my way of life   作:桜舞

8 / 408
8話『どうする?』

「せ、先生…そんな事、許されるんですか?」

 

クラスメートの一人が、挙手をしながら尋ねる。

だがおばさんは、それに対して鼻で笑った。

 

「お前ら、相手はこの国の王妃だぞ? ここの法律に関して全てを記憶している。国に脅威が訪れる場合、それが難敵であろうとも排除する。王妃は陛下が即位された際、戴冠式に来ていた全ての貴族に宣言なさっているんだ。ならば、それを引き起こした者を殺すのは、王妃の仕事という事になる。私は忠告したからな? それでもやるようなら止めんし、一族郎党皆殺しになるのを覚悟しておけ。自分一人だけだと思うなよ?」

 

周りが、僕とシャナを見る。

やらかしても温情を、とか思っているんだろう。

 

いつも優しい母様しか、見ていないとでも思っているのだろうか?

王妃としての責務と、無慈悲さを知っているというのに。

 

「なんかめっちゃ見られてるんだけど」

「悪戯したら殺されるって言われたんだ。しなければ良いだけの話なのに。何かやらかしても、僕らが母様に口添えしてくれるとでも思ってるんでしょ」

 

居心地悪そうにシャナが僕を見る。

そんな姉にそう返した。

 

誰がそんな事をすると言うのか。

僕は優しいと言われているけれど、王族の務めは理解しているつもりだ。

国へ脅威が迫るというのなら、僕の優しさなど塵芥にも等しい。

そんな甘さは捨てるべきだと、父様は言っていた。

母様も、優しい人ではあるのだ。

でも敵と見定めた者には、容赦しない。

 

それが、王族のあるべき姿だと、僕もシャナも理解している。

 

おばさんは影から椅子を引っ張り出し、座った。

偉そうに足を組んで、円形魔法陣を起動し書類整理を始める。

 

各自勝手にやれという事だろう。

 

「グンジョウ、どうする?」

「やるしかないでしょ。やり方は教科書を見ながらやれって先生も言ってたわけだし」

 

僕は教導の教科書を開き、召喚のページまで捲る。

描くものが見つからなかったので、適性ではないが多少使える風魔法で召喚の魔法陣を描いた。

 

「シャナ、先にやる?」

「うーん…ちょっと怖いから保留で」

 

保留って…やらなければならないのに、保留等出来るわけないだろうに。

 

僕は少しため息をついて、魔法陣に魔力を流し始める。

魔武器は自分の半身とも言える武器だ。

だからこそ、自分が取り扱いしやすいイメージが必須になる。

 

うーん…好きなものと言ったら本なんだけど、それは実用的ではないし…戦闘訓練するのに本はないなぁ…。

やっぱり剣かなぁ…。

 

そう思っていると、僕の両手に重量がかかった。

見ると、黒と白の一対の剣が現れている。

あぁ、これが僕の魔武器か、と納得した。

 

「白がブランシュ、黒がノワール。よろしくね、君達」

 

魔武器に名付けを行う。

一対の剣が現れたのと同時に、僕の腰辺りにナイフホルダーが出現し、それぞれの鞘が納められていた。

とりあえず一対の剣をそれぞれの鞘にしまい、姉の方を振り向く。

 

「出来たよ」

「う、うん。よーし、やるぞー!」

 

妙に気合を入れるシャナだったが、そんなに力まなくても良い気がする。

ちょっと嫌な予感がした僕だったが、それは当たってしまったようで、シャナが魔法陣に込める魔力が多すぎて、魔力風が吹き荒れ始めたのだ。

 

「ちょ、シャナ! 多い、多すぎる!! 何作るつもりなの?!」

「え、多かった? 少ししか入れてないつもりだったんだけど」

 

姉が僕の方へ振り向き、きょとんとしている。

こういう所が、母様に似ている所だと思わざるを得ない。

 

戦闘訓練で魔法を連発していた母様に対して、カヅキおばさんが注意しに来た事がある。

 

お前は大技に頼りすぎる所があるって、すごい怒ってたっけな…。

 

その姿と、今のシャナの姿が重なった。

閃光が迸り、僕は思わず目を閉じる。

次に目を開けた時、シャナの腕には黒い腕輪が巻き付いていた。

多分あれが、シャナの魔武器なのだろう。

 

「えーと…黒だから…シュヴァルツ!」

 

ニコニコ笑う姉へ、僕は抗議の意を込めて頭を軽く叩いた。

 

「いった!! 何するの、グンジョウ? 頭叩いて脳細胞が減ったらどうするの? あたし馬鹿になるよ?」

「今も馬鹿だから問題ないだろ。あのね、シャナ。僕ら王族なの。自覚してないかもしれないけど、王族なの。一応見本にならないと駄目なの。わかる? 少し文言変えて、次は使い魔の召喚に使おうと思ってた魔法陣、吹き飛ばしてるの。ねぇ、シャナ? なんであんな馬鹿な事したの?」

 

詰め寄る僕に、シャナは冷や汗をかきまくっているようで、目を逸らした。

 

「いやー…馬鹿な事をしたという自覚が…」

「じゃあ馬鹿じゃん。アホの子じゃん。少し頭使った方がいいよ、シャナ」

 

僕がそう言うと姉は目を潤ませ、ツェリの方に駆けていく。

 

「うわーん! ツェリーっ!! グンジョウが虐めるーっ!!」

「シ、シャナちゃん…あ、あの…」

 

困ったように、僕とシャナを交互に見るツェリに、僕は肩を竦めるだけにしておいた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。