my way of life   作:桜舞

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88話『客観的に見るとこれキッツイね』

もしかしたら、僕らを宿す前に母様も誰かから言われたかもしれない。

もし、父様との間に子供が出来なかったら、側妃を迎えるようにと。

 

お祖父様の時代だと、側妃は沢山いたという話だったし。

父様の兄弟姉妹も多くいたという事だった。

今は統合騒乱でほぼいなくなってしまったらしいが。

 

僕が会った事がある父様の兄弟は、トンプソン領にいるユキヤ叔父様、迷いの森にあるエルフの里にいるアキカ叔母様、そして各地を視察という名目で旅行しているハルト叔父様だけだ。

 

「知ってるよ。だから何?」

「は?」

 

ユエの声が低くなる。

これ以上だと、魔法を使った喧嘩が始まるかもしれない。

流石にこれ以上はと思った僕は、振り返った。

 

「はいはい、寮の前で喧嘩しないでよ。ユエ、グンちゃんと出かけるんでしょ? だからそんなおめかししてたのに、ツェリちゃんとの喧嘩で台無しにする気?」

「ユタカ…」

 

シンクを伴って、ユタカがその場にいた。

一体いつの間にと思って、僕が顔背けてた間かと結論づける。

 

「ユタカちゃん。もうユタカちゃんには関係ないよね? グンジョウ君より、シンク君を選んだんだから」

「だから何かな。うん、客観的に見るとこれキッツイね…ごめん、ユエ」

 

ツェリの様子を見て去年あたりを思い出していたのか、ユタカがユエに謝った。

そんな彼女の頭を撫で、シンクは僕に早く行くよう手を振ってくる。

 

「やっとわかったの、ユタカ」

「ユエ、行こう。シンク悪い、後任せた」

 

ユエの手を取り、僕は歩き出す。

そんな僕を見て、背後からツェリが呼び止めようとした。

 

「ちょっと待って、グンジョウ君!」

「はいはい、人の恋路を邪魔すんじゃねぇよツェリ?」

 

足音からして僕を追いかけてこようとしたのだろうが、シンクに足止めされたようだ。

 

僕は二人に感謝しながら、その場を離れた。

 

◆◆◆

 

「幸先悪ーっ!」

「そうだね」

 

学園都市内にあるユエがお気に入りのコーヒーショップでテイクアウトし、僕はブラック、ユエはキャラメルマキアートを飲みながら歩いている。

先程の事が余程癇に障ったようで、ユエはまだ怒っていた。

 

まぁ、怒ってるのはツェリに対してだけで、僕ではないからそこは別に良いんだけど。

 

恋人繋ぎをしている片手の指で、彼女の手の甲を撫でる。

 

「……何?」

「今日のデート、僕楽しみにしてたんだけど? ツェリの事なんて忘れて、僕の事だけ考えてよユエ。ね?」

 

少し彼女の手を持ち上げ、手の甲にキスをする。

チラリとユエを見れば頬を染め、困ったように目を逸らしていた。

 

「もうそろそろ慣れない?」

「な、慣れるわけ…ないじゃん…っ! 恥ずかしいよ、アオ…!」

 

プイッと顔も逸らしてしまったユエを見て、本当に彼女は可愛いと思う。

クスッと笑い、僕は手を下ろした。

 

「何笑ってるの?」

「君がとても可愛いと思ってね」

 

ニコリと笑いながら彼女の耳元にまで唇を寄せ、小声で囁く。

 

「愛してるよ、ユエ。ここが街中でよかったね? 城の中なら、グズグズに甘やかしてるところだ」

「ーーっ?!」

 

僕から手を離し、囁いた方の耳を押さえてユエは僕から離れる。

その顔は真っ赤に染まっていた。

 

「ア、アオっ!! そういう事言うの禁止っ!!」

「うーん…。禁止されると、今後君に愛を囁けなくなるけど、それでも良いの?」

 

僕がそう言うと、ユエは顔を真っ赤にしたまま、僕を睨む。

威嚇しているつもりなのだろうが、僕には逆効果すぎて噴き出した。

 

「何笑ってるのーっ?!」

「痛っ、痛いって。ごめんって」

 

ユエがポカポカと僕を叩いてくるが、魔力を乗せてはいないので普通に痛いだけだ。

 

良かった、意識がツェリから逸れたな。

 

流石にあの状態でデートするのは勘弁願いたい。

ユエが怒りっぽいのは昔からだし、それを知ってはいるけど。

多分後で、ユエ自身が後悔する事になるだろうから。

 

「ユエ、好きだよ」

 

悲しむ彼女は、もう二度と見たくない。

僕の事に関しても、他の事柄に対しても。

もう、泣かせる事はしたくない。

 

彼女に対してそんな気持ちを込めながら言うと、キャラメルマキアートを飲み終わったのか、彼女は容器をゴミ箱に捨て、僕に抱きついてくる。

 

まだ僕は飲み終わってなかったので、片手で彼女を抱きしめた。

 

「私もだよアオ。でも! お願いだから、口説くのは部屋の中だけにして? こんな人が多い所で言われたら、どうしたら良いかわからなくなるの…」

 

最後の方は小声で言う彼女だったが、ちゃんと聞こえていたので、僕は苦笑して彼女にしか聞こえないように囁いた。

 

「わかったよ、僕の姫。君の仰せのままに」

「だから…っ! …もー…」

 

少し不満そうに言う彼女だったが、諦めたのか僕の胸に顔を埋めた。

 

◆◆◆

 

ショッピングモールというものも学園都市内にはあり、そこのブティックでユエは服を二着取り、どちらがいいか悩んでいるようだった。

 

一つは体の線が出る服で、母様やおばさんの生前の世界にあった、チャイナ服と呼ばれるものだ。

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