my way of life   作:桜舞

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401話『番外編2-12』

「平気ではないけど…いや、それよりユエ? 場所考えようか? ここで攻撃魔法使うって、脅しでもちょっと看過出来ないよ?」

「それより?! 彼女襲われるのがそれよりって何?! アオ、酷い!! 最低!!」

 

癇癪起こすなよ?!

君、王太子妃になるって自覚ある?!

 

ユタカとシンクもユエの方を見つつ、あーあ、と少し呆れた声を出した。

僕はユエの腕を掴み、人気がない所まで彼女を連れて行く。

 

「あのさ、ユエ? ここ何処だと思ってんの? リューネじゃない、ベルカ帝国なんだよ? ここで何か問題を起こしてみろ、国際問題になりかねないんだよ。王太子妃になるんだから、ちょっと考えてからものを言ってくれないかな」

「それはごめんなさい。でも、それよりって何? 私が非力で他の人に貞操奪われたら、アオは平気だって言うの?」

 

んな事一言も言ってねぇだろうが!!

 

僕は少しイライラして髪を掻きむしる。

なんて言えば彼女は理解してくれるだろうか。

 

「それよりって言って悪かった。お前が襲われたら、僕だって平気でいられるわけがない。相手の男を殺すに決まってんだろ。傍観してたのも、シンクの方に気を取られていた。それが言い訳にしかならないのは、理解している。だけど、僕の言い分も分かってくれ。僕は王族で、お前はその妃になる。王族の一員になるんだ。ここで国際問題を起こしたら、僕と結婚出来ないなんて騒ぎじゃなくなる。下手したら、国家間の戦争になるんだ。お前達一族の首を差し出した所で収まる話じゃない。分かるね?」

 

彼女の肩を掴み、真剣な表情で言い聞かせる。

僕の顔を見たユエは口を引き結び、自分の胸あたりの服を握りしめ俯いた。

そしてか細い声で、ごめんなさい、と一言言う。

 

どうやら理解してくれたようで、僕は彼女の肩から手を離した。

途端、ビクリとユエの肩が跳ねる。

 

「…ユエ?」

「………ごめんなさい」

 

僕の横を通り過ぎようとした彼女の腕を、咄嗟に掴んだ。

俯いたままのユエは、顔を上げようとしない。

 

「ユエ、罪悪感に駆られてるのは分かっているんだけど、別に僕はお前を嫌いになったり婚約破棄しようとはしない。というか、なんでそんな思考になるかなぁ…」

「だ、だって…私、アオに相応しくないもん…っ!! こ、こ、こんな女、誰だって嫌だもん!! 私が男だったとしても、私みたいな女願い下げだもん!!」

 

ポロポロと大粒の涙を流しながら、しかし僕の方を一切見ようとしないユエの腕を引っ張った。

体勢を崩した彼女は、僕の腕の中へと収まる。

 

「そんな君が良いんだって。相応しいかそうじゃないかは、僕が決める事だ。それに君、妃教育の成果出てるし。短気な所が欠点ではあるけど、それは僕がカバーすれば良い。ねぇ、ユエ。僕から離れたい?」

 

問いかけると、ユエは首を思い切り横に振った。

涙に濡れた目で、彼女は僕を見る。

 

「アオ、本当に私で良いの…? 後悔してない…?」

「してないし、君が良い。後悔なんてするもんか。君の短気な所も、徐々に直していけば良いだけだ。まだ若いんだしさ、ね?」

 

精神年齢的にはどうか知らないけど、肉体年齢的には僕達若いんだし。

 

彼女に微笑むと、ユエは目を閉じた。

僕は周りに人がいない事を確認し、ユエにキスを落とす。

唇を離すと、ようやくユエが笑ってくれた。

 

「ベルカに来てまで喧嘩とか…私達、どうしようもないね?」

「全くだよ、僕の可愛いユエ。時間、あと一時間しかないし…もうここでのんびりしてから、バスに戻ろう」

 

ちょうどベンチがあったので、そこへユエと二人腰掛ける。

恋人繋ぎをし、頭をくっつけながら身を寄せ合った。

 

◆◆◆

 

2泊3日の修学旅行が終わり、僕らはリューネへと帰国する。

とりあえず帰国する直前で、両親と弟妹達には土産を買う事が出来た。

これで手ぶらで帰ったら、二番目の妹であるアンナからなんと言われる事やら。

 

そして、冬季休暇前の期末テスト。

僕やシンクは相変わらず主席だったわけだが、今回シャナも順位を上げていて驚く。

一体どうしたのかと姉に聞いてみたら、

 

「あんたがみっちりと共通語を教えてくれたから、順位上がっただけだよ。あとはツルギ君と一緒にしたからかなぁ」

 

なんて惚気混じりで言われる。

 

そりゃよう御座いましたね。

幸せそうで何より。

 

冬季休暇に入った直後、僕は両親から呼び出され父様の執務室へ行く。

ちょうどユエとお茶をしていた所だったので、彼女も心配になって付いてきた。

 

僕一人で入る所を、ユエの姿を見た母様が彼女も執務室内へ入れてくれる。

一体何用かと二人へ問いかけ、その返答に僕は頭を抱えた。

 

「それ本当なの、母様…?」

「本当。彼女の所を最後にしたのは、そこだけは絶対に安全だからなの。だって精霊の祠なんて、辿り着こうにもまず、迷いの森を踏破しなければならないのだから」

 

面白そうに言ってる所悪いんだけど、僕には全く面白くない。

むしろ冗談だと言って欲しかった。

 

「行ってくれるな、グンジョウ」

 

父様から言葉をかけられ、それが父としての言葉ではなく、王としての言葉だと感じ取った僕は嫌だとは言えず、はい、と返事を返す他ないのだった。




番外編2終了です
書いてて楽しいからついつい話数が…w
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