my way of life   作:桜舞

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398話『番外編2-9』

その言葉で、僕はユエに抱いていた劣情が引っ込んだのだが、逆にユエがシャナを睨みつけた。

 

「シャナちゃん? アオとお風呂入った事、ツルギにバラしても良いんだよ? 私、ツルギと同じクラスなんだからね? アオからじゃなく、シャナちゃんから誘ったって言うよ? だって事実だもんね。ね、シャナちゃん?」

 

ユエの顔を見たシャナが、ヒィッ、と引き攣った悲鳴を上げる。

彼女に弱み握られてるのは、僕もなんだけどなぁ…。

それ言われた瞬間、ツルギに殴られやしないだろうか、僕。

 

「アオも同罪なのは、分かっているようで何より」

「はい、すみません…」

 

謝罪しながらも、僕は思う。

 

初夜で絶対、ドロドロに泣かせて啼かせまくってやる…!!

 

心の中で拳を握っていると、両隣にいた女性陣から冷ややかな目を向けられた。

 

だから読むなって言ってんだろ?!

僕のプライバシーとか、配慮してくれないわけ?!

 

結局ユエは、ローストビーフを選んで自分の席へ戻り、シャナはシャナでうちの弟サイテーとか言って、ユエが選ばなかった方のスコッチエッグを取ってから、僕から離れていく。

 

食欲が失せた僕はそのままトボトボと自分の席に帰り、テーブルに突っ伏した。

 

「自業自得だろ。我欲出過ぎ。ちったぁ取り繕えや、兄ちゃん」

「うっせぇ…」

 

いつの間にサラダを取っていたのか、弟が野菜を食いながら僕に注意してくる。

 

これ、就寝前の自由時間にユエと話す機会を持つ、なんて事…出来ないんだろうなぁ…。

いや、待ち合わせ場所も決めてないから、実質無理ゲー?

終わった…。

 

はは、なんて乾いた笑いが出たが途端、携帯が震える。

 

誰だよ。

どうせ母様辺りが、楽しんでるかー、とかメッセ飛ばしてきたんだろ。

 

そう思い、携帯のロックを外す。

しかし、僕の予想に反してそれはユエからで、夕飯が終わった後、外の庭にある噴水へ来るよう書いてあった。

 

これあれかなぁ…怒られるパターンかなぁ。

城じゃないから、そんな派手にイチャつけるわけないし。

先生方の巡回もあるから、目は厳しいはずだし。

 

僕は分かったと返信し、ポケットに携帯を入れた。

 

夕飯の時間が終わり、僕はユエに指定された噴水に行く。

少し暗がりになっている所で、彼女が僕を待っていた。

 

「ユエ、あの…」

「アオのえっち。ちょっとビックリしたよ。人いっぱいいるのに、あんな事考えるんだもん。その…来月アオの誕生日だよね? 婚姻届書いてもらっても良い? 受理されたら…あの…」

 

顔を真っ赤にして言い淀むユエを、僕は抱きしめる。

 

「うん。考えてた通りの事してあげる。覚悟しててよ、ユエ」

「…うん」

 

僕の背に腕を回し、彼女は甘えるように頬擦りしてきた。

可愛いと思いつつ、ユエの頭を撫でる。

 

僕の彼女マジ可愛い。

ヤバい。

周り暗いし、少しくらいつまみ食いしても…。

 

「アオ?」

「分かってます。分かってるんで、あの、爪立てないでもらって良いですかユエさん。痛いです」

 

ユエは僕を見上げながら、背中に爪を立ててくる。

普通の彼女の爪だったなら痛くはないのだが、魔法を使って伸ばし、硬質化しているのか刺さってとても痛い。

 

「アオが悪い」

「はい、その通りです」

 

修学って言っても旅行だからかなぁ。

少し羽目を外しそうになる。

 

僕はユエから離れ、また彼女の頭を撫でた。

もう部屋に帰ろうかと言いながら。

 

「明日の自由時間、デートしてくれる?」

「勿論。君とのデートなら、いくらでもしたいからね」

 

上目遣いで僕を見る彼女の頬に、キスを落とした。

 

◆◆◆

 

夕飯前の宣言通り、シンクは和室に布団を引いてそこで寝ると言い、好きにしろと思った僕は、空いてる一室に置いていた自分の荷物から本を取り、収納空間に入れていく。

ユエとの約束を守るためだ。

そして就寝時間まで、ユエとメッセのやり取りをして寝る。

 

アラームが鳴る前に起きた僕は、今何時だと携帯を手に取り見た。

 

「あ…やべ……」

 

画面がはっきり見えたのと目元の線に、僕は眼鏡をかけたまま寝てしまったと気が付く。

おやすみとユエからのメッセを見た瞬間、寝落ちしてしまったのかと思った。

 

「何だっけ…寝落ちって気絶と一緒って話…だっけ……あぁ…ユエにまた怒られる…」

 

また眼鏡かけて寝たの?!

 

なんて、彼女の声が脳内で普通に再生される。

まぁ、あれ以来予備の眼鏡収納空間に入れてはいるけど…それも全部壊したら、ルカさんからどんな叱責を受ける事やら。

 

「ユエに会いたいなぁ…」

 

彼女を抱きしめて二度寝したい。

そんな願望叶うわけもなく、僕は起き上がって寝室の外に出る。

先ほど確認したら午前四時。

僕以外はまだ寝ているようだ。

 

リューネとの時差を考えると、13時間程だから…。

今向こうは、昨日の午後3時くらいかな。

 

航空艦の進みが早いから、あんまり時差を感じずに来れるけれど。

今頃母様は、おばさんとティータイム中だろうか。

 

二度寝をしても良いけれど、そんな気分になれなくて部屋の外に出た。

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