my way of life   作:桜舞

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385話『番外編1-6』

「うわぁ! 水の中泳いでる! あれ本当に鳥?!」

 

シャナがペンギンと呼ばれる鳥類を見て、はしゃぎながら声を上げる。

リューネにいる鳥は飛ぶか歩くかだから、泳いでるのを初めて見る僕も物珍しげにペンギンを見た。

 

「基本肺呼吸だろうに…何処かにエラ呼吸用の器官でもあるのかな…」

「ないわよ? 水中を潜っている間は呼吸を止めているの。えぇと…確か、空気を留めておける器官があるのよ。それを使って海中にいる獲物を捕食したり、長い間潜っても平気…だったわよね、カヅキ?」

 

僕の疑問に母様が答えてくれるが、うろ覚えだったようでおばさんに尋ねる。

そうだな、とおばさんは言い、詳しく説明してくれたのだが、ペンギンの生態ってどうなってるんだろうか?

 

「人にもこんな機能があったら、もっと生活しやすくなるのかな…」

「いや、グンちゃん。そのための機械とか道具があるんだからさ…」

 

ポツリと呟いた僕の言葉に、ユタカがツッコミを入れて来る。

でも、海の中を車並みのスピードで泳げるって、結構便利じゃ無いだろうか?

船とか航空艦とか使わなくても、その場所に行けるって事だし。

 

「そう考えるのグンジョウだけだと思う…ひゃ?!」

 

ペンギンが跳ねた事により、水飛沫がシャナの頭にかかった。

うぇぇ…と、僕に手を差し出して来る姉へ、ポケットからハンカチを出して頭を拭いてあげる。

 

「シャナちゃん…」

「かかったのが私なら良かったのに…羨ましい…」

 

双子の視線をガン無視して、シャナを連れ水槽から離れた。

 

「あらあらまぁ、髪濡れちゃったのシャナ? こっちいらっしゃい、乾かすから」

 

母様が手招きで姉を呼び、シャナの頭に手を置いた一瞬で乾かしたらしい。

ショボっとしてた姉がニコニコになったのが、その証拠だ。

そのあと色々見て周り、電波塔を後にする。

 

宿泊施設に帰るにはまだ早い時間だが、この後どこに行くのだろう?

 

「近くに浅草寺があるのだけど、その前に篠原家のお墓参りに行きましょうか。確かここ近辺だったものね、カヅキ?」

「そうだな。その後に、浅草寺へ観光に行くか」

 

母様とおばさんの先導で、お寺と呼ばれている場所に着く。

墓石と呼ばれる石がずらりと並んでいて、教会管理の墓地みたいだなと感想を抱いた。

 

「聞いた話、ここで肝試しをする人もいるらしいわよ?」

「罰当たりじゃ無いのか、それは…」

 

通路を進んでいる最中母様がそう言い、父様が眉を顰める。

そうね、なんて母様は苦笑していたけれど。

 

奥まった場所に辿り着き、母様は歩みを止める。

多分ここが、篠原家のお墓なんだろう。

大きな墓石の横にある石を、母様は覗き込んだ。

 

「やっぱりあるわよねぇ…」

「無いわけないだろ。ちなみに隣が要家の墓だ」

 

篠原家のよりはこじんまりしているが、これがおばさんの実家のか、なんて見てしまう。

あと、その石なんだろう?

 

僕の視線に気付いた母様が、苦笑しながら教えてくれる。

 

「この石にはね、亡くなった人の名前が彫られるの。ここにあたしの前の名前が彫られてて、やっぱりあたし死んでるのねぇ、なんて思っただけよ」

「どれがシャルのだ?」

 

父様も覗き込み、これと母様が指を差した。

全く読めない字だが、父様はそれを愛おしそうに撫でる。

みんなで手を合わせ、墓に眠っているであろう故人に祈りを捧げた。

 

さて帰ろうか、という時に、おばさんが警戒を露わにする。

 

「おばさん…?」

「しっ!」

 

僕らに光学迷彩の魔法をかけ、静かに移動しろとジェスチャーでおばさんは指示を出した。

僕らはそれに頷き、ゆっくりと移動する。

 

僕らとすれ違うように、一人の女性が横を通り過ぎていった。

しかし数歩歩いた所で、その女性は立ち止まり振り返る。

 

「…カヅキさん?」

 

え、何この人。

なんでおばさんの名前知ってんの?

いや、ただの偶然か?

 

驚いた僕の服を、ユエが引っ張ってきた。

行くよ、と進行方向に指を差す。

うん、と僕は頷き、墓地を後にした。

 

人気がない所で光学迷彩を解除したおばさんは、珍しく深いため息を吐く。

 

「危なかった…」

「あの子、直感力上がってない? まだこの時代、長谷川生きてるのかしら…それなら納得なのだけれど… いや、それにしてもあたし達の気配、というかカヅキに気付くなんて…どんだけ執着してるのよあの子…」

 

僕らには分からない会話を、二人がする。

父様も疑問に思ったのだろう、母様に尋ねた。

 

「先程の女性は誰だ、シャル?」

「あたしの妹よ。生前の、だけど」

 

へぇ、あれが。

母様から少し話に聞いていた、カヅキおばさんに執着していたっていう、あの。

いや、過去形ではなく今もか。

 

「怖…」

「あの人に毎日突っかかられてたんだ、母様…大変だったんだね…」

 

母様に同情的な目を向けると、肩を竦められてしまった。

 

「人の話を聞かない子だったからね。その癖、自分はカヅキから愛されているという、ありもしない妄想を抱いていて…彼を縛っているあたしがおかしい、って何度言われた事か。縛るも何も、カヅキはあたしの専属護衛だったし、婚約者だったわけだし。文句があるならお父様達に言えって、何度長谷川が忠告していたか…」

 

カヅキおばさんも頭が痛そうにしているし、もうリューネに帰った方が良いのではないだろうか?

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