? なんでそんなに離れるのかな?」
いくら広いと言っても、僕達夫婦になったばかりの新婚のはずでは?
ニコリと微笑みながら彼女に尋ねる。
ユエは目を泳がせ、だって、と言った。
「昨日のアオ…格好良かったし…あんまり痛くなくて、何回意識飛ばしたかわかんないし…顔見るの恥ずかしい…」
「一緒に入りたいって話してたの、君だったはずだけどね? あと、恥ずかしがるなよ」
ユエに近付き、彼女を腕の中に閉じ込める。
ヒャッ、なんて可愛い声を上げるユエに、僕はまた劣情を抱き…ノボせるまでやってしまった後、彼女から物凄く怒られた。
怒髪天をつくとはこの事である。
「全く…アオの節操なし…っ!!」
「それは宣言してた事だけれど…我慢してたんだから仕方ないと言いますか…タガが外れたと言いますか……ごめん、そんな目で見ないで…」
遅めの昼食を自室で摂っていた僕達だったが、僕の言い訳にユエはキッとした顔で睨んできた。
なので、素直に謝っておく。
「……背中の傷…もしかして…」
浴室から一緒に出る時、脱衣室で彼女が目を丸くしていたのは気配でわかっていたけど、少し考えればわかるだろうに。
「その通り」
「ーーーっ?!」
ユエはナイフとフォークを置き、顔を手で覆ってしまった。
耳まで真っ赤になっている事から、やっぱり覚えていなかったかと、僕はナイフで肉を切り口に運ぶ。
「…ごめんなさい…」
「別に。縋り付く君、可愛かったし。毎晩とはいかないまでも、たまにあの姿見れたら興奮するだろうね、僕は」
そう言うと、彼女から馬鹿との言葉を頂いた。
「馬鹿で結構。妻を愛して何が悪い。ほら、ユエ。料理冷めるよ?」
「うぅ……はい…」
素直に食事を再開する彼女を眺めながら、僕は微笑む。
あぁ、今とても幸せだな。
目の前には、美人で可愛い僕のお嫁さんがいて。
夜の姿も綺麗で扇状的で。
気が強い所や、すぐ照れ隠しで暴力に訴えてくる時はあるが…それも全て愛おしい。
「…口説かないでもらっても良い?」
「口には出してないから口説いてない。本当に、そういう所も愛おしいよ。ユエ、愛してる。僕の妻になってくれてありがとう」
心からの言葉を彼女に言うと、ユエは微笑みを僕に向けてくれた。
「私も、ありがとうアオ。私を愛して、旦那様になってくれて。私これからずっと、ずっとアオを支えて、奥さんになってくれて良かったって思って貰えるように、誇りに思ってもらえるように頑張るよ。いつか死に別れてしまう日が来ても、それでも、貴方が胸を張って私を選んで良かったって、思って貰いたいから」
「ユエ…」
僕はテーブルにナイフとフォークを置き、立ち上がる。
どうしたのかと僕を見つめるユエの横に行き、顎を持ち上げキスをした。
唇を離し、彼女に言う。
「なら、僕も頑張らないとね。君に、自分の夫は格好良いんだぞって、自慢して貰えるように」
「アオはずっと、ずーっと格好良いよ。自慢はしたくないなぁ…格好良いアオの魅力が、更にみんなに知れ渡っちゃう」
お互いに見つめ合い、プッと吹き出した。
僕らは大笑いをし、その中で思う。
こんな幸せな日々が続くよう、努力をし続けよう。
僕が彼女と共に歩むと決めた、そして共に歩んでくれると彼女が言った日から。
僕の進むべき道は決まっていた。
彼女の笑顔が絶えぬように。
民を守れるように。
僕の全てを賭けて努力しようと、再び誓った。
my way of life
これにて終了でございます
番外編三本書いて
それで終わりにしたいと思います
ここまで読んでいただき
誠にありがとうございました
桜舞