my way of life   作:桜舞

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393話『番外編2-4』

いつも使ってる専用艦とは違い、席がずらりと並んでいた。

前から詰めていくスタイルだったので、座るまで時間がかかる。

とりあえず、僕とシャナ、シンクでの三人掛けになる事は出来たけれど。

 

「景色見えないね?」

「そりゃ真ん中の席だし? ユタカ何処かねぇ?」

 

まだ飛ぶ時間ではないからと、シンクは身を乗り出して後方を見る。

僕は収納空間から本を取り出して、読み始めた。

どうせ、ベルカに着くまで数時間掛かるのだし、今のこのペースでいけば、一時間後には全生徒収容出来るだろうと踏んだからだ。

 

「グンジョウ、ユエちゃんの席確認しなくても良いの?」

「別に。自由時間には合流するんだし、同じホテルに泊まるんだから、就寝時間まで話す事だって出来る。今席の確認したって、どうしようもないだろ」

 

ページを捲りながら、シャナに返答していると頭を小突かれる。

シャナとは逆方向のそれに僕は驚き、え、と顔を上げると、不機嫌そうなユエがそこにいた。

 

「アオ冷たい。酷い。確かにそうだけど、少しは姿見ようとか思わないわけ? 一応私、婚約者だし恋人なんだけど。本当、本読むと人格変わるんだもんね、アオは。そんなに本好きなら、本とご結婚遊ばしたら宜しいんじゃないでしょうかね、グンジョウ王太子殿下」

「え、ちょ、待ってユエ?! 無機物と結婚出来な…じゃない!! そんな不機嫌にならない…あぁ?! だから待てっての?!」

 

スタスタと自分の席に戻って行ったユエを、僕は慌てて追いかけようとする。

途端、おばさんから帳簿で頭を叩かれたが。

 

「いっ…?!」

「痴話喧嘩なら、離陸してからにしろ。もうそろそろ出発するぞ。シートベルトをして、大人しく席に座っとけ」

 

問題解決してないのに席に座れるわけないだろ?!

 

と言いたかったが、おばさんに逆らって勝てるのは、この世でただ一人。

ユーリおじさんだけである。

 

僕は言われた通り大人しく座り、ユエに念話を飛ばしたが拒否されてるのか繋がらない。

どうしようと頭を抱えてしまう。

 

「あーあー…だから言ったのに…」

「ユタカに確認したけど、めっちゃ不機嫌らしいぞユエ。罪悪感で泣いてもいないから、これ完璧頭に来てるパターンだな。グンジョウ、席立てるようになったら、ユエの機嫌取りに行った方がいいぞ」

 

…どうしよう。

だってさぁ、席立ってユエとイチャつくわけにもいかないだろ?!

ユタカと席変わってとかも言えないしさぁ?!

人の目もあるし!!

 

「………はぁ……」

 

僕は深いため息をつく。

航空艦が離陸したようで、軽い浮遊感が体に来た。

暫くしてから、シートベルトを外していいとアナウンスがあり、僕は立ち上がってユエの所に行く。

 

「あ、グンちゃん。ユエ、グンちゃん来たよ」

「知らない。殿下は本の方がお好きですから、存分に本とイチャついていれば宜しいかと」

 

ユタカが廊下側で、僕が来た事をユエに知らせるが、彼女は窓の外を見ながら棘がある言い方をした。

 

いや、うん、さっきの僕も似たような事やったから、何も言えないんだけどね。

 

「ユタカ、ちょっと席変わってもらえる?」

「じゃあ私、シンクの所に行ってくるね。ユエ、ちゃんと仲直りしないと、気不味いまま修学旅行回る事になるよ。嫌なら、グンちゃんと仲直りしなよー?」

 

ユタカは席を立ち、自分の妹にそう言って僕の横を通り、シンクの所へ歩いて行った。

空いた席に座り、話しかける。

 

「ユエ、悪かったよ。ここで君の姿を見なくても、後で会えるからって思ってたんだ。人の目があるから、僕が君の所に行ってイチャつくの嫌がるだろうって思って…」

「そう思いつつ、本読んでたのは殿下ですけど」

 

僕が本読むの、いつもの事なんですけどね…。

一応修学旅行っていう手前、学習する為の旅行なわけで…。

普通の旅行なら、ユエとイチャつきつつ、口説いてるに決まってるだろうに。

どうしたら許してくれるかなぁ…。

 

「ご自分で考えては?」

「読まないでもらって良いかなぁ…。別に、他の女性に言い寄ったわけでもないのに…。うーん…なら、こうしようじゃないかユエ。修学旅行中、僕は一切本を読まない。携帯小説も。自由時間も、就寝前の時間も全部君の為に使う。それでも嫌なら、僕はもうお手上げなんだけど…駄目かな?」

 

ん、とユエは僕に手を差し出してくる。

その手を取ると、彼女から思念が流れ込んできた。

 

寂しかったのと、そこまでしなくて良いという気持ち。

あと短気でごめんという謝罪。

 

素直じゃないなぁ、と僕は苦笑しつつ、そこが少し困る所ではあるが君の可愛い所だよ、とユエに考えを読ませる。

 

「…そう思うの、アオだけだよ…」

「なら、君の魅力に気付けてるのはこの世で僕だけって事になるね。ね、ユエ。愛してるよ」

 

最後は彼女の耳元で囁く。

ユエは頬を染め、私もと言ってくれた。

 

よし、機嫌治ったぞ…!!

これで心置き無く、ユエとベルカでイチャつける…!!

 

心の中でガッツポーズをしていると、ユタカが戻ってくる。

僕とユエの様子を見て、ニコリと微笑んだ。

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