my way of life   作:桜舞

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97話『僕も男なんだよ?』

とりあえずその場は解放してもらい、昼食を彼女と取り、午後の授業に臨む。

その日の放課後、僕とユエは生徒指導室に連れて行かれ、反省文を書かされた。

 

◆◆◆

 

やっと寮の部屋に帰宅出来たのは、午後7時を回ってからだった。

ユエを送ってから帰宅した僕は、鍵穴に鍵を差し込む。

カチャンと音がしてドアノブを回すと、扉が開いた。

 

「ただいまー…」

 

シャナはちゃんと鍵をかけていたようだ。

 

僕と一緒に部屋にいない時は、玄関に鍵をかけるよう母様から言い聞かせられていたもんなぁ…。

 

この寮の部屋に決まった時に、寮の管理人から鍵を一つだけもらった。

それを母様は複製して、僕とシャナに一つずつ持たせたのだ。

 

やってはいけない事なのではないか、と尋ねたが、バレなきゃ良いし、バレてもその鍵を跡形もなく無くせば、問題はないと笑っていたっけ。

 

「おかえりー」

「よ、邪魔してるぜ」

 

夕飯を作っているシャナはともかく、何故ここにシンクとツルギがいるのか。

そして当たり前のように、ユタカもいる。

ツルギは申し訳なさそうに、シャナの手伝いをしながら僕に対して会釈した。

 

「…シャナ?」

「なんで僕がいない間に、3人を上げてるんだって言いたいんでしょ? シンクは身内だし、ツルギ君はあたしの専属護衛じゃん。ユタカちゃんは同性だし。なんか問題ある?」

 

生姜の甘辛い匂いが鼻腔をくすぐる。

今日は生姜焼きのようだ。

じゃなくて。

 

「言いたい事はその通りなんだけど。何? 何かあったわけ?」

「あったんだな、これが」

 

床に座布団を敷いて、シンクはユタカに勉強を教えているようだ。

彼はこちらを見ずに言うので、僕は首を傾げる他ない。

 

「……シャナ」

「六人分の食事がー、とか言いたいんなら、もう作ってるからユエちゃんも呼びなよ」

 

流石僕の姉で、半身である。

僕の言いたい事を理解してくれて、本当に助かるよ。

 

ユエに連絡をしようと携帯を取り出した瞬間、それが鳴った。

かけてきた人物を見ると彼女だったので、僕は携帯を通話状態にする。

 

「はい、もしも…」

『アオ! ユタカ知らない?! 帰ってきたらどこにも姿がなくて…!』

 

スピーカーにしなくても、ユエのよく通る声は周りに聞こえ、それを聞いたユタカは苦笑いをした。

 

焦ってる妹に対して、それは無いんじゃないかなユタカ…。

 

「ユタカ、書き置き残して来なかったの? それかなんでユエにメッセージ飛ばさなかったの」

『ユタカそっちいるの? え、なんで? シャナちゃんに何か用だったの?』

 

なんでなのかは僕が聞きたいし、ユタカだけではなく、ユエ以外の全員がここに揃っている。

僕はその旨を伝え、迎えに行くから待っているように言ってから通話を切った。

 

「普通に来て貰えばいいじゃん」

「寮の中とはいえ、何かあったら大変だろ」

 

ユエの身も心配ではあるが、ユエを襲おうとした相手が手酷い目に遭う心配もある。

ユエはあの立花家の娘だ。

そう簡単に僕以外の男に組み敷かれると思ってはいないが、彼女はおばさんから教えられているはずだ。

 

不埒な輩には、死ぬよりも惨たらしい制裁を、と。

 

多分、母様のアレが原因なのだろうな、と推測は出来る。

自分に無体を働こうとする異性を、蹴散らすための体術やら魔術やらを彼女達に教えるのも良いだろう。

 

それが僕に振るわれない事を祈るばかりである。

多分、ないと思うのだけど。

 

ユエの部屋の前に着き、僕は彼女の携帯にメッセージを送る。

すぐさまパタパタと足音が聞こえ、扉が開かれた。

ユエはもう着替えていたようで、紺色のルームウェアを着て出て来た。

のだが。

 

「アオ? なんで着替えてないの?」

「…うん、それは後で説明するとして。ユエ? ちょっと不用心すぎないかな。これ、僕が捕えられてて、僕の携帯で別の奴が君を呼び出してたら、どうするつもりだったの? せめて、ドアチェーンはかけておこう?」

 

あと、僕が押し入る可能性も無きにしも非ずなので、本当に警戒心を抱いてほしい。

 

僕にそう言われて、ユエは首を傾げていた。

どうしてと言いたそうだ。

 

僕はため息をついて、影に向かって言う。

 

「実演するだけなんで、本当にやるわけじゃありませんから。というか、彼女に少し危機感抱かせてくださいよ、おばさん」

 

何も反応はなかったが、聞こえてはいるだろうと思った僕は、ユエの方を見る。

 

不思議そうに僕を見ていたユエの手を取り、彼女の部屋の中に押し入った。

そのままユエを壁に押し付け、手を上へ一纏めにする。

 

「…アオ?」

「あのね、ユエ。僕も男なんだよ? 君を手篭めにする事も出来るし、乱暴だって働ける。怖がられたりしたら嫌なだけで、それさえなければ、君を組み敷く事だって出来るんだ。少しは僕に危機感持って? 優しいからっていう理由は、通じないからね」

 

彼女の胸の中心を、指で突く。

ピクっとユエの肩が跳ね上がり、少し頬が赤く染まった。

 

「わ、私は…」

「立花家の娘だからと、そんな言い訳をするつもりはないよな、ユエ? 僕以外の男には、乱暴をされる前に撃退するとか、ふざけた事抜かさないよな?」

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