my way of life   作:桜舞

6 / 408
6話『間違えそう』

そして僕は、母様の蒼い髪と父様の青い瞳を受け継いだので、青い群れと書いて群青と名前をつけられた。

小さい頃は、僕も母様達の名前からつけて欲しかった、と我儘を言った事がある。

でも、大きくなるにつれて自分にはぴったりな名前だなと思った。

 

本当に、顔だけ見れば青。

配色が青。

神の奇跡としか思えないよね、これ。

 

その由来を聞いた二人は、幼いながらに僕のあだ名を決めたのだろう。

ユエがアオちゃん、ユタカがグンちゃんと呼び始めたのだ。

 

それはさておき。

 

「お久しぶりです、お祖母様。ご無沙汰しております。ご挨拶が遅れ、大変申し訳ありません」

 

僕はお祖母様に頭を下げる。

礼儀作法に厳しいお祖母様に叩き込まれた結果、相手に無礼を働いてはならない、働いたなら潔く謝罪するように、と教わっていた。

 

それで許すかどうかは相手次第、だとも。

 

「よろしいでしょう、殿下。謝罪を受け入れましょう。ですがどうせ、カヅキが同行を許したのでしょう? まったく、貴女は身内に甘すぎます。だから、娘の教育にも失敗するのです、わかっているのですかカヅキ?」

「はい、面目次第もございません。大変申し訳ありませんでした、師匠」

 

カヅキおばさんは深々と頭を下げる。

いつものカヅキおばさんとは比べるまでもないくらい、深い謝罪の仕方だった。

 

シャナが僕の横に来て、僕にだけ聞こえるように言う。

 

「おばさん、本当にお祖母様に頭上がらないんだね」

「まぁ、師匠って言ってたし。母様の礼儀作法を教えたのも、お祖母様だって話だろ? 母様の礼儀作法が完璧過ぎて、王妃教育で来てた婦人方が尻尾巻いて逃げ出したって、父様言ってたじゃないか」

 

そう。

母様が父様と婚約した時。

王妃教育で、母様が元々平民だからとイジメ抜こうとしていた婦人方が、母様の教養の高さから自分の手には負えないと逃げ出した。

その話を、お酒が入る度に笑いながら話す父様と、苦笑しながらその話は何度目だと嗜める母様。

 

それがいつもの光景だ。

 

「では殿下方。基本的なワルツを見本として踊っていただきます」

 

おばさんと話が終わったのだろうお祖母様が、こちらを見ながらそう言った。

おばさんはと言えば、影から年代物のジュークボックスを取り出し、レコードを選んでいるようだ。

 

「早くなさい、カヅキ」

「えーと…これで良いか。師匠すみません、準備出来ました」

 

ジュークボックスから、ワルツが流れ始める。

僕とシャナはホールの真ん中に行き、礼をした。

そして手を繋ぎ、もう片方の手を姉の腰に回してワルツのリズムに乗りステップを踏み始める。

 

「グンジョウと踊るの、久しぶり。えへへ、楽しい」

「それは良かったね…僕は緊張でステップ間違えそうだよ…」

 

女性をリードしながら、男性は進行方向を見なければならない。

でなければ、他のパートナー達とぶつかってしまうからだ。

暫くシャナと踊っていると、ユエとユタカから恨みがましそうな声が聞こえてくる。

 

「羨ましい…シャナちゃん、羨ましい…」

「良いなぁ…シャナちゃん。私もグンちゃんと踊りたいなぁ…」

 

そういえば、とふと思い出した。

王家主催のパーティーに、二人の姿がなかった事を。

身内だけなら二人も来ていたが、大勢が集まる場には確かいなかったはず。

 

…カヅキおばさんか、ユーリおじさんか…多分どちらかに、出席するの止められていたんだろうな…。

 

あの様子からして暴走する事が予想出来ていたから、連れて来れなかったんだろうな、と察する。

 

曲が終わり、僕とシャナは離れてお互い礼をした。

本来ならこれで終わりな訳はなく、次々とパートナーを入れ替えて踊る。

顔見せも兼ねてはいるが、人脈を作るという点では立食パーティーよりは、ダンスの方に力を入れている貴族も多いと聞いていた。

 

「これが基本です。覚えましたね? では、殿下方を丁重にお帰しするように。わかりましたね? カヅキ」

「はい、師匠」

 

ユエとユタカの名残惜しそうな声を背景に、僕とシャナは帰宅する。

 

「今日は本当にすまなかった。貴重な休日だっただろうに。お詫びにシャナにはケーキ、グンジョウには前欲しがっていた本の原本をやろう」

 

そう言って、カヅキおばさんは収納魔法の中から有名店のケーキを取り出してシャナに渡した。

そして僕には、本を渡してくる。

 

「ありがとう、カヅキおばさん! でもグンジョウ…夜更かしダメだからね?」

「…わかってる…」

 

シャナが苦言を呈してきたが、今僕はこの本を読みたくてウズウズしていた。

そんな僕の様子にため息をついた姉は、呆れた目で僕を見る。

 

「あー…グンジョウ、程々にな」

「…はい…」

 

どうやって探そうと思ってた原本が、僕の手にある。

 

僕の様子に、二人とも諦めたようだった。

 

◆◆◆

 

「そういえばグンジョウ、専属護衛とかどうするの?」

「そっくりそのまま返すよ、シャナ。どうするつもりなの?」

 

カヅキおばさんから貰った原本、エルトラント共通語で書かれている物を解読しながら読んでいく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。