my way of life   作:桜舞

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63話『お姉様が異常なだけで私は一般人だ』

はい、とツルギが手を挙げて僕とシンクは彼を見る。

なんなら僕は、女性陣にご飯作ってもらって、彼女らと一緒に食べるつもりだったのだけど。

 

「お前、料理出来たっけ?」

「一応、秋斗(あきと)さんと春夜(しゅんや)さんに教えてもらいました」

 

誰それ。

 

僕とシンクが首を傾げると、ツルギは少し申し訳なさそうな顔をする。

 

「立花先生のお兄さん方です。篠原の侍従たるもの、料理も出来て当然という感じで…別に俺、篠原の侍従になったつもり、無いんですけど…体術と料理は仕込まれました」

「…ツルギってさ、もしかして生前のお祖母様に会った事ある? ハセガワイクミって名前だったって、聞いた事あるんだけど」

 

その名前に彼は首を傾げ、腕を組んで少し考えているようだった。

多分思い出しているんだろうけど。

 

「長谷川……あぁ、姿は何回かお見かけしましたよ。次期総帥の女性に、厳しく何かを教えているようでした。何の言語で話していたかは、分かりませんでしたが。ある時なんて、部屋の扉が少し開いていて、声が聞こえてきましたが…次期総帥の女性がキレてましたね…。私とお姉様を比べるんじゃない、お姉様が異常なだけで私は一般人だ、とか何とか…すごい剣幕で、そこは覚えてます」

「うわ…それはすごいね…」

 

お祖母様のレッスンは厳しいものがあったが、それだけではないのに。

ちゃんと愛情を持って教えてくれていたからこそ、僕もシャナも今ちゃんとマナーとかを扱えているのだから。

それを突っぱねるとか…。

 

「話聞いててもよく分かんねぇんだけど。一体何の話してんだ?」

 

シンクがベッドに座り、僕を見ながら尋ねてくる。

その様子に、僕は首を傾げた。

 

「え? 母様の話聞いた事ない? 少し大きくなってから、僕とシャナは母様の生前の話とか聞かされたんだけど」

「一切聞いた事ないし、うちのとこは性別も逆転してたから。ここ男が後継ぐんだろ? うち女だったの。母様は父様だったし、父様は母様だった。それに、ここにはもう一人上の姉がいないし、双子も不吉の象徴じゃなさそうだし。あーあ、俺も生まれんならこっちの方が良かったなー」

 

ボスン、とシンクはベッドに大の字になって寝転がる。

え、今重い情報ぶっ込んで来なかったか、こいつ。

 

「あのさ、シンク…」

「身の上話聞きたいなら聞かせてやるけど。飯食い終わってからにしねぇ? 俺腹減った」

 

時刻を見ると、確かにもうそろそろ夕飯の時間である。

国を出てから、9時間程経っていた。

 

「どうする? 一応ラウンジも開いてるっぽいけど」

「食堂でビュッフェ食おうぜ。んで、今後どう動くか話そ。あー、腹減ったー」

 

シンクはベッドから起き上がり、そのまま立ち上がって部屋の玄関まで向かう。

僕とツルギは顔を見合わせた後、シンクの後を追った。

 

◆◆◆

 

「んー! これ美味しい!」

 

ビュッフェ会場で、自分が持ってきた料理にシャナは舌鼓を打っている。

各々性格が出てるような盛り方をしてきていたが、ユエが僕の皿を見て怪訝そうな顔をしていた。

 

「どうかした?」

「いや…アオ、お肉は?」

 

何か変だろうか、と自分の皿を見る。

サラダに、エビとアスパラのパスタ、吾妻の国に伝わっていたという肉じゃがと里芋の煮っ転がし、大根の煮物、ポテトサラダ、ラタトゥイユ、そして口の中をサッパリさせたくて、ピクルスときゅうりの浅漬けを持ってきていた。

肉じゃがは、ジャガイモだけ持ってきている。

 

「…? 何かおかしいかな?」

「いや、育ち盛りなのに野菜中心って…シンク見なよ、肉ばっか」

 

シンクの皿を見ると、確かに肉料理ばかりだ。

ここでも対比が出るのか、面白い。

 

「あとでちゃんと肉も持ってくるよ」

「えぇ…?」

 

ユエはシャナを見るが、見られている事に姉は気付いていないようだった。

それに対して、シンクは少し呆れた目でユエを見ている。

 

「お前、グンジョウの母親かよ。好き嫌いしないで何でも食べましょう、ってか?」

「そんな事言ってないじゃない。あんまり卑屈的に受け取らないでくれない?」

 

なんで喧嘩に発展するのかなぁ…。

 

「まあまあ、人の好き嫌いとかその人の勝手じゃない? ユエも、シンクにあまり突っかからないでよ。グンちゃんも少し困ってるよ」

 

そう言われ、ユエは僕の方を見る。

少しバツが悪そうだ。

 

「グンジョウがあんまり食べないの昔からだよ。多分保有魔力量が少ないのが原因じゃない? あたしとか結構食べるけど、太った事ないし。ね?」

「そうだね。スタイルはいい方だよね、シャナは。あとちゃんと食べてるだろ。少食みたいに言うのやめて?」

 

ごめん、とシャナはニコリと笑いながら謝ってくる。

やっとこっちの話に耳を傾けられるくらい、お腹が膨れたらしい。

 

「んで、今後どうするよ?」

 

食事が終わり、僕らは各自飲み物を取ってきて席に着く。

口火を切ったのはシンクだった。

 

「反応があったのは、ユーラ王国のガーナ山という所らしい。山の中腹辺りに遺跡があって、そこは観光地化している、っておばさんが渡してきた資料には書いてあったけど」

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