my way of life   作:桜舞

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95話『シスコンも大概にしようね?』

シンクも僕と同じ身長だから、頭を撫でる為にカヅキおばさんは爪先立ちになっていた。

撫でやすいように、シンクは少し身を屈める。

 

「そりゃどーも。なんならユタカくれても良いんですよ?」

「それとこれとは話が別だ。まったく、その生意気さは誰に似たのやら……いや、ナズナだな」

 

おばさんはシンクの頭を撫でる手を離し、僕の方に来ると、腹を軽く殴ってきた。

予測してそこを身体強化で防御していたのだが、当たっていて良かったと思う。

 

これが頭だったら昏倒していた可能性があるからだ。

 

僕は軽く痛いだけで済んだが、おばさんは表情を変えず殴った手を振っていた。

おばさん自身も、まさか僕が防御しているとは思わなかったのだろう、予想外過ぎて痛かったんだなとその素振りで気付く。

 

「ちっ…そこの判断は早いな、グンジョウ。だが、攻撃を受けている最中考え事をしていたな? 余程死にたいと見える」

 

ギロリと先程の痛みも加えて、おばさんは物凄く僕を睨みつけてくる。

なら、頭の方を叩けばよかったのではないだろうか、と僕はチラリと考えてしまった。

途端、臀部に衝撃が来て、僕は前のめりに倒れそうになる。

見れば、カヅキおばさんが片足をあげていたのでそこを蹴られたのだろう。

 

「すみません。次からは気を付けます」

 

臀部をさすりながら、僕は謝罪する。

 

授業中に考え事をしていたのは事実だし、これが授業でも訓練でもなく、本当の戦闘だったら命を落としていた。

そこは僕の落ち度だと思い、素直におばさんに謝罪する。

 

ふん、と鼻を鳴らしたおばさんは、踵を返してトラック周辺でへばっているクラスメートに声をかけた。

 

「次は座学だぞ、お前ら。さっさと着替えて教室に戻れ」

 

抗議やだるさといった声が上がるが、おばさんは無視して校舎に戻っていく。

 

「アオ、お昼一緒に食べようね」

「そうだね」

 

いつも彼女の手製を頂いているので、今日はなんだろうと楽しみに思っていたのだが、そんな僕を見てユエは申し訳なさそうな顔をした。

 

「…どうかした?」

「ごめんね、アオ。今日、寝坊しそうになっちゃって。お昼ご飯のお弁当、作れてないんだ…」

 

シュンと落ち込んでしまったユエを見て、僕がそれで怒ったり、ガッカリするんだろう、とか思っていたんだなと察する。

大丈夫だよと伝えるために、僕は彼女の頭を撫でる。

 

「いつも作ってもらってて、悪いなって思ってたんだ。今日は食堂に行こうか。ユエの好きなもの、僕に奢らせてくれる?」

「…別に、好きでやってるからそう思わなくてもいいんだけど。うん…お願いします」

 

ニコリと笑って僕を見上げるユエに、僕も笑いかけた。

 

◆◆◆

 

お昼休みになり、僕とユエは食堂に向かう。

何故か他のメンバーも付いてきて、僕は背後を見た。

 

「いつも別々なのに、なんで今日に限って…」

「別にいーじゃん。俺達だって、飯食わなきゃ死んじまうんだし」

 

ニヤニヤ笑いながらシンクは言うが、人間は一週間食事を取らなくても死なない。

水は取らなければ死んでしまうが。

それくらいわかっているだろうにと、僕は彼を軽く睨む。

 

「ごめんね、グンちゃん。私も寝坊しちゃって…」

 

手を合わせて謝ってくるユタカに、僕は首を傾げた。

 

「ユタカも? 二人して珍しいね。どうかしたの?」

 

ユエだけではなく、ユタカもなんて。

僕は物珍しさで、二人に尋ねる。

 

「いや、その…」

「まだ内緒」

 

僕の問いにしどろもどろになったユタカの口を塞ぎ、ユエはニコリと笑った。

何か隠し事しているなと気付いた僕は、ユエの手をとる。

 

「ユエ?」

「リンクは繋がないからね、アオ?」

 

僕の手を握りながら微笑む彼女は可愛いが、僕が魔力少なくて読心術が使えない事を知っての言葉に、少しムッとした。

だが、僕は続いてシンクを見る。

彼は僕とは目を合わせないよう、顔を背けていた。

 

「シンク?」

「分かってても言わないのが優しさってもんだと思うぜ? グンジョウ。あんまりしつこいと、ユエに嫌われるかもな?」

 

こいつ、やっぱり僕だから突かれたら痛い所を理解しているのか。

ユエの事を出されたら、諦めざるを得ないではないか。

 

僕はため息をついて踵を返し、シャナに抱きつく。

ツルギがギョッとしているが、ツルギ以外は毎度の事だと理解しているようで、あまり気にしていないようだ。

だが、僕がシャナに抱きついた事によって、一行の足が止まる。

 

「シャナー…」

「はいはい。拗ねてないで、もうちょっと大人になろうねグンジョウ? お昼休み短いんだから、早く行こうよ」

 

僕の背をポンポン叩いて、シャナは苦笑しているようだった。

そして僕は、思い切り後方に引っ張られる。

その前に足音が僕に近づいてきていたのを聞いていたので、シャナに回していた腕の力を抜いていた。

 

「アオ? シスコンも大概にしようね?」

「隠し事を教えてくれたら、しなくても済んだと思わない?」

 

思わない、と僕を引っ張ったユエが笑いながら言うが、気配が滅茶苦茶怒っている。

あーあ、とユタカが呆れたようにユエを見ていた。

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