my way of life   作:桜舞

403 / 408
403話『番外編3-2』

「女性はみんな、妊娠すると魔力が不安定になるって。あと悪阻とか色々出るって聞いて…」

「悪阻はまだ出てないけど、その症状リューネ人だけでしょ? 私オーシア人だし」

 

オーシアでも同じじゃないんだ。

それは初めて知った。

 

「そうなんだ…いや、本当にごめんユエ。その話、おばさんと母様にはもうしたの?」

 

まだ、とユエは今度こそ魔力を霧散させ、握っていた拳を解いて振る。

 

「サカネ先生に診断して貰って、ちゃんと機械でも確認した。でも、アオへ一番に報告したいから、ママにも王妃様にも黙ってて貰うようにお願いしてたの」

「…そっか……そっかぁ……っ!!」

 

浮気とかの話じゃなくて良かったけど、突然の事でそこの思考がストップしていた僕は、彼女の前で蹲った。

今更ながらに実感したのだ。

 

僕、父親になるんだ。

嬉しい。

とても嬉しい。

子供を産む辛さは、分かち合えないけれど。

それでも、彼女のサポートはしていこう。

 

…父様とバトルしないといけないな、これ。

流石に身重の妻を置いて、出張になんて行けるわけがない。

 

「アオ? どうしたの? 体調悪い?」

「…大丈夫。ありがとう、ユエ。僕、今とても嬉しいんだ。父親にならせてくれて、ありがとう。愛しているよ、ユエ」

 

立ち上がり、ユエを抱きしめる。

ゆったり目の服を着ていたのも、そういう理由からだったのか。

疑って本当にごめん。

 

僕の背に腕を回したユエは、ふふふ、と笑った。

 

「陛下にちゃんと言ってね?」

「勿論だよ。君を置いて行けるわけない。最悪殴り合いの喧嘩に発展しても、絶対説き伏せてみせる」

 

その前に、母様達へ報告に行かなければ。

父様の所はその後だ。

今の時間、5番目の庭でお茶しているはずだからと、彼女を伴い歩く。

 

庭に到着すると、予想通り母様とおばさんがお茶をしていたのだが、その二人の前。

地面に頭を擦り付けて、土下座をしている蒼髪の男がいた。

蒼髪の男性なんて、僕か二人の弟しかいないわけなのだけど。

 

あの体格からして、土下座しているのはシンクだろう。

 

「本当にすんませんでした!!」

 

僕とユエが唖然とシンクを見つめていると、椅子に座ってお茶を飲んでいたおばさんが、面白そうなものを見る目で弟を見る。

 

「シンク。お前、特殊な性癖を持っているんだな? 土下座が趣味だったとは、いやはや。驚嘆に値する」

「いや、別に趣味なわけじゃ…性癖でもありませんし…」

 

弟はそう言いつつ、全く頭を上げようとしない。

一体何をやらかしたのか。

入り口で立ち往生をしている僕らに気付いたのか、母様が苦笑しながら手招きをしてくる。

 

僕はユエを伴い、二人に近付いた。

 

「おぉ。お帰り、グンジョウ。オーシアはどうだった?」

「貿易関連や技術関連の事で、陛下へご報告に行く前に…お二人へ先に報告をしておこうかと。もしもの時は、お力添え頂ければ…」

 

間怠っこしい言い方はよせ、とおばさんから怒られたので僕は簡潔に二人へ言った。

 

「ユエが、僕の子を身籠りました」

「お前も?!」

 

僕の言葉で顔を上げた弟が、驚いた顔で振り返る。

お前もって事は…。

 

「まさか、ユタカもなのか…?」

 

僕の問いに弟は頷き、また二人…というよりかは、おばさんに土下座し始めた。

 

「本当にすみませんでした!! この責任はちゃんと取ります!!」

「何故謝られているのか、全く理解出来ないんだが? ユタカが妊娠したから、なんだと言うんだ。シンクお前、私の研究室に入って金を稼いでいるだろう? 生活の基盤も出来ていたはずだ。何を謝る必要がある? 責任は取ると言いながら、逃げる算段をしているわけでもあるまい?」

 

それは絶対にないと、シンクは顔を上げ真剣な顔でおばさんを見る。

 

「ユタカを幸せにします。産まれてくる子も、絶対に」

「なら別に良い。子が産まれる前に、ちゃんと籍は入れろよ」

 

はい、と返事をし、シンクは立ち上がった。

弟の件で驚いてはいたが、まぁ、めでたい事が重なっただけなので、今度は父様の所へ言って口論しなきゃな、と内心で気合いを入れる。

しかしそれも、母様からの爆弾発言で霧散した。

 

「そういえば、星読みで見たのだけれど。あたしも来年妊娠して出産するわ。年齢的にこれで最後でしょうけど」

「「……はぁ?!」」

 

お茶を一口飲みつつ言う母親に、僕とシンクは目を見開いて驚く。

私もだな、と言うおばさんに、今度はユエが驚きの声を上げた。

 

「ママ?! 自分の年考えて?! 一番上と20も離れてるって、もうそれ私の子供って言っても疑われないレベルなんだけど?!」

「待てユエ。それ母様にも刺さる」

 

おばさんに対して言った言葉なのだが、僕は彼女の肩に手を置き、ストップをかける。

確か、母様とカヅキおばさんは同い年のはずだ。

僕はチラリと母様の方を見る。

 

怒っている様子はなく、むしろ苦笑いを浮かべている辺り、母様にも刺さってしまったらしい。

いや、僕も彼女と同意見だけれども。

 

というか、20歳差…ユエとユタカの出産予定は来年になるだろうから…うわ、僕の弟か妹かわからないけど、子供と弟妹が同い年…。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。