my way of life   作:桜舞

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54話『本当に優しい子だね、グンジョウは』

「え、嘘…シャナ、ツルギの事…」

「いやー、告白したけど振られちゃったんだー。今はお友達だから。大丈夫!」

 

はははと笑うシャナを見た僕は、ユタカを突き飛ばし、シャナに駆け寄ると抱きしめた。

 

「ごめん、気付かなくて…辛かったはずなのに、心が痛かったはずなのに…ごめん…」

「ちょっと前の話だから、大丈夫だよグンジョウ。でもありがとう、心配してくれて。本当に優しい子だね、グンジョウは」

 

僕の背中を撫でてくれるシャナだが、さっき見た顔は少し傷ついたような笑顔だった。

確か少し前、シャナが泣きながら僕にぶつかってきた事があった。

多分、あの時だったんだろう。

ツルギに好きだと言って、断られたのは。

 

「…ごめん」

「今は気にしてないから。それよりユエちゃんが驚いた顔してるよ? グンジョウ、お姉ちゃんよりも彼女を大事にしなさい。ほら、離れた離れた」

 

シャナを離し後ろを見ると、確かにユエもユタカも驚いた顔をしている。

だが、すぐにその顔は真反対のものになった。

ユエは仕方ないなという風に苦笑し、ユタカは羨ましいと顔に書いてあるくらいに、唇を引き結んでいる。

 

確かに僕とシャナも双子だが異性だ。

似る事はないだろうけど、ユエとユタカは一卵性だ。

こうも違いが出るものなんだろうか?

 

「とりあえず、グンジョウはあたしとツルギ君と一緒に周ろうか。気にしないで良いからね。別にデートじゃないし」

「…ユエ、ユタカと周るって言ったら怒る?」

 

振られても、シャナはまだ諦めきれてないようだ。

なら、姉の気の済むようにしてあげたい。

 

そんな僕の意図を汲んでくれたのか、ユエはため息をついてユタカの肩を叩く。

 

「…アオに変な事したら、パパに告げ口して本当にオーシアに帰ってもらうから」

「変な事って何の事? ユエやらしいー」

 

僕のベッドの上で、また姉妹喧嘩が勃発してしまった。

少しため息をついて、僕は朝食を食べるためにシャナと食堂へ向かうのだった。

 

◆◆◆

 

「グンちゃん、はいアーン!」

「一人で食べれるから、しないから」

 

僕にクリームが乗ったスプーンを差し出して、ニコニコしているユタカへ、僕は少し不機嫌そうに返す。

普段の僕からは考えられない様な事だが、テーブルに肘をつき、足を組んでユタカから顔を背けた。

 

「グンちゃん、デートなんだよこれ?」

「デートだとは思ってないし、君はツェリ避けだろ。勘違いしないで欲しいんだけど」

 

それにそれ、すごく甘そうじゃないか。

僕、甘いの苦手なの知ってるくせに。

 

僕に差し出していたスプーンを自分の口に入れ、ユタカは困ったように笑った。

 

「グンちゃん、本当にユエの事好きなんだね。私同じ顔なのに、何が駄目なのかな?」

「同じ顔でも少し違うじゃん。ユエの方が可愛いし、気遣いだって出来るし、少し我儘言う時に口を尖らせる所とか、何を着ても似合っている所とか…って、なんでユタカにそんな事言わなきゃいけないの」

 

僕が横目でユタカを見ると、少し寂しそうに笑ってて胸が少し痛んだ。

いやいや、駄目だ僕。

甘えを見せたら、すぐつけあがるんだからユタカは。

 

「とにかく、これはデートでも何でもないから」

「…ねぇ、グンちゃん。ユエみたいに振る舞うから、今日だけ私の恋人になってくれないかな」

 

何を馬鹿な事を、とユタカに顔を向けると、少し目が潤んでた。

 

「ユタカ…」

「諦める。今日だけ、今日だけデートしてくれたら、諦めるから。ユエにも話してくるから、お願い…」

 

そう言って、ユタカは顔を俯かせた。

俯いた顔から、涙が零れ落ちていく。

 

「…ユエが許してくれたら、ね。多分許さないだろうけど」

「それならそれでいいよ。一緒に見て周ってくれるだけでいい。ごめん、グンちゃん。うちのクラスまで来てくれる?」

 

ユタカが椅子から立ち上がり、泣き笑いをしながら僕に手を差し出した。

僕はそれを無視して、二人のクラスに向かう。

 

確かに昨日ユエが言っていた通り、僕の女装なんてまだマシな方だと実感した。

筋肉隆々な男子が、メイド服を着て給仕している姿は、滑稽を通り越して恐怖を抱く。

やる気があるのはいい事だが、そのやる気を別の事に向けられなかったのか。

 

「あれ、ユタカちゃん。今日一日オフだって言ってなかったっけ?」

「忙しいとこ、ごめんね。ユエは? ちょっと話あるんだけど」

 

受付をしていたクラスの子が、ユエを呼びに行った。

奥の方から、黒髪をポニーテールにし、執事服を着たユエが、お盆片手に現れる。

 

うわ、似合ってる。

本当に僕の彼女は、何を着ても可愛いな。

 

「ユタカ、何の用? もうデートは終わり?」

「それなんだけど…」

 

ユエに先程僕に伝えた事を言う。

それを聞いたユエの眉が吊り上がった。

 

「は? 許すわけないでしょ。アオは、私の恋人なの。恋人を姉に1日貸す馬鹿がどこにいるって言うのよ。戯言も大概にして」

「…だよね。いこ、グンちゃん。大丈夫、ちゃんと諦めるから」

 

ユタカは僕の手を取って、歩き出す。

ユエがイライラしていたようだったので、僕は彼女に声をかけた。

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