my way of life   作:桜舞

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77話『誰が女たらしなんだ』

メイドが持ってきたテーブルに食事が並べられ、椅子に座りそれをいただく。

ユエの食事の所作がますます綺麗になっていて、努力してくれているんだなと感慨深くなった。

 

「アオ? そんなに見られていると食べづらいというか…」

「…あぁ、ごめん。ユエ、本当に変わったなと思って。それが僕の為なのが、とても嬉しいんだ。君を更に愛しく思うよ、ユエ」

 

ニコリと微笑むと、ユエの頬が染まり目を背けてしまう。

そんな反応も可愛くて、僕は笑みを深くした。

 

「…アオ、面白がってるでしょ」

「いいや? 君はとても可愛いとしか思ってないよ。僕の未来の妻は、努力家で可愛くて愛おしい存在なんだなって」

 

ユエはスプーンを置き、自分の顔を覆って俯いてしまう。

耳まで真っ赤になっていて、そんなに恥ずかしがる事だろうかと苦笑した。

 

「…そんなに口説かないで…慣れてないの…っ」

「照れてるユエも可愛いよ。口説いてるつもりはない。思ってる事を言ってるだけだから」

 

女たらし、なんて不名誉な言葉が聞こえたので、立ち上がって彼女の横に行き、その腕を掴んで顔から手を外させた。

 

「誰が女たらしなんだ、ユエ。君にしか囁いていないぞ、僕は」

「違…っ! 言葉のあや! 言葉のあやだから!! ちょっと、離してアオ…っ!」

 

顔を真っ赤にさせ、涙目なユエの腕を一纏めにし、顎を掴んで問答無用でキスをする。

少し乱暴だったかな、なんて思ったが、僕を女たらしと言ったユエへのお仕置きと考える事にした。

 

唇を離すと、息が少し荒くなったユエが僕を涙目で睨みつけてくる。

嗜虐心がそそられてしまい、僕は彼女の肩に額を乗せて呟くように言った。

 

「ユエ…その表情、僕以外に見せないでね…」

「アオの馬鹿…ドS…鬼畜…っ! 誰が…貴方以外に、見せるっていうのよぉ…っ!! もう、離してぇ…っ!」

 

少し悪戯心が芽生えてしまい、彼女を抱きしめる。

ビクッと肩が跳ねた彼女に苦笑した。

 

「ごめん。嫌いにならないで欲しいな、ユエ」

「…嫌いにはならないけど……意地悪だよ、アオ…周りに人がいるのに、こんな事…」

 

そう言われて、はたと僕は動きを止める。

 

見て見ぬ振りをしてくれているとはいえ、メイドとか親衛隊の人が控えているというのに、僕はユエしか見えていなかった。

チラリとそちらの方を見ると、皆顔を背けてくれている。

 

「……ごめん」

「少し反省して。周りの人達、陛下と王妃様で慣れてるかもしれないけど、私達もって…流石に居た堪れないんじゃないかな…」

 

全くもってその通りなので、僕はユエから手を離した。

まだ食事の途中だったので、僕らは大人しく食べる事にする。

ユエもその間無言で、これ怒らせたかなと内心冷や汗をかいた。

 

◆◆◆

 

ユエをお祖母様の所へ送り届けて、僕は図書室に戻る。

ずっとここにいたのか、それとも僕より早く戻ってきたのか、同じ場所にシンクはいた。

ただその傍ら、僕が座っていた場所に見慣れた金髪がグッタリと、机に頭を乗せている。

 

「シャナ、ここに来るなんて珍しいじゃん。冬休みの宿題終わらないからって泣き付きにきたの?」

「そのとーり…グンジョウに教えてもらおうと思ってきたら、シンクもいるなんて…あたしラッキーだよね…へへ…」

 

顔が憔悴し切ってるんだけど。

何がラッキーなんだ、この姉は。

 

「シンク、教えてたの?」

「まぁなー。分かる範囲だけだけど。こっちのシャナ、こんなに頭弱くて大丈夫か? 将来悪い男に騙されそうで、弟としては心配な限りなんだが」

 

別の場所から椅子を持ってきて、二人に向かうような位置に座る。

机の上には、数日前に終わらせた宿題の数々があって、僕はシャナを見た。

 

「ほぼほぼ終わってないじゃん。何してたの」

「……向かっては悩み、向かっては悩みをしてたら、こんな事に…」

 

馬鹿なのかな、この姉。

と、悪態を吐きそうになるのをすんでのところで抑える。

シンクも同様のようで、自分の口を押さえて目を泳がせていた。

 

「馬鹿って言えば良いじゃんかよぉ…どうせあたしは馬鹿だよぉ…」

「ツルギに教えて貰えば良いのに。結構頭良い方でしょ、彼」

 

泣き言を言い始めた姉にそう言っては見るが、無理と一言返ってくる。

 

「今もあたしの護衛って名目で側に居てもらってるのに、これ以上我儘言えないよ…」

「そのツルギどうしたのさ。今は側にいないようだけど」

 

シャナの護衛だし、帰る場所といったら今の所学園の寮だけ。

誕生日パーティーの時に、シャナの隣にいたのは見ているので、城の何処かにはいるんだろうけど。

 

「んー…? 旧友に会って来るって言って、朝から出掛けてるけど…。城の中だし、カヅキおばさんが構築した結界もあるから、少し側を離れて良いかって聞かれたから、良いよって…」

「シャナ、この馬鹿!! この世界にツルギの旧友なんざいねぇよ! あいつが旧友って言ったら、一人しかいねぇだろ! 本当に頭足りねぇ姉ちゃんだな、お前は!!」

 

そういきなり怒鳴って、シンクは何処かに転移して行った。

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