my way of life   作:桜舞

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78話『え、趣味悪…』

僕とシャナは、ポカーンと彼がいた場所を見つめる。

 

「…何かおかしな事言ったかな…?」

「……あー、そういう事。ツルギ、迂闊な事したな…反逆罪に問われてもおかしくないっていうのに…」

 

反逆罪という単語に、シャナの顔が一瞬で不安へ染まった。

フラれた相手だろうに、未だに好意を持っているのか。

うちの姉は一途過ぎる気がする。

僕も人の事は言えないけど。

 

「ど、どうしよう…いや、もうどうにも出来ない…?」

「それを止める為に、シンクが飛んだんでしょ。何なら、シャナも行ってきたら? シンクの魔力を辿って飛べるでしょ?」

 

その手があったか、という顔をしたシャナはすぐに転移していった。

まぁ、ツルギが敵に回るのなら、僕は容赦なく斬り伏せるだけだ。

 

「シャナの事、大事に想ってると思ってたんだけどなぁ…」

 

本棚から適当な本を取り出し、席に戻って読む。

数百ページあるそれを半分くらい読み終えた所で、シンク達がツルギを連れて戻って来た。

 

「お前、本当に無茶すんな! 下手したら反逆罪で頭と胴体おさらばしてんぞ?!」

「…すみません。姫も…心配かけて、ごめん…」

 

煩いなぁ、と思いつつも、僕は本から顔を上げてシンクに尋ねる。

 

「で? どういう顛末だったわけ? 場合によっては、カヅキおばさんに報告しなきゃいけないんだけど」

「こいつ、桃華に呼び出されたんだと。あっちは世間話程度だけだったっぽいけど、こいつは桃華を殺そうと思ったらしい。ツルギお前…よく初恋の相手殺そうと思えたな?」

 

僕は少し驚いてツルギを見た。

 

初恋?

桃華が?

あの頭のおかしい奴を?

ツルギが?

 

「え、趣味悪…」

「…すみません。狂うまではマトモだったんです、あいつ…」

 

思わず呟いてしまった僕に、ツルギは頭を下げてくる。

いや、そこは少しムッとしてもいい気がするんだけど。

 

「で? 殺そうとした後は?」

「俺とシャナで止めに入ったよ。こいつ1人で桃華を殺せるとは思えなかったんでな。無謀が服着て歩いてるのか、お前は」

 

シンクが軽く睨みつけるとまた、すみません、とツルギが謝ってくる。

 

「桃華が撤退してった後、事情も聞いた。こいつ、夕陽と桃華の墓を死ぬまで弔いたかったんだとさ。あっちで唯一の友達だったんだと。だから、日本に帰りたがってたっぽい。その夕陽が、俺かお前かは知らねーけど」

 

少なくとも、雪那と桃華の事は思い出したけど、ツルギの事は思い出してない。

もしかしたらツルギの言う夕陽は、僕ではないかもしれないけど。

 

「どうする? おばさんに報告する?」

「しなくても良いんじゃね? それに、おばさんの結界がこいつを弾かなかったって事は、まだシャナの傍に置いていても問題ないって事だろ。結界自体、おばさんの感覚と繋がってるわけだし」

 

本当、どういう原理でこれを作ったのか教えて欲しい。

少し興味がある。

 

「ツルギ君…」

 

シャナが少し心配そうにツルギの名前を呼ぶ。

その声に彼はシャナの方を見て、僕らがいる前で姉を抱きしめた。

 

「ごめん、姫。今度からちゃんと、行き先は言う」

「え、あ、うん?! あ、あの、ツルギ君?! グ、グンジョウ達が見てるから、離してほしいかなぁ?!」

 

シャナが顔を真っ赤にし、目を泳がせながらツルギにそう言うと、彼は素直に姉を離す。

 

「? 姫、顔が真っ赤だが…」

「う、うん! ちょっとこの部屋暑くないかな?!」

 

そんな馬鹿な。

暖房が入っているとは言え、少し底冷えがするというのに。

照れ隠ししているのはわかるが、僕らにどっかいけってジェスチャーすれば、空気読んでいなくなったのに。

 

「シャナ、馬鹿だろ」

「馬鹿だね…」

 

ポツリと呟く僕らに、シャナが涙目になった。

そんな事はわかっているが、どうしたら良いのかわからないと言った感じで僕らを睨む。

 

「だから、あれほど彼氏作っておけって…」

「…姫、彼氏いた事ないのか?」

 

ツルギがトドメを刺しに来る。

俯いて肩を震わせるシャナを彼は心配そうに見つめているが、その状態にしたのは自分だという自覚がなさそうだ。

 

「いた事ないよ! うわぁぁぁんっ!!」

 

シャナは泣きながら、僕らに背を向けて図書室から走り去っていく。

驚いて固まったツルギだったが、ハッと我に返り慌ててシャナの後を追いかけて行った。

 

「ねぇ、シンク。ツルギはなんでシャナに告白しないんだと思う?」

「知らね。自覚がないのか、自分に何か制限をかけているのか。どっちにしろ、シャナ可哀想ー」

 

それは同意する。

姉の一途さが報われて欲しいと、弟としては思っているが…相手が悪いのではないだろうか。

 

「ツルギじゃなきゃ、シャナはダメなんだろうなぁ…」

「だろうな。初恋って拗らせるって聞くけど。まぁ、何とかなるだろ」

 

椅子に座りながら、シンクは後ろ手に手を組む。

僕は彼の方を見ながら尋ねた。

 

「それ、星読みの力? それとも希望的観測?」

「さぁな。まぁ、これ以上はデバガメになるからやめとこーや、お兄様」

 

それもそうかと納得して、机の上に散らばったシャナの宿題をまとめ、机の隅に置く。

ユエ達が帰るまで、僕らは読書をしながら過ごしたのだった。

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