my way of life   作:桜舞

47 / 408
47話『なんで僕が姫役なんですか?!』

瞬間、二人に闇魔法が炸裂した。

 

「誰でもいいから受け止めてーっ!!」

「姫っ!!」

 

落下してきたシャナをツルギが受け止めたが、勢いが強すぎて二人とも転がり、そのまま動かなくなる。

 

あれ、気絶した……まずい!!

 

術の発動が途中で止まった。

シャナが意識を消失した事によるものだ。

 

「もう少しで、全身ズタボロになる所だったわ。危なかった」

「グンジョウ、やるな。だが、まだまだだ」

 

全くの無傷で、二人は立っている。

ユエとユタカを見ると既に倒れており、起き上がっているのは僕一人。

 

「さて、言い残すことはあるかしら?」

「あの…今日、学園祭なので…少し手加減を…」

 

だーめ、なんて言いながら、母様は浮かばせていた光球を全て僕に叩き込み、僕の意識は暗転した。

 

◆◆◆

 

数週間前、うちのクラスの出し物が劇に決まった時。

僕は机を叩いて抗議した。

 

「なんで僕が姫役なんですか?!」

 

立候補がいなかったからと、推薦で姫役に僕が選ばれてしまったのだ。

 

「別に面白いからいいだろう」

「面白いか面白くないかの話してないんですよ! なんで女性の役を、男の僕がしなきゃいけないかっていう、異議申し立てしてるんです!!」

 

劇の演目は白雪姫。

カヅキおばさんが、前世の知識と母様からの修正によって絵本を出版し、それが瞬く間に民の間に広まった。

その中の一つである。

 

そして僕は、その白雪姫の役に抜擢されてしまった。

さらに言えば、王子の役はツェリである。

 

何この、運命的な配役は。

絶対神の意思でも絡んできているとしか思えない。

母様に言わせれば最高神だろうか。

 

「せめて裏方にしてもらえませんかね?!」

「ガタイがいい白雪姫! 全く白要素はないが、良いじゃないか、面白い!!」

 

クラスの委員長である、ルトル・トゥルーデが両手を挙げて爆笑する。

ちなみに彼女は今回の劇では舞台監督として、立候補していた。

 

「何が面白いんだよ?! 推薦されてはいるけど、せめて狩人とか…」

「狩人は俺の役ー。残念だったな、グンジョウ」

 

前の席でニヤニヤ笑っているエミル君の肩を掴む。

 

「代わって!」

「やだ」

 

面白いなら君でも良くない?!

それに相手はツェリだよ?!

君なら気まずくないだろ、兄妹なんだから!!

 

と言いたかったが、この場で言えるはずもなく。

 

「せめて小人…」

「それも全員決まっているし、皆小柄な子ばかりだ。諦めたまえ、グンジョウ君!」

 

ルトルの高笑いに、僕は肩を落とす他なかった。

 

その日の昼休み、ユエと食事をしながら先程の話をする。

一体どんな反応をするだろうと思っていたら、僕から顔を背け肩が揺れていた。

 

「…ユーエー?」

「ご、ごめ…っ! でも、アオの女装…は…ちょっと…み、見た…くく…っ!!」

 

食べていたサンドイッチを皿に置き、彼女は自分の口を押さえて笑いを堪えているようだった。

僕は少しムッとして、彼女の左手を取り薬指に軽く歯を立てる。

 

「ひゃ…?! ちょ、アオ…っ!?」

「笑うユエが悪い」

 

そのまま、ユエの手のひらに口付けしながら彼女を見た。

少し頬を染め、目を右往左往させるユエが可愛くて手を離す。

 

「アオ…ここ人目が…っ!」

「奥まってるから、別に構わないだろ? それに、見たとしても見て見ぬ振りしてくれるよ」

 

ニコリと笑うと、ユエは恨めしげな目を僕に向けてきた。

そのまま、サンドイッチを再び食べ始める。

 

「グンちゃん、見て見ぬ振りって言うけど、見せ付けてるよねそれ。パパに話行くと思うよ、そんな事してると。その点、私ならイチャついても専属護衛だから問題ないよねー」

「いや、問題あるし隣に座らないで。ユタカ、いい加減にしてくれない? 僕はユエが良いのであって、同じ顔でもユタカを好きになる事はないよ」

 

キッパリ断ると、ユタカがユエを見た。

目付きが鋭く、自分の妹を睨みつけている。

ユエはユエで、ユタカを無視しているようだが。

 

「でも、私は絶対諦めないから。絶対、ユエと婚約破棄して私としてもらうんだから」

「無いって言ってるんだけど。しつこい。専属護衛で残してるだけで、君に恋愛感情はないから。母様達の例が特殊なんだって、まだわからない?」

 

ユタカは少し涙目になりながら席から立ち、走り去っていく。

ユエと同じ顔だから、泣かせてしまって罪悪感が出てきた。

 

「……きつい言い方しちゃった…」

「あれくらいはっきり言わないと、ユタカは分からないよ。あと、ありがとうアオ。ユタカに揺らいでいたら、はっ倒してるとこだった」

 

それは、ちょっとした修羅場だよな。

三角関係だの、二股だの噂されている身からしたら。

痴話喧嘩からの流血沙汰は、流石に僕は勘弁願いたい。

 

「ユエだけしか見てないんだから、揺らぐ事はないよ」

 

ユエの左指にはまっている婚約指輪に触れる。

あの後、似たデザインの指輪を贈っていたのだが、毎日つけてくれているようだ。

ちなみに、僕も付けている。

 

「アオ、好きだよ」

「僕も。愛してるよ、ユエ」

 

そう言うと、ユエはふわりと笑った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。