my way of life   作:桜舞

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69話『確かになんで生きてるんだろうね?』

観光地だから、結構人がいるイメージだったのだが今は僕ら以外人影がない。

朝からガーナ山を登っていたが、その時も人は見かけなかった。

 

「人除けの結界張られてる。気を付けてアオ。何か中にいるかも」

 

ユエの言葉に僕はシャナを降ろし、ノワールとブランシュを呼び出す。

何かあっても良いように、先頭を歩く事にした。

しばらく洞窟を歩いていると、急に開けた場所に出る。

下に降りる階段が横にあったが、広大な遺跡が眼下に広がっており、僕は少し残念に思った。

こういう時じゃなくて、普通に来れたら楽しめたんだろうな、と。

 

遺跡の真ん中辺りに何か光るものが見えるが、流石に遠すぎて判別がつかない。

 

「ユエ、遠見の魔法使えたっけ? あそこ何か光ってるんだけど」

「ごめん、習得してない。シャナちゃんは?」

 

ちょっと待ってと言って、シャナは人差し指と親指で丸を作り、そこを覗き込んだ。

そしておもむろに手を振りだす。

 

「シャナ?」

「なんか、薄ピンク色の髪の女の子がこっち見て手を振って来たから、振り返しただけ。おかしいかな?」

 

シャナは僕を見て首を傾げそう言うが、いやおかしいでしょ。

なんで人除けの結界が張られている場所に、人がいるんだよ。

 

「シャナちゃん、ちょっと見せて」

 

シャナが作った丸にユエが目を通す。

途端、舌打ちが聞こえた。

 

「ユエ?」

「桃華…なんで生きてんのあいつ…!」

 

トーカ。

グランドラント遺跡で粉微塵にした彼女を思い出す。

あの時の事は、ユエも僕からの話で知っている。

シャナも姿は知らずとも、名前くらいは覚えているはずだ。

 

「トーカって、グンジョウがぐちゃぐちゃにしたあれ? 確かになんで生きてるんだろうね?」

「シャナ、もうちょっと緊張感持って…」

 

のほほんと言う姉に、僕は少し脱力する。

ユエの方を見れば殺気立っていて、私怨で勝手に動きそうだと思った僕は、彼女に声をかける。

 

「ユエ、勝手に動く事は許さないからね」

「……わかってる。ごめん、アオ。私の中の雪那が、桃華は絶対に許さないって叫んでるから…」

 

少し深呼吸をしているユエだったが、自分の胸元を握りしめている手が少し震えていた。

シャナに目配せしてユエを任せると、僕らは階段を降りる。

 

遺跡入り口に着いた時、上の方、僕らが先ほどいた場所から声が聞こえてきた。

どうやらシンク達も到着したようだ。

 

「シンク、飛び降りて来れる?」

「んな無茶言うなよ! やろうと思えば出来るけどよ!!」

 

上の方に声をかけると僕の声は届いていたようで、シンクから怒鳴り声じみた返答がくる。

瞬間、僕らの後ろにシンク達が転移してきた。

彼は少し僕を睨みつけていたが。

 

「1人ならまだしも、3人同時に来るの演算大変なんだからな?! これだから魔法使えない奴は…!」

「はいはい、お疲れお疲れ。お姉ちゃんが慰めてあげよう。グンジョウの無茶振りに応えられて偉いね、シンク」

 

僕への文句を言うシンクへ、シャナは頭を撫でながら抱きしめる。

シャナからの抱擁に慣れていないシンクは、身体を硬直させているようだった。

 

「さて、目標はこの遺跡の中心部にいるみたいだけど。愚直に真っ直ぐ行くか、もしくは三方向から仕掛けるか。どっちが良いと思う、シンク?」

「…前提条件言えよ。それで判断してやる」

 

シャナの肩を軽く叩き、離れてもらったシンクは僕を見る。

 

僕は先程の事をシンクに伝えた

少し考えた後、彼は口を開く。

 

「桃華が、他に魔獣を呼び出さないのなら三方向でも良いとは思うが、相手の出方がわからない以上、固まって行った方が良いとは思う」

「なら、前衛はいつも通り。殿は僕が務める。後ろから攻撃が来たとしても、それで対処出来るはずだ」

 

警戒しながら遺跡の中に入る。

登ったり降ったりを繰り返しながら、中央部を目指した。

 

「ここで戦闘なんて、遺跡に傷がつきそうだよねぇ…」

 

シャナのその言葉に、姉以外の全員が目を逸らしてしまう。

全くもってその通りで、歴史的建造物に傷が一つでもついたら、国際問題に発展しそうなのだ。

戦闘なしなんて、トーカがいるのを確認しているので避けられるはずもない。

 

「時魔法で戻せば、或いは何とか…」

「それも加減いるよね? あんまり戻しちゃうと年代的に…」

 

僕の呟きにユタカが返してくれるが、本当どうしたらいいのやら。

むしろなんでこんな所に、魔王の遺物があるんだよ。

そうでなければ気にせず戦えたというのに。

 

「固定魔法使ってやるから、気にせず暴れろ。一応魔法の手解きも、カヅキおじさんとソルフィアナ姉様から教わってるし。てか、シャナ。お前も出来ると思うんだけど」

「あたし、そんな細かい事無理。母様じゃあるまいし、演算処理出来ないよ」

 

多分母様単体だけなら、空間固定など範囲が狭まるとは思う。

母様の魔武器である雛桔梗がいるからこそ、あんな莫大な魔法を使っても疲弊する事なく、立ち回れているのだと推測する。

 

1時間くらい経っただろうか。

やっと中央部に来れたようで、台座の上に剣が納められている。

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