my way of life   作:桜舞

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59話『女子としてそれはどうなの、シャナ』

ウンディーネ3の月。

少し前にシンクがうちの学園に入学した。

僕とシャナ、ツルギがいるクラスは定員で入れず、シンクはユエとユタカのクラスに編入する事になり、少し羨ましいと思ってしまった。

休み時間の度にユエに会いに行ってはいるが、シンクとユタカのイチャつき具合は噂になるくらいで、この間彼女のクラスに行った時など、シンクはユタカを自分の膝に乗せていた。

 

「いつも、あぁなの…?」

「うん、休み時間になる度に。隣の席じゃないから、イチャつけないっていうのもあると思うんだけど」

 

ユエのクラスの入り口で、彼女と話すために来ていた僕に、ユエはそう言った。

何とも羨ましいな、と見ていると、ユエが僕の手を握ってくる。

 

「二人きりの時なら、良いよ…?」

「ユエ、人の心読まないで」

 

アオは少し表情に出やすいから気をつけた方がいい、と彼女に言われてしまい、そう言えばそうだったと苦笑いをした。

 

そんな学園生活を送っていた時、僕とシャナ、シンクは学園にあるカヅキおばさんの執務室に呼び出されていた。

早朝狂化訓練をして、お昼を食べた直後だから、少し眠気がきている。

僕は欠伸を噛み殺していたが、シャナは思い切り欠伸していた。

女子としてそれはどうなの、シャナ。

 

「…いや、眠いのはわかるんだが…」

 

おばさんは苦笑しながらシャナの方を見ている。

シンクの方を見れば、腕を組んで目を閉じていた。

お前も眠いのかよ。

僕も眠いけど我慢しているというのに。

 

「寝るな、シンク」

「寝てませんよ、ちゃんと起きてますって」

 

おばさんが注意すると、シンクは薄目を開け少し眉を寄せた。

眠いんだな、という事が一目でわかる。

僕も寝たい。

 

最近シンクを見てて思った事が何点かあった。

一つは、赤髪もだけど瞳の色も赤になっていた事。

顔は僕なのだが、確かに色が違うだけで別人に見える。

二つめは、髪が僕より長い事。

僕はショートだが、シンクは肩に付くくらいまで長い。

それを後ろ手に一つに纏めている。

三つめは、彼は眼鏡をかけていなかった事。

それについて聞いたら、魔法で視力を上げているだけで、本来は僕と一緒の視力らしい。

 

「お前ら喜べ。期末テストを免除してやる」

 

椅子に座っていたカヅキおばさんが、偉そうに少しだけふんぞり返る。

それを聞いたシャナの目が輝いたのは、言うまでもないだろう。

 

「マジで?! やったぁあっ!!」

「シャナ、喜びすぎだろ…え? そんなにこっちのシャナ、頭よろしくない?」

 

シンクがこそっと、僕に耳打ちで聞いてくる。

並び順で言えば、僕の右隣にシンク、僕、左隣にシャナの順でいた。

だからこそ僕に聞いてきたのだろう。

 

「君のとこのシャナは何なの。あんなにアホの子じゃないの?」

 

僕も小声でシンクに問いかける。

それ対して、彼は肩を竦めた。

 

「いや、性悪。目も当てられないような、我儘姫。弟の俺を馬鹿にして遊んでいた、とんでもない鬼畜」

 

…僕の姉があれで良かった。

というか、家庭環境悪すぎじゃない?

そっちの父様と母様何してたの。

だから少し擦れてるのか?

シンクは。

 

カヅキおばさんの咳払いで、僕らは口を噤んだ。

おばさんは、収納魔法でできた空間から一冊のファイルを取り出し、僕に投げてくる。

 

それを受け止めたが、近くに寄らせて渡せばいいものを、僕らの雑談が多すぎて口を開くのも面倒になったのかな。

母様がいたら怒られている所じゃないだろうか。

 

「一時間で頭に叩き込め。お前らの期末テストが免除になったのは、陛下の口添えがあったからだ。帰ってきてから小テストなりはするがな」

「えー…」

 

小テストって、範囲が極々狭い分類なので馬鹿でも良い点は取れるはず。

なんでそんなに不満そうなの、シャナ。

 

僕は姉を呆れた目で見た後、ファイルを開いて目を落とす。

パラパラと捲っていくと、二人とも覗き込んできた。

そして僕は、ある一文を見つける。

 

「魔王の遺物…」

「何だっけ、それ?」

 

シャナが首を傾げ、僕に聞いてきた。

その問いに、僕は呆れた目をシャナへ向ける。

 

「昔、父様が話してただろ。大昔に、当時の王妃に懸想した魔法使いの話。王妃は王を愛していたから、魔法使いの想いに応えられなかった。それによって魔法使いは魔王に堕ちたって話」

「あぁ! その魔王の遺物のせいで、昔父様が攫われて、母様が半分人間やめたって話だっけ?」

「え、何それ詳しく」

 

シンクのとこではそれは起こらなかったのか。

一体父様と母様の馴れ初めって、そっちではどうなっているのか聞いてみたい所ではある。

 

「場所、ユーラ王国ってなってる」

「なんでそんなとこに、うちの魔王の遺物があるんだろうね? 大体リューネ国内にありそうなのに」

 

シャナの言葉に、僕は確かにと思った。

 

ユーラ王国。

僕らと同じ王政の国で、先の統合騒乱で生き残った国のうちの一つだ。

確か、リューネの友好国だったか。

 

「最近ルカがな、十数年前にナツキ達が持ち帰った魔玉の欠片から、他の魔王の遺物を探知出来る装置を開発したそうだ。反応したのがそこだったらしい」

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