my way of life   作:桜舞

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406話『番外編3-5』

母様にお願いしようかとも思い話したのだが、自分達の子供でしょう、と言われてしまった。

全く以ってその通りなので、それ以上は言えなかったのだが。

 

「男の子だって診断されてるんだから、男の子の名前だけ考えれば良いのに」

「万が一女の子だった場合どうするんだよ。あー…自分のセンスの無さが恨めしい…!!」

 

頭を抱え、僕は蹲る。

 

妊娠が発覚してから、今まで全く決まらないって…僕の性格クソじゃないかなぁ…。

優柔不断な性格、マジ治したい…。

 

「産まれるまであと三ヶ月だぞーアオー」

「わかってるよぉ…!!」

 

ユエから言われ、僕は頭を抱えながら返した。

それからというもの、寝る間を惜しんで辞書やらと睨めっこする日々を過ごす。

あまり根を詰め過ぎないように、とユエからは心配されたが、名付けくらい考えられなくて何が父親なんだろうね、と彼女には返した。

 

そんな話をした一月後に、母様の妊娠が発覚してちょっと動揺したけれど…まぁ、ベルゼビュートだし、彼女が何かしても対処するのは母様達だしと自分に言い聞かせ、子供の名前どうしよう、とまた頭を悩ませる。

 

そして、ノーム2の月22日。

女の子ならこれ、男の子ならこれとようやく決まり、父様が出張している間の政務をしていた僕の所へ、ユエ付きの侍女が執務室へ転がり込むように現れた。

 

「殿下!! 妃殿下が産気付きました!!」

 

その言葉へ僕は驚き、持っていた書類を落とす。

紙が机や床に散乱し、床へと落ちた書類を書記官達が拾っていく様を、ただ目の端で眺めていた。

 

「ユ、ユエは…?」

 

僕の声はとても震えていた事だろう。

狼狽えている僕へ、叱責するように侍女は言う。

 

「王立病院へ参られました! 殿下もお早く!!」

 

そう言われ、僕は慌てて執務室を飛び出した。

部屋の中、仕事をしていた書記官の中にエミル君がいてくれたので、後は何とかしてくれると願おう。

 

玄関口に王族専用の車が横付けされており、それへ飛び乗る。

目的地も何も言ってなかったが、連絡が入っていたのだろう。

車はスムーズに病院へ向かった。

 

病院の中で走るわけにもいかず、僕は早歩きになりながらユエがいるという分娩室前へ行く。

その部屋の前にシンクがいて、お前の所もかよと頭の片隅で思った。

 

「シンク、ユタカは」

「ユエと大体同じ時間に入ってった……はぁ……大丈夫かなぁ…出産で死ぬ事もあるって、聞いてたから…いや、おばさんとかが付いてるから大丈夫だと思うんだけど……兄ちゃん…ユタカ死んだら、俺どうしたら良いんだろうな…」

 

ユエも今、部屋の中に入ってお産に励んでいるのだから、そんな不吉な事言わないでくれないだろうか。

というか、僕がここへ到着する前にいるという事は、ユタカと一緒に来たのかこいつ。

 

僕は分厚い扉の前に置かれている、長椅子へ腰掛ける。

立ち会いが出来ないのは結構辛い。

苦しんでいるユエの傍に居られないなんて。

 

ユエが出産する時、傍に居たいとおばさんに言った事があるのだが、血が苦手という男性も多くいたそうで、狼狽えるわ木偶の坊のように突っ立ってて邪魔だわ、という理由で申請しないと無理だと言われた。

 

ここに最初から通院か入院していて、奥さんが望めば大丈夫らしいのだが。

 

おばさん何足の草鞋履いてんの、医者の免許持ってるってどういう事?

 

と言いかけたのはご愛嬌と思いたい。

 

ユエのカルテは、おばさんとサカネ先生で共有されていただろうし、ユタカは元々ここに通院していたっぽそうだし…。

ん?

なんでシンクここにいるんだ?

ユタカ一人で通院させるなんて事、コイツは絶対しないだろうに。

 

僕は疑問に思った事を弟に聞いた。

 

「シンク、なんでお前ここに居るんだ? 立ち会いしないのか?」

「…ユタカから、絶対狼狽えて泣くだろうから、ここにいた方がいいって言われた…」

 

…うん。

僕だもんな、お前。

最初から立ち会ってたら、僕も狼狽えてどうしたら良いか分かんなくなるだろうから、懸命な判断だよユタカ。

 

知らせが来たのが昼過ぎだったが、初産という事もあり、陽が落ち空に星が輝く時になっても、産まれたという知らせはなかった。

その間、ユエとユタカの事を聞きつけた姉が、夫であるツルギを伴って病院へ来たが、泣きそうになっている弟を叱咤激励してくれる。

ついでに、僕にも。

 

「グンジョウもそんな顔しない! おばさんが一緒にいるんだから大丈夫! 絶対二人を死なせるなんて事しない! お産が終わるまで、あたしも一緒にいるから。ね? 情けない顔なんて、奥さんに見せられないでしょ? あんた達、父親になるんだから」

 

長椅子に二人して座っていたのだが、姉はそんな僕らの頭を撫でてくれる。

やっぱり、シャナは弟妹の事になると本当に頼りになるな、と思った。

 

深夜になっても知らせはなく、僕は椅子から立ち上がり壁に頭をつける。

そのままだと寝そうだったから。

 

ユエが頑張ってるのに、寝るなんて事出来るわけない。

シンクも立ち上がり、少し呻き声を上げながら僕と同様壁へと頭をつけた。

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