my way of life   作:桜舞

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384話『番外編1-5』

何が悲しくて、自分が写った写真が欲しいと思うのか。

そんな物、家族写真だけで十分だ。

 

◆◆◆

 

昼を過ぎたくらいで、シャナがお腹が減ったと母様達に言う。

ならお蕎麦が食べたいと母が言うので、僕達は施設の中に入っている蕎麦屋に入店した。

 

父様は母様と同じもりそば、姉は海老天そば、おばさんは辛そば、僕は鴨せいろというものが気になったのでそれを頼む。

ユエとユタカは少し悩んだ後、きつねそばとかけそばを頼んでいた。

 

箸の使い方は母様から習っていたので、運ばれてきた蕎麦を難なく食べる。

久しぶりに食べるのであろう蕎麦に、母様は感動してニコニコと微笑みを浮かべていた。

その様子を、父様も嬉しそうに見ている。

 

食事を終え、店から出た時に父様がおばさんへこそっと、リューネでも蕎麦が食べられるようにならないだろうかと相談していた。

 

母様が喜ぶのなら、何でもしてあげたいと父様は思ったのだろう。

それはおばさんも同じだったようで、リューネやオーシアにないものは輸入して、あちらで育てられるようにしようとか言い始めていた。

 

いつもなら、それを聞いていた母様に二人は止められているのだが、母はこの時シャナと共に外を眺めていたからか、気付かなかったようだ。

 

施設内にプラネタリウムというものがあるらしく、ユエとユタカが行きたいとおばさんに言う。

だが、食事をした後のシャナにそれを見せた瞬間、爆睡する事請け合いなので僕は却下を提案した。

寝ないと文句を言っていた姉だったが、確率十割で寝るに決まっていると押し問答してしまう。

 

「寝たら誰が運ぶと思ってんだお前。城の中ならともかく、衆人環視がある中で叩き起こせるわけないだろアホ!」

「ぶー!」

 

ならばと、ユエが水族館はどうかと言ってくる。

 

「動かないわけじゃないし、歩いてればシャナちゃん寝ちゃう事もないでしょ?」

「グンちゃん博識だから、魚の種類とか教えてよ」

 

あっちの海洋生物ならともかく、こっちのは良く分からないんだけど…。

 

まぁ、姉が荷物にならないのなら僕は良かったので、親達と共に水族館に行く。

館内は薄暗く、水槽内がよく見えるようになっていた。

 

「グンジョウ、これ何だろう?」

「何だろうね? 文字読めないんだよなぁ…」

 

こちらの言語で説明が書いてあるのだろうが、それについては学習も何も出来なかったので、プレート内の文字を読む事が出来ず、僕も姉同様首を傾げる。

水槽の中で、フヨフヨと動くこれは一体何なのだろうか?

 

「クラゲって書いてあるのよ。毒があるのとないのがあってね。毒があるのは刺されたら数時間で死ぬくらい、危ないものなの。ここにいるのは毒なしのクラゲね」

「「へー…」」

 

見てる分には楽しいが、そんな危ない種類がいるのか。

リューネの海にはいない種類だな。

 

次に来たのは大きい水槽で、大小様々な魚が泳いでいる。

 

「ママ、あれ何?」

「あの大きいやつは鮫だな。鮫は基本的に肉食で、穏やかな奴は一握りだ。遠泳に出なければ会う確率は低いとはいえ、稀に浅瀬に来て捕食する奴もいるから気をつけろ。ちなみに、ある種類の鮫の卵は三大珍味として食されている。あのでかいヒレはフカヒレと言ってな、工程は面倒臭いが高級食材として扱われている」

 

気を付けろって…別にこっちで海遊びするわけでもないから、その説明はいるのだろうか…。

 

あと、珍味あたりでシャナが食いついたので、食い意地張りすぎだろと姉を呆れた目で見た。

両親は僕らから少し離れた所で、同じく水槽を見上げて何か話している。

そういえばユエは? と思った僕は、辺りを見渡した。

 

水槽のガラスに手を添え、見上げている彼女を見つけた僕は、声をかける。

 

「ユエ、何してんの?」

「うん? いや、水の中って綺麗なんだなぁって思って。夏とかに海へ入る事はあるけど、見上げる事なんて無いから。あとね、アオちゃん。私、青色好きなの。この水槽の中にある光、人工のものだろうけど青色でしょ? 良いなぁ、綺麗だなぁって見てたの」

 

ユエはそう言って、僕に微笑んだ。

あっそう、と僕は彼女に返事を返し、同じく水槽を見上げた。

 

確かにキラキラ光って綺麗だし、幻想的ではある。

でも、彼女の住まいであるトリスタン領は海辺があるのだし、夏に魔法を使って海へ潜ってから、この光景を見れば良いだけの話なのでは無いだろうか?

青色が好きって事も、どうせ僕の髪と目の色が青だからだろう、と冷めた目でユエを見る。

 

おばさんの講義に満足したのか、シャナが僕らを呼びに来た。

次はペンギンという鳥類を見に行くと、姉はテンション高く言いながら僕の腕を引っ張ってくる。

 

今の僕がここにいたのなら、昔の僕を殴っていた事だろう。

光に照らされるユエは、綺麗で可愛くて神々しいくらい美しかったというのに。

それを、あっそう、だけで済ますとは。

やり直せるのなら、やり直したいと思う。

取り敢えず、この時の僕に言いたい事は、お前の目は節穴かクソボケが、だ。

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