my way of life   作:桜舞

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40話『シャナちゃんみたいに出来ないんだよ』

と、ここまでは話された内容ではある。

確かに地下にあるからか見る限り中は暗そうだ。

多分通気口とか方々にあったのだろうが、今は土が上に累積して塞がっている。

 

「火魔法使ったら、酸素不足で死にそうだな…」

 

かと言って、僕光魔法とか使えないんだけど。

一般販売されているライトだと心許なさすぎる。

 

シャナの補修を手伝うから、とカヅキおばさんを説得してシャナを連れてくるべきだったか。

 

「一応ママからデバイス借りてきたから、光魔法使おうと思えば使えるけど?」

 

ユエがスカートのポケットから、携帯型の何かを取り出す。

彼女が持っているのは、魔力制御が苦手なおばさんが、自分用に開発したものを一般用として売り出しているものだ。

 

いつの間に制服から着替えたのか、ユエとユタカは、左右対称の軍服みたいなものを着ている。

僕、制服のまんまなんだけど。

 

「お願い出来る? あといつの間に着替えたの君達」

「え、服転送しただけだけど…?」

 

ユタカが何を言っているのだろう、と言った感じで首を傾げる。

魔力量多いと、そんな芸当が出来るのか羨ましい。

 

「まぁ、別に破れても替えの制服まだあるから良いけどさ…」

 

ユエが光魔法を発動させる。

光の玉が僕らの周りを浮遊した。

 

「これで限界だからね。シャナちゃんみたいに出来ないんだよ、普通は」

「何も言ってないだろ。それ以上に僕が魔法使えないっていうのに…」

 

ユエがジト目で、僕を見ながら言う。

別に、シャナと同様の事をしろなんて一言も言ってない。

いたら楽だな、なんて考えていただけで、ユエに対して何も言っていないのに。

 

「グンちゃん、ポーカーフェイス苦手だよね。そこ、ナッちゃんに怒られた事ない? ナズナおじさま見習った方がいいよ? それか、ナッちゃんが総帥モードって言ってる状態とか」

「え、マジで…? ごめん、全く自覚なかった…」

 

あと、母様には怒られた事ない。

百面相してるのシャナの方だと思ってた。

僕もだったか、と軽く落ち込む。

 

「ユタカ、余計な事言わないでよ。アオ、まだ私達と同じ16なんだよ? 出来ないの当たり前じゃん」

「正確には、シルフ1の月生まれだから、まだ15なんだけどね…いや、本当にごめん…」

 

落ち込んでいる僕の腕に、ユタカが自分の腕を絡めてきた。

 

「グンちゃん、王太子モードの時は出来てるから心配しないで。それに、そんなグンちゃん可愛いと思うよ? ユエみたいに、私目くじら立てないし」

「はぁ? 目くじらなんて立ててないでしょ? 私の魔法見て、シャナちゃんがいたらなぁ、って顔してたからそう指摘しただけで…! てか、ユタカ! アオに触るなって言ってんでしょ?! アオは私の大切な人なんだから!!」

 

ユタカの腕を掴んで、ユエが自分の姉に怒っている。

だけどユタカは僕に抱きつく力を強めた。

 

「私にとっても大切な人だよ。そんなに怒ってたら、グンちゃんに呆れられるんじゃない? ねぇ、グンちゃん? ユエより私の方がグンちゃんの事好きだよ? ユエと婚約破棄して私にしない?」

「勝手な事言うなって言ってんでしょ?! 

……っ!! アオっ! いつまでユタカ抱きつかせてんの?! もう知らないっ!!」

 

激昂したユエは、遺跡の方へ駆けて行ってしまう。

姉妹喧嘩をぼんやり眺めていた僕だったが、少しどころではなく、不味い事態に陥っている事に気付いて、ユタカの腕を外した。

 

「ちょっと待ってユエ!! 一人で行動、の前に! 僕が悪かった!! あぁ、もう!! ユタカ、周囲の警戒しといて!」

 

脚力強化を施し、ユエの後を追う。

グンちゃん、なんて声が後方から聞こえたが、今は構っている余裕はない。

 

マズイ、本当にこれはマズイ!!

遺跡の構造自体把握出来ていないというのに、一人で先に行かせてしまった。

更に言えば、恋人を傷つけてしまった。

 

ユエとユタカの喧嘩なんて日常茶飯事だから、結構放置してしまう事が多々ある。

今回も少しの怒鳴り合いの後、遺跡調査に入ると思っていた。

 

「あぁ、くそっ!! 僕のど阿呆!!」

 

前回とは違うではないか。

ユエは今、僕の恋人だ。

僕の大切な人だ。

多分、いや十中八九泣いている。

 

「…っ! いた…っ!!」

 

見慣れた後ろ姿を見つけ、僕は急制動をかけた。

ズザーっと音がしたのにユエも気付いているはずだが、こちらを振り向こうともしない。

 

「あの、ユエ、ごめ…」

「私こそごめんね。別に怒る事の程じゃなかったのに。空気悪くしちゃった。戻ろう、アオ」

 

振り向いた彼女の顔は、困ったように笑っている。

だけど僕には、泣く一歩手前に見えた。

 

そのまま、僕の横を通り過ぎようとしたユエの腕を掴む。

 

「アオ? 手を離し…」

「ユエ。本当にごめん。言い訳にしかならないけど、僕が幼稚過ぎた。君達の喧嘩、いつも通りだと思ってたんだ。君を傷つけるなんて、思ってなかった。信じてくれないかもしれないけど、僕は君だけしか好きじゃない。君以外いらない。君に捨てられたら、多分抜け殻の状態で生きていく事になる。死ぬ事は許されないから。それでも君が離れたいと言うなら、僕にそれを引き止める権利はない。本当にごめん、ユエ。離したくはないけど、君に嫌われたら…」

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