my way of life   作:桜舞

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9話『立花先生』

姉に抱きつかれてるツェリは、頭を撫でて慰めているようだったので、シャナは彼女に任せる事にする。

暫くすれば、何事も無かったかのように振る舞ってくる事だろう。

シャナは後には引き摺らないタイプだから、喧嘩した時は大いに助かっていたりする。

絶対に言わないけど。

調子に乗るから。

 

「まったく…」

 

もう一度魔法陣を描く。

今度は使い魔召喚用だ。

魔力を流し、僕は詠唱する。

 

「我が望む使い魔を呼び寄せよ。我はグンジョウ・デルフィニウム・ブリリアント。汝の主に相応しき者なり」

 

轟っと風が吹き荒れ、それが治ると僕の目の前に銀の毛並みをした巨大な狐が現れた。

 

〔お前か、我を呼び出したのは〕

「君は?」

 

銀狐は僕を見据えそう言ったので、聞き返す。

声からして男性なのだろうが、彼は僕を見て鼻で笑った。

 

〔我が名はマモン! 七罪の悪魔の一柱である!〕

「七罪…あぁ、レヴィと一緒か」

 

母様の使い魔である、レヴィを思い浮かべる。

レヴィも七罪の悪魔の一人で、とても偉そうにしているが、僕やシャナ、弟妹には優しい人だ。

夫であるルティといちゃついている事が多いけれど、僕らが近くに行くと頭を撫でてくれたりする。

小さい頃から一緒の、お姉さん的存在だ。

 

〔嫉妬か。あの軟弱者め、人間の配下になりおって〕

「軟弱かな…。母様に勝てる人なんて、カヅキおばさんくらいだと思うけど…」

 

そう言った瞬間、僕の後頭部に何かが勢いよく当たり、痛過ぎて頭を押さえる。

そちらの方向を見ると、カヅキおばさんがこちらを睨みつけるように見ていた。

 

「ここでは、立花先生、だろ」

「はい、すみません先生…」

 

いけない、ここは学校だった。

僕の落ち度なので、後で謝るとしよう。

 

僕は先程召喚した魔武器を引き抜き、マモンに向ける。

 

「とりあえず、僕に降ってもらう。自分の力量以上の物は呼べないようになっているはずだから」

〔我が貴様より弱いと? はっ! 下等な人間がよく吠えるではないか! 良かろう、貴様を下して、嫉妬のを笑いに行こうではないか!〕

 

カカカ、と笑い、マモンは炎の塊を僕へ吐き出してきた。

身体強化を自身に施し、体を低くして一気に駆ける。

巨大なマモンの体の下を潜り抜け、反転して彼の体に駆け登った。

 

双炎剣(レッド・ツイン)!!」

 

剣を滑らせ、そこへ炎属性の魔力を乗せる。

炎の斬撃がマモンへ飛んだ。

しかし銀の毛皮にそれらは弾かれてしまう。

 

〔小癪なっ!!〕

 

体を震わせ、彼は僕を落とそうとしてきた。

だが僕はその体を蹴り、上空へ飛ぶ。

そんな僕へ、マモンはまた炎を吐き出して攻撃してきた。

成る程、マモンも炎属性という事か。

本当に僕に似合いの悪魔だ。

僕は一対の剣に魔力を込める。

 

「これで、どうだっ!!」

 

炎なら耐性があるため僕はマモンの攻撃を無視し、一対の剣が魔力を込めたおかげか巨大化した。

それらを交差させ、マモンへ突撃する。

 

灰鋏(グレイ・シザーズ)!!」

〔ぐぁぁぁあっ!!〕

 

鋏のように剣を交差させながら斬り、彼の首を切り落とした。

その巨体に押し潰されないように、すぐさまその場から離れる。

 

そして、ハッとした。

 

しまった!

殺しちゃダメじゃん!!

使い魔は半殺しが鉄則だって、母様言ってたのに!

 

僕はバッと顔を上げる。

そこには信じられない人が立って、マモンの治療をしていた。

 

「グンジョウ、貴方やり過ぎ。本気になるのは構わないけど、力加減を間違えちゃ駄目よ?」

「か、母様…?」

 

僕の攻撃は深い傷になっていただろうに、それを母様は瞬時に回復させている。

側にはレヴィも控えていて、城から直行で来たのだと伺えた。

 

「な、何でここに?」

「立花卿から、連絡来たの。お前の息子が本気で使い魔殺しそうだから、ちょっと来いって」

 

母様は呆れて、カヅキおばさんを見る。

教師なのだから自分で何とかしろ、とでも言いたげだ。

そんなカヅキおばさんはガン無視を決め込んでいる。

 

「マモン貴様…昔より弱くなったのではないか?」

 

レヴィが憐れみの目でマモンを見ていた。

 

「まぁ、貴様は七罪の中でも最弱の分類であったが」

〔喧しい…人間に降った悪魔の分際で…〕

 

喋れるまでに回復してきたようだ。

僕はシャナの方を見る。

姉も召喚に成功したみたいで、僕の方へ心配そうな顔をして駆けて来ていた。

 

「グンジョウ、大丈夫?! って、あれ? 母様だ」

〔あら、リヴァイアサンではないですか〕

 

シャナの肩に乗っていたグリフォンが喋る。

声の質から言って、女性のようだ。

しかも、レヴィを見てそう言ったという事は彼女も七罪の悪魔の一人なのだろう。

 

「ルシファー、貴様もか。しかしこの場に七罪の悪魔のうち三柱揃うとは…我が主の血筋は侮れぬな」

 

流石我が主だと、レヴィは腕を組んでうんうん頷いている。

 

「褒められてる気がしないなー…いや、レヴィは褒めてるつもりなんだろうけど」

 

母様は苦笑いを浮かべ、マモンの治療を終えた。

カヅキおばさんに用があるのか、母様はおばさんの方に歩き出す。

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