my way of life   作:桜舞

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382話『番外編1-3』

「好きに使え。ただし、失くすなよ?」

「シャナ、僕が預かるから渡して」

 

姉は何処か抜けているから、落としたりしたら困ると思った僕はシャナに手を差し出す。

僕へ素直に渡してくる姉を見た双子は、僕の両脇に抱きついてきた。

 

「アオちゃん、私達のも預かって?」

「グンちゃんが持っててくれると、凄い安心出来るなぁ」

 

なら、おばさんに預かってもらえよ、と僕は口にする。

全くこの双子は、何かきっかけがあればすぐ僕に抱きついてくるんだから。

こういうの若干鬱陶しいって、この間伝えたばかりなのに。

 

と、この時の僕は思っていたわけだが。

まさか数年後にユエと付き合って、結婚するとは思わないだろうなぁ。

あと、彼女から抱きつかれるのも鬱陶しいではなく、愛おしくて離れたくないなんて、この時の僕に話したら一蹴される事請け合いである。

 

僕らはおばさんが手配した車に乗り、一路宿泊施設に向かう事になった。

 

「こっちの車のシート、結構硬いんだね?」

 

さわさわとシートを触っていた姉が、ポツリと呟く。

僕ら専用の車ではないのだから、それは当たり前だと思うのだが。

 

「アオちゃん、痛くなりそうなら私に乗る?」

「あ、ユエだけずるい! グンちゃん、乗るなら私に」

 

また姉妹喧嘩が勃発しそうになり、おばさんが二人を叱る。

 

良い加減、学習したら良いのに…。

 

なんて、窓の外を見ながら思う。

リューネとは違い、ビルの大きさと多さに外を物珍しげに見る僕へ、母様が笑った。

 

「後で観光しましょうね、シャナ、グンジョウ。お寺ってものもあるのよ? リューネでいう所の教会ね」

「へー! あ、母様あれ何?」

 

シャナが一際高いビルを指差す。

それを見た母様が首を傾げた。

 

「あら? あれ何かしら? あたしが生きていた時代に、あんな物なかったけれど…」

「東京タワーより、もっと遠くまで電波を飛ばせるように建造された物だ。中も観光地になっていてな。荷物を置いたら行こうじゃないか」

 

全く知らない単語が出てきたが、まぁ、おばさんに任せてれば大丈夫だろう。

それよりは、弟妹達に何買ってってあげようかな、なんて考える。

 

「アオちゃんとデート…」

「グンちゃんとデート…」

 

双子がそう呟きおばさんから、お前らいい加減にしろ、とまた叱られていた。

 

◆◆◆

 

「そういえば、こっちで魔法使えなくなってるね?」

 

部屋が複数ある、いわゆるロイヤルスイートと呼ばれる部屋に通された僕らだったが、三部屋あるうちシャナと僕で一部屋、という事になった。

 

荷物を置いていた姉が、自分の手を握りながらそう言う。

というか、部屋分けでも一悶着あった。

双子が、僕と一緒の部屋がいいと駄々をこね始めたのだ。

そしておばさんがマジギレしてしまった。

 

「これ以上言うんだったら、お前ら送り返すぞ」

 

と。

その時は大人しくなったが、それもいつまで保つのやら。

 

「魔素が無いんじゃない? 僕も若干体が重いよ。あー…収納魔法に入れてた本、取り出せなくなってんじゃん…最悪」

「グンジョウ…旅行来てるのに、本見たいとか…」

 

呆れた目を向ける姉に、僕はだってと言葉を紡ぐ。

 

「僕がインドア派なの、わかってんじゃん。しかも新作だったんだよ、あれ?」

「じゃあ、後で母様から魔力分けてもらいなよ…」

 

そうする、と僕は姉に答え、軽装用の荷物を持ち部屋を出た。

案の定というか、部屋の扉前でユエとユタカが僕を待ち構えていて、姉より先に部屋を出ようとしていた僕は、思わず扉を閉める。

 

「グンちゃん?! なんで閉めるの?!」

「アオちゃーん、怖くないから出ておいでー?」

 

その問いかけがもう既に怖ぇんだけど?!

 

二人の声と僕の様子に、シャナが呆れて代わりに扉を開けた。

 

「ユエちゃん、ユタカちゃん。あと何回で送還になるんだろうね? あんまりグンジョウに言い寄ると、おばさんの雷が落ちる速度が速くなるかもよ?」

 

シャナの言葉に、双子が押し黙る。

流石に僕と旅行へ来ているのに、リューネに返されたらたまったものではないと思っているのだろう。

僕だけじゃないんだけどな。

親同伴なの忘れてるだろ、この二人。

 

「はいはい。準備出来たかしら、二人とも?」

 

扉前で双子と攻防しているシャナと僕に、母様が声をかけてくる。

 

「あともう一度やったら、お前ら送還するからな」

「「…はい」」

 

母様の背後にいたおばさんが、自分の娘達に最終通告を出した。

ここに来るまで、まだ二時間か三時間しか経っていないのにも関わらず、だ。

 

早過ぎだろ、流石に。

 

「シャルの故郷に来ているのだから、当然だな。シャル、俺にお前がどう生活していたのか教えてくれないか?」

 

父様も準備が出来たようで、母様との部屋から出てきながらそう言い、母様の肩を抱きつつ頭にキスを落とす。

ほんっと、子供の前でもイチャつき出すのやめてくれないだろうか。

 

「あら、あたしがどんな生活をしていたかなんて、前に説明したじゃない?」

「あれは生活のうちに入るのか、カヅキ?」

 

一体生前、母様がどんな暮らしをしていたかは分からないが、父様から尋ねられたおばさんは首を横に振った。

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