my way of life   作:桜舞

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45話『ダイナミック登校とは』

シャナの後方からツルギとユタカが歩いてきてるのが見えて、僕はユタカに声をかける。

 

「ユタカ、大丈夫だった? 怪我とかしてない?」

「グンちゃん、おはよー…なんとか。あ、今日から私もお城に住むからよろしくねグンちゃん」

 

ニコ、と笑いながら言うユタカに首を傾げた。

 

「え、なんで?」

 

専属護衛であるユタカが、城に住むと言ってくるのは、わかるんだけど。

今までユエとカヅキおばさんと一緒に、城に来ては帰ってたはずなのに、いきなりどうしたのだろうか?

 

「え? なっちゃんにそのお話されたって聞いてたんだけど。グンちゃんや私達が一緒に毎日お城に帰って、なっちゃんとママから鍛え直されるって」

 

そんな話聞いてはいない。

魔王討伐の話はされたが、それだけだったはずだ。

 

昨日の事を思い出しながら、彼女に尋ねる。

 

「ごめん、魔王討伐の件は聞いたけど、その話は初耳かな。手を貸さないって言われたんだけど、それ本当に?」

「うん。私も目が覚めた時に、ママに言われたんだけど。グンちゃんが聞いてないなんて、珍しいね?」

 

昨日はそれ処ではなかったし、今朝もそうだった。

もう少し余裕があったのなら、詳しく話を聞けたかもしれないが…いや、そう思った所で後の祭りというか何というか。

 

「魔王討伐自体は私達でしなきゃいけないけど、鍛えるのには手を貸すって意味じゃない? 私達で自己鍛錬するにしても限界があるし、王妃様って前の魔王を討伐したんでしょ? その実績があるから、私達を鍛え直すって話だろうけど」

 

ママも先生だから教え慣れているだろうし、とユエは言った。

 

「ママも、オーシアで魔神を倒した事あるから。二人から鍛えられるって、結構死ぬ可能性あるんじゃない? 主にグンちゃんが」

「流石に手加減はしてくれないよね。死なせないようには、してくれると思うけど…」

 

二人の心配そうな顔が、僕に向けられる。

母様の鍛錬は受けた事あるけれど、あれよりも手厳しいのがカヅキおばさんなイメージがある。

 

いや、一回もカヅキおばさんからの鍛錬を受けた事はないんだけど。

勝手なイメージである。

 

「三人とも、ホームルーム始まるまであと10分だよ! 早く早く!!」

 

腕時計を確認すると、シャナの言う通り後10分しかない。

この位置から教室までは、結構な距離がある。

 

「シャナ、ユタカ。あと自分で何とか出来る? ツルギ…は、シャナに何とかしてもらって。じゃあ、お先!」

 

僕はユエをお姫様抱っこして脚力強化を施し、一気にシャナの横を駆け抜けた。

ずるい、なんて姉の声が聞こえたが無視する。

 

僕の首に腕を巻き付け、しがみつくようにしていたユエが聞いてきた。

 

「アオ、大丈夫? 昨日回復魔法かけたけど、痛む所ない?」

「あ、やっぱり? 全身強化使うと、寝込む事多いんだ。朝すんなり起きられてなんでだろ、ってさっきチラッと考えたんだけど、ユエが何かしてくれたのかな、って結論付けてたんだ。ありがとう、ユエ」

 

彼女の頭に頬擦りすると、くすぐったそうにユエは笑う。

高等部の校舎が見えてきて、そこに設置されている時計を見ると残り5分。

チラッと見た、僕が所属している教室の窓が開いていたので、僕はそこへ一気に跳躍した。

 

「おはよーさん、グンジョウ。彼女連れでダイナミック登校とはやるじゃねぇか」

「…エミル君。察して窓開けててくれたのは助かったよ、ナイス判断。いや、本当に」

 

ユエを降ろし、エミル君と拳を合わせる。

いつもなら、エミル君とツェリと一緒に登校するはずの僕が現れない、教室にもいないというのでこの判断をしてくれたのだろう。

流石幼等部からの付き合いで、僕の親友である。

 

そういえば外靴で中に入ってしまったと下を見ると、いつの間にか中靴になっていた。

それと、制服も。

ユエを見ると、ニッと笑ってピースをしていた。

僕の彼女は、本当に気遣いが出来る子だ。

 

「間に合ったーっ!!」

 

シャナがツルギを抱え上げて、教室に飛び込んでくる。

抱え上げられたツルギは、恥ずかしそうに自分の顔を覆っていた。

 

男として、それは恥ずかしいよなツルギ。

わかるよ。

 

「本当に今朝はありがとうシャナ。ユエの次くらいに好きだよ」

「うん、一番って言われたら怖い思いをしていた所だよ、グンジョウ…」

 

今朝の事について再び礼を言うと、シャナが怪訝そうな顔で僕に言ってくる。

 

言うつもり全くないんだけど。

ユエも抱きつかないで、冗談だから。

 

「ユエ、あと1分。早く教室行こ」

 

シャナの後ろからユタカが顔を出し、ユエの手を取って教室を出て行った。

そういえば隣のクラスだったっけ。

 

二人を見送り、僕とシャナも自分の席に着いた。

少し前の席に、ツェリの姿を見つける。

夏季休暇で会って以来、あまり僕達の間に会話らしい会話がなくなっていた。

 

傷付けた自覚はあるが、でもどうしようもない。

僕はユエが好きで、愛してて、ツェリの気持ちに応える事は出来ないのだから。

大体告白もされてはいないのだが。

 

カヅキおばさんが入ってきてホームルームを始めたが、僕はツェリの後ろ姿から窓の外へ視線を向けたのだった。

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