my way of life   作:桜舞

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41話『茶番すぎてウケる…!』

そこまで言っていると、ユエは僕の腕を外し、僕の首に自らの腕を絡めてくる。

 

「…私、嫉妬深いの。アオに誰も触れてほしくない。本当はメイドさんにだって、アオに触って欲しくないんだよ? アオに触れるのは、私だけで良い。アオに愛されるのは、私だけで良いの。ねぇ、アオ。こんな私、重いかな?」

「…ううん。全く、重くなんてない。ユエ、愛してる」

 

彼女を力強く抱きしめた。

許してもらったとは思わないけど、それでも僕が触れる事は許してくれているユエが愛おしい。

 

「ぷっ、くっくっく…!! 茶番すぎてウケる…!」

 

僕らの左側、広場になっている方向からそんな声が聞こえた。

僕らはすぐさま離れ、魔武器を展開する。

水が枯れ果て、噴水だっただろう場所に足を組み、笑っている女の子がいた。

今の今まで、そこには誰もいなかったというのに。

 

「…君は」

 

夢の中で見た女の子が座っている。

白と黒が絶妙に配色されたフード付きのパーカーを着て、しかしそれはとても大きく、顔の半分以上を隠し、口元だけしか見えない。

丈も膝より上で、袖なんて手さえも出ていないその姿。

フードから見えている薄ピンクの髪。

 

夢の中の女の子が、今僕の目の前にいる。

 

「久しぶり、お兄ちゃん。あぁ、余計なものもくっついてきてるけど、邪魔したら殺すから」

 

女の子が言っているのはユエの事だろう。

ユエを守るため、彼女の前に出る。

そして魔武器を女の子の方へ向けた。

 

その行為の何が、女の子の琴線に触れたのかはわからない。

 

「ぎゃははははっ!! 実の妹に剣向けるとか、お兄ちゃん酷いよねぇ?! アタシはただ、お兄ちゃんとまた愛死合いたいだけなのに。そんな妹の願いも、聞いてくれないの?」

「悪いけど、君みたいな妹を持った覚えはない。ユエに危害を加えるというなら…」

 

僕の言葉は、そこで途切れた。

銃声と共に、女の子の額部分が撃ち抜かれたからだ。

後ろを振り向くと、ユエが冷たい目をして銃を掲げている。

その銃口からは硝煙が上がっており、撃ったのはユエだという事がわかった。

 

「え…? ユエ?」

 

驚いて彼女を見つめていると、背後から爆笑する声が聞こえる。

 

「あっははははっ!! いきなりなんて酷いじゃん。別にアタシまだ何もしてねーし。そんなに鬱憤溜まってたわけ? ヤダヤダ、八つ当たりとか見苦しー」

「喧しい。よく私の前に現れたわね、桃華。貴方が夕陽君に何をしたのか、私知ってるんだから。よくも、よくも夕陽君を殺したな……許さないっ!!」

 

ユエが飛び出していく。

トーカと呼ばれた女の子もフードを外し、両の手に片手剣を呼び出し、ユエに切り掛かる。

それを魔武器であろうか銃で受け止め、もう片方の手に同じような銃を呼び出して、ユエはトーカに撃つ。

 

「先にアタシからお兄ちゃんを奪ったのはアンタのくせに? 逆ギレしないでもらっていいですかぁ?」

「実の兄を性的に好きになった、気持ち悪いあんたに言われたくないっ!!」

 

銃弾を撃ち込まれているのに、トーカは平気そうに笑っている。

ユエの射線に入ったら、多分僕はマズイ事になりそうなので、戦闘に参加できない。

ユエの銃声を聞きつけたのか、入り口付近に置いてきたユタカが追い付いてきた。

 

「グンちゃん、何この状況…」

「僕も分かんない…」

 

暫く二人の戦闘を見ていると、トーカがユエの腹を蹴って距離を取る。

蹴りの威力が凄かったのか、ユエは建物にぶつかってグッタリした。

 

「ユエっ!!」

「グンちゃん!!」

 

ギィンッと金属音が背後から聞こえる。

ユエの方を見ていて、トーカから注意が逸れた。

その隙を狙われたようだが、間にユタカが入ってくれたようだ。

 

「ねぇ、邪魔なんだけど」

「グンちゃん! ユエ起こして!! あのくらいで、死なないからっ!!」

 

トーカの剣を薙ぎ払い、ユタカはトーカを僕から引き離そうとする。

彼女の意を汲んで、僕はユエの方に走り出した。

 

「ユエ! ユエっ!」

 

彼女の頬を軽く叩く。

その目がうっすら開き、僕を見てユエは微笑んだ。

しかし、その口から発せられたのは僕の名前ではなく。

 

「夕陽君…貴方を置いて、逝って…ごめんね…。ごめんね、夕陽君…」

 

そう言って、ユエは気絶した。

 

訳がわからない事が起こっている。

頭の整理が追いつかない。

何が何だかわからない。

 

「きゃあっ!!」

 

ユタカの悲鳴が聞こえ、僕はそちらを見る。

ユエ同様、ユタカも気絶してしまったようだ。

トーカが僕を見てニヤニヤと笑っている。

 

「やっと二人きりだね、お兄ちゃん」

「…………」

 

あぁ、もう良い。

母様は、死人は出ないと言った。

なら、無茶をしても構わないだろう。

大切な人も守れないのなら、僕の身などどうでも良い。

 

僕は立ち上がり、髪を掻き上げ、眼鏡を投げ捨てた。

 

甘えなど捨てろ、僕。

それは今、不要なものだ。

目の前にいるのは、敵だ。

敵は排除するのみ。

 

ブランシュとノワールを持ち、身を低くする。

身体強化を全身に施した。

トーカの笑い声が耳障りだが、構うものか。

 

「……っ!!」

 

地面を思い切り蹴る。

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