my way of life   作:桜舞

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89話『あんまり煽るとこうなる』

太もも辺りにスリットが入っていて、これを着たユエに誘われたら、理性などすぐ崩壊して襲う事だろう。

もう一つはキャミワンピースと呼ばれるもので、白いワンピースに青いジャケットが付いて、腰あたりに灰色のリボンがついていた。

 

「うーん…アオ、どっちがいいと思う?」

「どちらも似合うし着て欲しいから、二つとも買おうか?」

 

ブティック内にある椅子に座り、足を組んでユエを眺めていた僕に彼女が聞いてきたので、僕は微笑みながらそう答える。

世間一般的には、こういう質問には最適解というものがあるらしい。

 

そんなもの知ったこっちゃないし、ユエが欲しいと言ったものは、僕のお小遣いの範囲内で買えるものばかりだ。

 

「…成金」

「ユエ?」

 

誰が成金だ。

笑みを深くすると、なんでもないと返される。

そのまま服を戻そうとしたので、僕は立ち上がって彼女の手を掴む。

 

「なんで戻そうとするの?」

「いや、あの…私がここにある服全部欲しいって言ったら、アオ全部買いそうだなと思ったらちょっと…」

 

僕は少しため息をついて、彼女の肩に顎を乗せた。

 

「君が本当にそれを望むなら、それをするだけの資金を持ってはいるよ。でも、服が二着だろ? それくらいなら普通に買ってあげられるって言ってんの。少しは贈り物させてくれない? ユエ」

「アオ…。うん、わかった。お願いします」

 

ユエは先程持っていた服を僕に渡してくる。

他に欲しいものを聞くとそれ以外ないというので、会計に持って行きそれが入った紙袋をもらった。

 

「アオ、自分で持つから」

「持たせて。代わりに、手を繋いでもらえると嬉しいんだけど」

 

手を差し出すと、ユエは嬉しそうに僕と手を繋いでくれる。

そしてこっそりと、僕に耳打ちしてきた。

 

「今日可愛いのつけてるんだけど、見る?」

「…ユエさん、ここ公共の場だから。少し自重しましょうか…あと、誰に聞かれてるかわかんない状況で、それ言うのやめようね」

 

はーい、と返事してユエはニコニコしている。

さっきの意趣返しのつもりなんだろうな。

可愛いからいいけど。

いや、良くない。

 

「ユエ? 城に帰ったらちょっと話し合おうか?」

「え…」

 

僕から離れようとしたユエの手を少し強く握る。

ニコリと笑いかけるが、彼女の目が泳ぎまくっていた。

冷や汗もかいているところを見るに、まずい事を言ったという自覚はあるようだ。

 

「アオ、目が笑ってない…」

「うん。ユエの可愛さに気付いた男が、君をそんな目で見るかと思うと…ちょっとね」

 

ブティックを出て少し歩いてはいるが、チラチラ何人かこっち見てるんだよなぁ…。

僕が彼女から離れた瞬間ナンパするつもりなんだろうけど、誰がさせるか。

 

「顔怖くなってるけど…。大丈夫だよ、アオ。そんな奴らが来ても、私ぶっ飛ばせるから」

「うん、わかってるけど少しは僕にも守らせてね」

 

一般市民には、彼女は可愛い女の子としか映ってないだろう。

しかし、ユエは人類最強である立花夏月の娘だ。

腕力だけで彼女を屈服させようとしても、無駄である。

 

「僕が襲おうとしても、君は受け入れるんだろうなぁ…」

「何当たり前な事言ってるの?」

 

少し拒否してくれてもいいんだよ?

なんでそんなに受け入れるの君。

 

立ち止まってジッとユエを見る。

彼女は不思議そうな顔で、僕を見つめ返した。

 

「アオ?」

「…いや。君は、嫌なら嫌だって、ちゃんと言うもんね」

 

多分、想像ではあるけど、僕が彼女に無体を働こうとした時とか。

拒否られるだろうし、泣かれるだろう。

 

「アオに対しては嫌だって言うつもりはないよ? アオに乱暴な事されても私…」

「だから、公共の場だってば。顔赤らめて言わないで、可愛いから」

 

少し我慢の限界を超えた僕は辺りを見渡し、死角になっている部分を見つけ、彼女を連れ込む。

そしてユエの唇を自分ので塞いだ。

腰あたりに腕を回し抱きしめる。

 

「っ?!」

 

ユエが少し驚いた声を上げたけど、無視した。

深いのをした後、唇を離す。

ぼんやり僕を見上げているユエが愛しくて、僕は微笑んだ。

 

「アオ…」

「あんまり煽るとこうなるって覚えておいてね」

 

こくりと頷いた彼女は、僕の胸に顔を埋めて目を閉じた。

 

◆◆◆

 

次は何をしようとユエに聞くと、お腹が空いたと返答が来たので僕は考える。

 

あんまりがっつり系だと、女の子だし嫌かもしれない。

かと言って、サンドイッチ系だと大体いつも食べてるし。

麺類って、ユエ好きだっけ?

 

うーん、と悩んでいると、ユエが僕の服の裾を引っ張ってくる。

 

「ん? どうしたの?」

「アオ、魚介類って平気?」

 

ユエが指差した先。

回転寿司と書かれた看板があった。

 

「平気だけど…」

 

カヅキおばさんがこちらに来た時に、一回握ってもらって食べた事がある。

シャナは少し苦手なようだったが、僕や父様は平気で、ネタがとても美味しかった。

母様は少し感動して涙ぐんでいたっけ。

 

しかし、僕は看板に疑問を覚える。

 

回転?

寿司が回転するの?

どうやって?

 

寿司が高速で、縦横無尽に回転しながら飛び交っている様を想像した。

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