my way of life   作:桜舞

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61話『俺のせいにすんのやめてくんない?』

ユーラ王国までは、立花家が運営している浮遊航空艦で3時間かかる。

チケットの方はおばさんが取ってくれていたようで、普通のエコノミークラスであった。

それについて、ユエとユタカが不満げに愚痴を漏らしている。

 

「アオ達王族が乗るっていうのに、なんでエコノミーにしたのママ…」

「ファーストクラスでも良かったじゃんね?」

 

ねー、と二人で言い合っていたが、窓側の席二つ三列で取ってくれていたのだから、あまり文句を言うのも…。

 

座席はもちろん、ユエと僕、シンクとユタカ、シャナとツルギとなっている。

 

「ユエ、どっち座る?」

「んー…窓側かな。3時間だけだけど、廊下側嫌」

 

彼女に問いかけると、そう答えが返ってきた。

女性陣皆そうな様で、男性陣が廊下側の席に座る。

 

え、なんで? とか思っていたら、シンクから念話が来た。

 

〈外見てた方が安心できるって奴も中にはいるが、廊下側で通り過ぎ様にセクハラされたら堪ったもんじゃない、って考える奴も一定数いるってこった。覚えておきな、グンジョウ〉

 

成程。

確かに知らないおっさんがユエに触れたら僕も嫌だし、下手したらそのおっさんにキレる可能性もある。

刃傷沙汰になる事だって有り得るかもしれない。

 

「アオ、顔怖い。ちょっとシンク、アオに何言ったのよ」

「何も言ってねーよ。何でもかんでも、俺のせいにすんのやめてくんない?」

 

いや、シンクから念話で来ただけで確かに彼は口を開いてはいない。

それはユエもわかってはいるが、普段穏和な僕がこんな表情をしているのが問題なようだ。

 

「大丈夫、ユエ。何でもないから」

「大方、航空艦の浮遊とかが怖いんじゃねぇの?」

 

ニヤニヤ笑っていうシンクに、僕は振り向き様言った。

 

「それは君の方じゃないのか? シンク。君の話を聞く限り、こういうのに乗った事なさそうだったけど」

「魔法使える俺が、浮遊感どうこうでビビると本気で思ってらっしゃる? やだなぁ、おにーさま。魔法ちょびっとしか使えないおにーさまじゃあるまいし」

 

あ?

僕が気にしてる事をよく言えたな、こいつ。

いや、僕だから分かるのか。

大体、魔力がないのはシャナがほぼ持ってったせいだと、未だに思ってるんだが?

 

「もうそろそろ離陸するっぽいから、黙れ馬鹿弟共」

 

シャナのドスの効いた声で、僕らの言い争いが止まる。

あの声をしたシャナ、怖いんだよなぁ。

眼光も鋭くなるし、雰囲気も本気で怒った母様そっくりだし。

シンクも僕から目を逸らして少し青ざめている。

僕も彼から真正面に顔を戻してため息をついた。

 

「ごめん、姉君」

「分かればよろしい」

 

僕もだけど、うちの王族でスイッチの切り替えがないの、弟妹と父様だけな気がする。

 

その内航空艦は離陸を開始し、ユーラ王国へ出発した。

確かに浮遊感はあったが、別に恐怖を感じる程でもなく、シートベルトを取っていいという表示が出たので、僕はそれを外す。

 

「そう言えば、ホテルとかどうするの? 何も聞いてないけど」

 

前の席から、シャナが身を乗り出して聞いてくる。

少しはしたないなぁ、と思いつつ、姉の質問に答えた。

 

「おばさんが一応、部屋取ってくれてるっぽい。遺物の回収なり破壊なりしたら、そのまま引き上げて来ていい、とは聞いてるけど」

「それ、ボロ宿とかじゃないよね?」

 

流石に航空艦のこの席じゃあるまいし、宿はちゃんとした所を取ってくれてる…はず。

名前しか教えてもらわなかったので、調べてすらいない。

娘も一緒なのだから、ボロ宿はない…と思いたい。

 

「ねぇ、グンちゃん。ホテルの名前なんて言うの?」

「ユーラ・ザ・シーアって聞いてるけど」

 

ユタカも身を乗り出して来たので名前を言うと、持っていた携帯で検索し始める。

そして彼女は、僕の前に携帯の画面を見せてきた。

 

「普通っぽいね。良かったね、グンちゃん」

「うん、画面近いよユタカ。もっと遠ざけてくれない?」

 

ごめん、と言って彼女は後ろの席に戻っていく。

シンクの方を見ると、少し面白くなさそうだ。

まぁ、自分の彼女が他の男…自分なんだけど…に、言い寄るのは見てて気分のいいものでもないだろう。

 

「うぅ、眠い…」

 

前の席からシャナがポツリと呟いた。

それもそうで、昨日ユーラ王国に行くと決まった後、何を持っていくか、城にある自室のクローゼットを姉は漁りまくっていたのだから。

別にそんな決める要素ある? と聞いた所、あるに決まってるでしょと怒鳴られた。

 

「寝たら? シャナ」

「…寝ない、絶対寝ない…」

 

僕の提案を、シャナは頑なに拒否する。

ユエに目配せすると、彼女は苦笑した。

 

「ツルギ、交代して。シャナ、降りる時になったら起こすから」

「え、ちょ…」

 

前の席にいたツルギの肩を軽く叩き、立つよう促す。

僕の意図が少し理解出来ないようで、立ちはしたが彼は首を傾げている。

だからシャナに聞こえないように、小声でツルギに言った。

 

「ツルギが隣にいると、シャナ緊張して寝られないんだ。寝顔見られるの恥ずかしいんだよ」

「……別に気にしないんですけど、俺は…」

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