「ユエ、どうやって食べるの?」
「え? 普通に、レーンに乗って回ってくるお寿司、とって食べるだけだけど…」
レーン?
って何?
僕の頭上には疑問符がたくさん出ていることだろう。
勉強不足だなぁ、と感じてしまう。
「うーん…聞くより見る方が早いと思うよ。苦手じゃないなら、ここにしない?」
「良いよ」
二人で入り、テーブル席に案内される。
僕らの横を寿司が流れていき、僕は少し感動した。
もしシャナがここにいたら、とても大はしゃぎしている事だろう。
まぁ、姉は寿司…というよりも、魚介類が苦手だから、システムにはしゃいでも、ここ自体はあまり喜ばないだろうなと苦笑した。
「アオ? どうかしたの?」
「ん? いや…シャナ連れてきたら、寿司が流れていく様を見て、大はしゃぎするんだろうなぁって想像したら、面白くて」
あぁ、とユエも納得してくれる。
「確かに。シャナちゃんがいたら『すごーいっ! これどうなってるの?! お寿司回転してないよね?! 飛ばないの?!』って騒ぎそう…」
「ユエ? 僕の思考読んだね?」
ユエの言葉に被せるように問う。
最近ポーカーフェイスも上手くなってきたって、父様達にも褒められてるから、表情から読み取る事は不可能なはずだ。
あと、シャナの声真似上手いなユエ。
目を閉じて聞いたら、どっちがシャナか当てられるの難しいと思う。
「…さっき、なんで疑問抱いてるんだろうって思って…少しだけ」
目を逸らしながらあっさり白状したけど、人の思考読まないでくれないかな…。
「読まれていい時と、読まれたくない時があるんだけど。ユエ? せめて許可取ってからやろうね?」
「ごめんなさい…」
おかしいなぁ。
同い年だけど、生まれ月に関しては僕の方が遅いのに。
妹に言い聞かせるような感じになってしまう。
いや、シャナがアレな時点で仕方ないのか。
「アオ、私に呆れちゃった…?」
「そんな不安そうにしないでよ。呆れるわけないだろ。こんな事で呆れてたら、僕誰とも付き合えないって」
彼女に微笑みかけると、ユエはホッとしたようで流れてくる寿司を見た。
「アオ、何食べる? 一応注文もできるっぽいけど」
「ユエに任せるよ。カヅキおばさんが握ったヤツは食べた事あるけど、他はないんだ。君が美味しかったって思う物が食べてみたい」
そう言うと、ユエがニヤリと笑う。
あれ、嫌な予感がしてきたぞ…。
僕の嫌な予感は的中し、ユエはタッチパネルで寿司を注文しまくった。
テーブルに乗り切るくらいだったけど、圧巻すぎて逆に引く。
「ユエさん…? これ食べ切れる分だけ頼んでるよね?」
「え? 当たり前じゃん。ママからそこら辺ちゃんと教えられてるし。あとね、アオ。回転寿司って、魚介類だけじゃないんだよ? 今度シャナちゃんも連れて来ようよ」
ユエがタッチパネルを操作して、メニューを見せてくる。
確かに魚介類以外にも、麺やデザート、寿司に関しても惣菜が乗っているものもあり、これならシャナも食べられそうだなと思った。
というか、シャナが魚介類苦手だって話してなかったと思うんだけど、それも読んだな。
まぁ、先程苦言は言ったので、これ以上は言うまい。
僕はユエが選んだ物を一貫ずつ食べてみる。
確かに美味しい。
ここにある寿司を全部食べろと言われたら、少し難しいとは思うけど。
僕が一貫ずつ取ったので、ユエが残りを食べてくれる。
「アオ、本当に少食だよね。なのに、鍛えてるし。エネルギー不足で倒れたりしないの?」
「シャナに言わせると、僕は低燃費なんだって。総魔力量が少ないとも言ってたろ? 得意属性の炎以外は、出せてもほんの少しの威力しか出ないし。外部出力するより、内燃機関に回した方が僕としては効率良くてね。だから、別に少食でも困らないってわけ。それでも、魔力がない成人男性並みには食べてるんだよ?」
一回、シャナに言われておばさんに尋ねてみた事があった。
僕の少食は異常なのか、と。
おばさん曰く、
「この世界…というよりは、魔法を使える連中だな。私も含めて、魔力を生成するための魔力回路を持っている奴らは、外部から魔力を補充しなければならん。自分の中で生成できると言っても、限りがあるからな。お前の魔力保有量は、自分で生成出来る分だけで補える量だ。飯はついでとでも思っておけ。大体、ナツキやシャナが大食いなだけだろう。魔力保有量が多ければ多いほど、食ったエネルギーは全てそれへ置換される。自分が食えないからと、気にする必要性はない」
との事だった。
ユエにもそう説明すると、なるほど、と納得してくれる。
別に一切食べなくていいというわけではなく、魔力生成の他に生命を維持するための食事は必要なわけで。
ちゃんと食べてるのに、それでも少食と言われるのかー、なんて苦笑を浮かべる以外どうすれば良いというのか。
「私、これに関してはもう何も言わない」
「そうしてくれると助かるよ」
頼んだ味噌汁で一息つく。
うん、ご飯には味噌汁がついていた方が、僕としては好みだ。