my way of life   作:桜舞

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388話『番外編1-9』

夜景が見える大きな窓も損壊しており、そこにも人が倒れている様子が見えた。

リビングに設置されているソファーに母様が座り、いつもの母からは想像が出来ないような感じで、偉そうにそこへ座っている。

両隣には、父様とカヅキおばさんが立っていた。

 

三人と対峙するようにいるのは、昼間見た人ともう一人。

部屋が暗いせいと、その人の着ている服が黒だった為、よく目を凝らさないと見えなかった。

 

夏月(かづき)夏月(かづき)と…貴様の頭の中はどうなっているんだ、真子。それに、確信を持たず篠原の裏部隊を動かすなど…愚の骨頂過ぎるだろう。貴様、篠原の次期総帥という自覚はあるのか? 冬夏、お前がついていながら何をやっている。私が既に死人だという事は、お前も分かっているはずだ。何故真子の暴挙を止めなかった。ただ真子の護衛をすれば良いと言う話ではない。主人が暴走する時、それを嗜めるのも護衛の務めと心得よ」

 

ギロッと鋭い眼光で黒服の人を母様は睨む。

というかトウカって誰?

 

「申し訳ありません、夏月(なつき)お嬢様…まさか、と自分も思ったのですが…再び合見(あいまみ)えれた事、嬉しく思います。死人なのは理解していたのですが…真子様がどうしてもと…これでも止めたのです。お嬢様も兄も、亡くなってから十年以上経ちました。有り得ないと説得も致しましたが…」

「コイツが止められなかったのは、まぁ…暴力に訴えるわけにもいかなかったんだろう。言葉なり何なりで、止めて欲しかった所ではあるがな。真子に甘い所は治っていないようだな、冬夏」

 

トウカと呼ばれたその人は、カヅキおばさんの弟なのだろう。

おばさんの言葉に、トウカと呼ばれた人はおばさんが自分の兄だと気付いたようだが、それを叔母様に言うつもりはないようだった。

気付いていないのは、叔母様ただ一人。

 

「お姉様!! 私の話を…!!」

「聞いている。全く……嘆かわしい。貴様のその執着、もっと別の事に活かそうとは思わないのか。最小限で来た事は褒めてやるが……良い加減にしろ、真子。これが私ではなく、一般人だったらどうするつもりだったんだ、貴様は」

 

鋭い眼光が、トウカさんから叔母様に向けられる。

いつもの母様なら、僕らに対して怒る時は何がどうして悪かったのか、説明しながらお説教してくるのに。

今の母様は、人ではあるのだけど…何処か人離れした冷たさがあった。

 

「篠原の権限で金を積むか? それとも口封じで、一家全員殺すか? 貴様はそんなに愚か者だったか? 私の跡を継いだ重責は理解出来る。私に行われてきた教育の数々も、貴様には負担だろう。だが、それが篠原の総帥というものだ。その家に生まれたのだから、責務を果たせ。嫌なら、他の分家の者に跡を任せ、逃げれば良かったものを…」

 

嘆息する母様に、叔母様が噛み付く。

そんな事しても、火に油なのを理解していないようだ。

 

「お、お姉様には分かりませんわ!! 逃げられる環境ではないのは、お姉様だって理解しているはずでしょう?! 私だって好きでやっているわけでは有りませんわ!!」

「だから責務を果たせと言っているだろう。世迷言もそこまでにしろ、真子。ここの後始末は私がしてやろうではないか。それで私達に関わるのはもう止めろ。これ以上は、お前も無事では済まぬ。冬夏、真子。これは警告だ。私達の前から去れ」

 

母様の声が、部屋に冷たく響く。

シャナも僕の背後でその声を聞いていたようで、僕の服をギュッと握りしめた。

 

二人分の体重が乗ったせいか、扉が音を立てる。

その音に気付いた叔母様が、僕らの方を振り返った。

 

「誰ですの?! もしかして夏月(かづき)さん?!」

「……はぁ…」

 

頭が痛そうに、母様がため息を吐く。

指を鳴らし、魔法を使って僕らの部屋の前にいた人達を退かした。

 

「ご、ごめん、母様…」

「母様?! お姉様、夏月(かづき)さんと結婚なさって子供まで?!」

 

謝りながら部屋の外に出ると、僕の言葉を聞いた叔母様が母様へと怒鳴る。

更に頭が痛そうに眉を顰めた母様は、叔母様の言葉に反論した。

 

「誰が夏月(かづき)との子だと言った。あの子達は、私とここにいる彼の子だ。何処に、夏月(かづき)に似ている要素があると言うんだ。言ってみろ、真子」

 

目つきも口調もキツくなった母様に、僕らは驚く。

いつもの母様なら、怒ってもそこまで目つきがキツくなる事はない。

これは相当怒っていると感じた。

 

「シャ…ナツキ、落ち着け。カヅキに執着しているのだろう? そう思っても仕方ないと思う…のだが…」

 

いつものようにシャルと言いそうになった父様は、母様の肩に手を置いて落ち着くよう説得する。

僕もシャナも、いつもより冷たい口調の母様が怖くて、その場から動けずただ見つめる他ない。

 

「なら、夏月(かづき)さんは何処に? いるのは分かってるんですのよ?!」

「目の前にずっといるだろうが…」

 

おばさんも頭が痛そうに押さえている。

え、と叔母様が間の抜けた声を上げ、おばさんを見た。

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