my way of life   作:桜舞

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94話『私の彼氏格好良い』

グラウンドに出て、エミル君と一緒に準備運動をする。

先程の事を見て言っているのだろうが、僕はとんと心当たりがない。

なので、首を横に振る。

 

「やるわけないじゃん。この学園内で立花先生に喧嘩売れるのって、実子であるユエとユタカだけでしょ。あとは、みんな怖くて逆らおうともしないじゃん」

 

隣のクラスも合同なので、ユエやユタカ、ツルギも一緒だ。

ツェリだけこの場にいない。

クラス替えで、彼女だけ遠いクラスになってしまった。

僕としてはホッとしたけれど。

 

「だよなー。でも立花先生、めっちゃ機嫌悪くない?」

「それは思う」

 

いったい何があったのだろうか?

訓練が終わった後、母様に何か言われたか?

だからといって、こちらに当たられても困るのだが。

 

「お前ら揃ってるな? 今から私が魔法で作った非殺傷の槍を、体育の時間が終わるまで避け続けてもらう。当たって脱落した者は、終わるまでトラックを周回してろ。魔法を使って防御しても構わん。だが、授業開始残り40分強。耐えられるものなら耐えてみせろ」

 

カヅキおばさんが現れ、そう説明した後トラックの内側に結界を張る。

おばさんの周り四方八方に、槍が浮かび始めた。

 

「では開始」

 

その言葉を合図にして、槍が飛んでくる。

僕は身体強化と魔力の気配で避けるが、隣にいたエミル君が槍と一緒に吹っ飛んだ。

 

「エミル君、大丈夫?」

「だから、俺は文官の出なんだってば! そんな目で見んなエーリ!」

 

少し心配になって声をかけたが、彼は僕など眼中になく、結界から出ながら自分の婚約者であるエーリに対して怒鳴っている。

何も言ってないじゃない、と槍を避けているエーリは答えるが、彼女も槍に当たってしまった。

段々生徒数が減っていき、結局残るのはいつものパーティだけになる。

 

僕やツルギは、いつも通り母様の魔法球を避ける感覚で避けていく。

魔法を多少なりとも使える組は、シールドで防いだり避けたりしながら、おばさんからの攻撃に耐えていた。

 

「ねぇ、グンジョウ! あと何分?!」

「そんなもの自分で見たら?! 見てる余裕あると思う?!」

 

シャナから残り時間を聞かれたから、若干怒鳴って返す。

残りが僕らになった途端、おばさんの槍を射出するスピードが上がったのだ。

流石に避けるだけで精一杯で、時間を見る余裕などない。

しかも一辺倒だった攻撃が、変化球を伴ってくるのだからかなりタチが悪い。

 

「残り10分だぞ、シャナ」

「嘘ぉっ?! あと10分耐えなきゃなんないの?! シンク、なんで余裕そうなの?!」

 

声の方向から、僕は槍を避けながらシンクの所まで後退する。

彼は、飛んでくる槍を瞬間的にシールドで防ぎながら、携帯をいじっていた。

 

「ほんっと…一人だと、楽そうだね…っ、君は!」

「楽ですよー、おにーさま…安心しろよ。残り5分なったら全員にシールド張ってやっから。おら、ツルギ! お前が落ちたらシャナも落ちる事忘れんなよ!」

 

こいつ、ユタカ抱えて余裕そうな顔するな!

あぁ、僕も多少なりとも使えればユエを守れるのに。

 

「アオっ!!」

 

そんな事を考えていたのがいけなかった。

僕に向かってくる槍に気付けず、当たりそうになった所をユエがシールドで防いでくれる。

 

「ごめん、ユエ!」

「いいから、来るよ!」

 

おばさんの槍が僕らに向かってきたので、二手に別れて攻撃を避けた。

シンクの宣言通り、残り5分になってから僕らにシールドが張られ、カンカンとおばさんの槍が当たる音がする。

若干息が上がってた僕は、その場に座り込んだ。

 

「アオ…疲れた…」

「僕も…。あぁ、ユエ。今凄い汗かいてるから、近寄らないで…汗くさいよ、僕」

 

よろよろ寄ってきて、僕に抱きつこうとしたユエを止める。

服の裾で汗を拭うと、はわ、という声が聞こえ、僕は声がした方…ユエの方を見た。

彼女は僕を見、自分の口に手を添え頬を染めている。

 

「はわ?」

「アオ、その動作格好良い…好き…」

 

あのデートの後から、ユエは自分の思ってる事を素直に口へ出す事にしたらしい。

お祖母様の教育を受ける前に戻ったのかと思いきや、ちゃんとスイッチの切り替えは出来るようになったようだ。

 

二人きりの時は僕にベッタリくっついているが、他の人がいる時はこうやって口に出すだけに留めている。

 

「え、これくらいで?」

「アオは何もかも格好良いんだもん。私の彼氏格好良い…王妃様、アオを産んでくれてありがとうございます…!」

 

クラスメートの一部にも、アイドルとかに対して同じ反応をしている人達がいたけど、これ推しに拝んでるってやつじゃないの?

え?

ユエさん、君僕の彼女で婚約者だよね?

 

「ユエ、後で話あるから」

「うん…アオが格好良くて尊すぎる…っ!」

 

まだ言うか。

 

授業終了のチャイムが鳴り、カヅキおばさんが指を鳴らして結界と槍を消した。

そしてシンクの所まで早足で来ると、その頭を思い切り撫でる。

 

「え? 先生?」

「いい判断だ、シンク。魔法の扱いも的確だ。これからも精進しろ?」

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