my way of life   作:桜舞

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93話『お前もかよ』

ノーム1の月。

僕らは2年に進級した。

進級した際クラス替えがあったみたいで、シンクが僕やシャナと同じになり、ツルギがユエとユタカのクラスになってしまった。

 

「何でだし…!」

「ユタカとイチャつきすぎたんじゃない? それに、王族は一纏めにしておいた方が、何かあった時避難させやすいとでも思ったんじゃないかな」

 

ユタカと離されて若干不機嫌なシンクに、僕はそう返答する。

そんな僕は顔を上げず、本を読んでいたのだが。

 

「お前、ユエと一緒のクラスになりたくなかったのかよ」

「なりたいって言ったって、先生達の采配なんだから仕方ないだろ。それよりは、シャナの方が重症だと思うけど」

 

先程から一言も話さないシャナに、僕らは目を向ける。

姉は机に突っ伏し、一切動いていない。

ツルギと離れた事が、余程ショックなようだ。

 

「まぁ、休み時間になったら会いにくるんじゃね?」

「どうだろ…ツルギだしなぁ…」

 

昼休みとかならまだしも、授業の合間の休憩時間毎にシャナに会いには来ないだろうと思う。

ツルギの今までの行動から、次の授業の準備とか予習でもしてそうだ。

シャナの事どう思ってるのか、後で問いただしておこう。

 

「シャナ、そんな落ち込むなよ…」

「落ち込んでないもん…眠いだけだし…」

 

声に悲壮感が漂ってるんだけど。

おばさんも少し、そこ考えてあげれば良かったのに。

僕やシンクはともかく、シャナの専属護衛はツルギなんだし。

 

「てか、まだ専属護衛の件決まんねーの?」

「お前もかよ。人の心読むな…今度入ってきた親衛隊の若い子達、下心あり過ぎてとても殿下達に付けられる状態じゃありません、ってこの間ニーナ隊長が言ってた」

 

親衛隊に志願したのも、僕達に近寄りたいあわよくば側妃に、なんて思ってる人達ばかりらしい。

昔みたいに、平民と結婚出来ないというわけではないから、玉の輿狙いなんだろうけど。

 

「母様が何の苦労もなく、父様と結婚できたわけねーだろうに」

「何だっけ、シンデレラストーリーってやつ? 母様は元々平民だったから、自分達もなんて思ってるんだろうけどね」

 

父様も婚約者はいたけど、魔王が現れた時に亡くなっているらしいし。

そのおかげで、シャルと結婚できたから、あれには少し感謝してやる、って言ってたけど…聞く限りすごい人だったみたい。

ユエがあんなじゃなくて良かったと、亡くなった人には悪いけど本気で思ってしまった。

 

そんな雑談をしていたら、教室にカヅキおばさんが入ってくる。

若干眠そうにしているのは、早朝の訓練のせいだろう。

 

今日、一回だけ母様に一太刀入れられたのだ。

それに対して高笑いを始めた母様が暴走しかけたのを、カヅキおばさんが必死になって止めていた。

あんまり魔力を引っ張りすぎると、躯体が壊れるとかなんとか。

 

母様の本体、あそこでずっと眠りっぱなしなのに、よくあんなに動けるなとは思っているけど。

流石カヅキおばさんの技術。

王太子でなかったら、弟子入りしたいくらいだ。

 

「私が受け持つクラスの諸君。おはよう。ふぁあ……担任の立花夏月だ。2学年になったからと、腑抜けないように。下に示しがつかんからな」

 

今確実に欠伸した貴女が言うんですか、カヅキおばさん…。

 

そう思うと、僕の方にチョークが飛んできたので、体を傾けて避ける。

僕が避けた事により、後ろの席のクラスメートに当たった。

ごめん、と心の中で謝る。

 

「避けるな、グンジョウ」

「反射神経の訓練ですか、立花先生? それとも、受け止めた方がよろしかったですか?」

 

ニコリと笑ってみせると、舌打ちされた。

何故だろうか。

最近心を読まれる事が多々ある為、あまり深く考えず他愛ない事を考えるようにしているというのに。

 

「グンジョウ、後ろに被害を出さないようにするなら、受け止めた方が良かったんじゃないか?」

「受け止めても良かったけど、威力がわからなかったし。流石に、昏倒するような威力で投げては来ないだろうとは、予想してたけど」

 

シンクがこっそり言ってくるが、僕は肩を竦めて答えた。

後ろを軽く振り向き、ごめんと後ろの席のクラスメートにジェスチャーで謝罪を伝える。

途端風切音がしたので、今度はそれを受け止めた。

身体強化を手に集中させたので、少し痛いだけで済む。

 

「立花先生、流石に周りに被害が出るのでやめていただけませんか?」

「後ろを向いていたお前が悪いだろう」

 

それはそうなんだけど、不意打ち気味で来るのやめてくれないかな、本当に。

受け止めた方の手のひらを見てみると、粉々になった赤のチョークがあって、少しゲンナリする。

 

いくらあまり使わないからって、学校の備品投げつける教師がどこにいるっていうんだ。

ここにいるけど。

 

「よーし、これから体育の授業を始める。お前らグランドに出ろ」

 

確かに一限目は体育となってはいたが、カヅキおばさんって数学教師じゃなかったっけか。

…なんか憂さ晴らしで、やってるような気がしてきたぞー。

 

◆◆◆

 

「グンジョウ、お前何かやった?」

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