my way of life   作:桜舞

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65話『俺が馬鹿ならお前も馬鹿なの』

最後力尽きて、僕はうつ伏せでグッタリする。

ツルギが少し慌てて、オロオロしているのが気配でわかる。

 

「ごめん…ただの癇癪だから…あまり慌てないでもらえると…」

「…あの、姫呼びますか?」

 

その言葉に、僕は腕を上げて横に振った。

呼ぶ程では無いし、今シャナを呼んだらユエとユタカが2人きりになって気まずい思いをするだろう。

もしくは喧嘩するか。

 

「前途多難すぎる…」

 

僕はまた深いため息を吐く。

そんな時、誰かが入ってくる音がして、僕はそちらに目を向けた。

 

「何だよ、辛気臭ぇ顔して」

「お前のせいだよ、この馬鹿弟…」

 

シンクが何か紙袋を持って現れ、僕を見て眉を寄せる。

瞬間、僕の頭に何か硬い物がぶつかった。

 

「痛っ!! 何…っ?!」

「だーれが馬鹿弟だ、馬鹿兄。言っとくけど、俺はお前なの。俺が馬鹿ならお前も馬鹿なの。お分かり?」

 

驚いて起き上がると、僕の腕辺りに何か転がってくる。

見てみるとそれは林檎で、少しへこんでる所を見ると、僕にぶつかったせいだと理解出来た。

 

「食べ物で遊ぶなって、母様に怒られた事ないのか?!」

「悪いけど、俺はずっと幽閉されて育ってきたから、親の愛情なんて一欠片も貰った事ねぇよ」

 

シンクはダイニングテーブルに併設されてる椅子に座り、足を組んで紙袋の中から林檎を取り出し、食べ始める。

あんなに食べたのにまだ食うのか、こいつ。

というか、どっから買ってきたそれ。

 

「というか、幽閉って…」

「飯食う前に言ったろ? 身の上話が聞きたいなら聞かせてやるって。何、聞きたい?」

 

今日何度目かわからないため息をついて、近くにあった林檎をツルギに投げる。

受け取ったツルギは、少し困惑気味に僕を見た。

 

「ごめんそれ切ってくれる? シンク、君の身の上話、聞かせてもらおうじゃないか」

「おーおー、目が据わってらっしゃる。お前、そんな顔も出来んのな? どう? 一杯?」

 

シンクは紙袋から瓶状の何かを取り出して、ニヤニヤとしている。

それに対して、僕は首を横に振った。

 

「酒なら未成年だから飲めないよ」

「アルコール入ってない子供用のシャンパンだって。小さい頃飲んだ事ない?」

 

あるわけなくて、また首を横に振る。

ツルギはうんうん頷いていたけど。

飲んだ事あるんだ?

 

「まぁまぁ。あ、ツルギ。それウサギ型に切って。てかお前、マジ器用。それも要家の教えってやつ?」

 

ダイニングキッチンで作業しているツルギの手元を見る。

ウサギ以外にもリンゴを飾り切りしていて、シンクの言うようにかなり器用だ。

 

「で、話逸れたけど。聞いてやるから話せよ」

「うわ、お兄様こわーい………んな目で見るなよ。はいはい。聞いて罪悪感なり、憐憫なり覚えんじゃねぇぞ? 別に、俺はこうだったってだけだからよ」

 

◆◆◆

 

物心がついた時には、俺は薄暗い部屋に閉じ込められていた。

窓はあれど、鉄格子が嵌められていて出られるわけもなく。

唯一外に出られそうな扉には、鍵がかかっていた。

食事は一日三度だったから、まぁ、食わせて貰えてる方だとは思う。

食事の時にだけ、その扉が開いてお盆ごと床に置かれた。

そんな生活を続けていたある日の事。

五歳くらいの時だったか、食事の時間でもないのに扉が開いた。

俺には前世の記憶があったし、服とか湯浴み出来る場所も部屋の中にあったもんで、困ると言ったら食事くらいだけだった。

 

俺は扉の方に目を向けると、金色の髪をした二人が部屋の中に入ってきた。

 

「お姉様、この部屋臭すぎません? 鼻が曲がりそうですわ」

「シャナ、別に普通じゃないの。あまり意地悪を言うものではないわ。グンジョウ、初めまして。私はソルフィアナ・エリスリーナ・ブリリアント。この子は、シャナ・アジアンタム・ブリリアント。私達、貴方のお姉さんになるの。よろしくね」

 

ソルフィアナと名乗った女の子と、もう一人意地が悪そうな俺と同じくらいの女の子。

ソルフィアナは、俺に手を差し出してくる。

俺は一応警戒しながら、差し出された手を握った。

 

シャナは俺と手を握ろうともせず、見下すような目しか向けては来なかったが。

 

それから、ソルフィアナの訪問が増えた。

マナーとか、ダンスの練習とか色々教えてもらったよ。

両親には会った事なかったが、写真が部屋の中にはあってな。

蒼髪の男と、金髪の女が並んで微笑んでいたよ。

これが俺の両親だって、ソルフィアナは言ってた。

 

名前は、ナズナとシャルル。

こっちとそう変わんないだろ?

 

一回、ソルフィアナに聞いた事があった。

なんで父様と母様は、俺に会いに来ないのかと。

その時の彼女は、少し悲しそうな顔をしていてな。

 

会いには来れないけど、俺の事をとても気にかけている。

だからこそ、自分を寄越して様子を見ているのだ、と。

俺の話をすると、両親はとても喜ぶらしい。

 

ソルフィアナは、この国では女が跡を継ぐ事、双子は凶兆の証で忌み嫌われている事、双子が産まれたら片方は殺すという風習がある事、そして俺を殺させない為に、父様と母様が画策して俺を幽閉している事を教えてもらった。

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