my way of life   作:桜舞

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389話『番外編1-10』

「珍しい。真子に対して、沈黙を貫くかと思っていたのだが。自分の正体をバラすのだな、カヅキ?」

「もうそろそろ、私だって眠くなってきたんだ。早くお引き取り願いたいんだよ」

 

大きく欠伸をし、おばさんは叔母様と視線を合わせる。

叔母様は信じられないものを見たかのように、頭を振った。

 

「嘘、嘘よ!! 夏月さんは、男性のはずでしょう?!」

「生まれ直したら、確率など二分の一だろう。生まれ直した結果、私は女になった。それだけの話だ」

 

やれやれと、おばさんは肩を竦める。

また嘘だと呟く叔母様に、母様が痺れを切らしたのだろう。

ブワッと魔力風が吹き始めた。

 

「シャル!! 流石にここで魔法を使うのは…!!」

「安心しろ、ナズナ。気絶させるだけだ。カヅキ、記憶操作をしておけ。真子、お前の短慮さは欠点だ。それが自分の首を絞める事にもなる。お前ももういい大人だ。少しは考えて行動しろ。では、もう会う事もないだろう。息災でな、真子」

 

母様が腕を横に振る。

叔母様とトウカさんに重力がかかったようで、廊下まで吹っ飛ばされていった。

そちらを見ると二人ともグッタリして動かず、その傍へおばさんが歩いて行く。

 

「何うっさい…って、何これ?!」

「アオちゃん無事?! 怪我してない?!」

 

やっと騒動が治った後、ユエとユタカが寝ぼけ眼を擦り部屋から出てきた。

そして、惨状を見てユタカは驚き、ユエは僕の安否を確認してくる。

 

「僕は無事。シャナもね。あの、母様…」

 

僕は恐る恐る母様の方を見た。

母様は時魔法を使って部屋の状態を戻しているようで、僕の問いかけに首を傾げる。

 

「ん? あぁ、驚かせてしまったわね。ごめんなさいね、二人とも。うちの愚妹のカヅキカヅキ発言にイライラしてしまって…」

 

とりあえずいつもの母様だと、僕とシャナはホッと胸を撫で下ろす。

だが、母様を後ろから抱きしめた父様が、珍しく母様へ怒鳴った。

 

「だから!! あれはやめろって何度懇願すればいいんだ、シャル?!」

「…煩いわねぇ…別に貴方に向けてないんだから良いじゃないの。耳元で怒鳴らないで頂戴よ…」

 

耳を押さえ、母様が顔を顰める。

廊下や窓際に倒れていた人達が影に沈み始め、おばさんが篠原家に送り返そうとしているのだな、と思った。

 

「痴話喧嘩もそこまでにしておけ、二人とも。お前達。目が冴えてしまったかもしれんが、寝ろ。私ももう寝る」

 

僕らはおばさんの言葉に素直に従い、次の日を迎える。

朝から両親の姿が見えなかったが、どうせ昨日お盛んだったんだろうと、おばさんから言われた。

 

この時の叔母様が苛烈過ぎて、母様の妹なのかとほんの少し疑ってしまった。

人の話全く聞かなかったし。

母様と性格が真反対過ぎて、あれが母親でなくて良かったと本気で思った。

 

◆◆◆

 

「アオ。起きて、アオ。もう朝だよ?」

 

体を揺さぶられて、僕は目を覚ます。

目の前がボヤけていて、僕はサイドテーブルに置いてある眼鏡を手に取り、かけた。

横を見ると、ユエが不思議そうな顔で僕を覗き込んでいる。

 

「…ごめん、ユエ。今王歴何年?」

「え? 寝惚けてる? リューネ王歴、527年だよ? アオ、体調悪い?」

 

ユエが僕の額に手を乗せて、心配そうな顔をした。

確か、僕が13の時521年だったから…。

 

「あー…うん、寝惚けてる。おはよう、ユエ。なんか、昔の夢見てた…」

「昔っていつ?」

 

僕は起き上がり、彼女を抱きしめる。

いつものように甘い匂いと柔らかい体に、やっとこれが現実なのだと頭が認識し始めた。

 

「僕らが中等部生だった時、日本に家族旅行へ行っただろ?」

「あー、あの時。2泊3日なのに、1日目の夜に凄い事起こったあれ。あの日の夢見てたんだ、アオ」

 

うん、と僕は頷きながらユエの胸に顔を埋める。

別に夫婦なんだから、これくらいは良いだろう。

ユエは僕の頭を撫でながら、苦笑したようだ。

 

「あの時のアオ、結構冷たかったよね。友人以下みたいな対応で。私やユタカも大概だったけど」

「あれより前に君を好きだと自覚出来ていれば、デート出来たのにな、って少し残念に思うよ」

 

クスクスと、僕の頭上でユエは笑う。

それすらも良い思い出だとでも言うように。

 

「あの時の写真まだあるけど…アオいる?」

「いる。頂戴、ユエ。あ、その前に」

 

僕は顔を上げ、ユエにキスをする。

式を挙げてから、まだ一ヶ月しか経っていない新婚なわけで。

 

「おはようのキスするの、忘れてた」

「もう……馬鹿」

 

少し頬を染めるユエが可愛くて、僕はニッと笑う。

 

しかし、行けるならまた日本へ行ってみたいものだ。

今度は、ユエと夫婦として。

あと、翻訳魔法は僕も彼女も必要はないだろう。

だって、前世は日本人だったわけだからね。




長くなってしもうた…
番外編1、これで終了です
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