ル・フェイ・オラトリア   作:わたーめ

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第一章  彼の地は
転星


 

いつからだろう、現実では無く、物語の中へ入りたいと夢想し始めたのは。

初めてRPGのゲームをした時だろうか、

物心ついた時には見ていたアニメや漫画のせいだろうか、

中高生の時に出会った、アニメの続きが気になったラノベのせいか、

二十代が終わり、三十路に入った言うのに、憧れの世界に想いを馳せる自分が酷く滑稽に思えて

だけど、心の深い所では気が狂いそうな程に切望してしまう。

 

読み終わった『ダンまち』の最新巻を机の上に置いて、情景を強く想起させる。

襲い来る日常のあれやこれやを必死に追い出して、

お気に入りのダンまちの二次創作の続きは、本編の続きはいつだっかと考えつつ。

 

もしも・・・もしも『あの世界』へと向かえるならば、自分は何を対価にすれば行けるのだろうか。

妄想の中ぐらいはもっと我儘にすれば良いかと体育座りしつつ頭を膝に強く押し付ければ、妄想のオラリアが浮かび、目を強く押した影響か、キラキラと疲れ目が星空の様な残光を浮かび上がらせる。

 

オッサンが何してんだと自分に皮肉が込み上げるが、

折角なので妄想の設定を固めんとする。

 

まずは見た目。

正直FGOのモルガン一択。でも両性具有で。

あと、エルフ好きなのでハイエルフ希望。

能力は、魔力ぶっぱのとんでも魔法使いが理想だから、

ギルの王の財宝(ゲートオブ・バビロン)とは行かなくても、類似した能力が欲しい。レベル上がる毎に作れる?取り出せる?物が増える感じで。あれは男の子のロマンですから・・・

精霊の愛子的なポジションもええな!なんか魔力あがりそうやし!

魔法はとりま癒やし的なやつや!怪我も病気も呪いも瘴気もなんでもぶち殺すのがええな!

んー、後は最終的にロンゴミニアド出来る魔法?宝具?が良いなぁ。

あ、超短文詠唱はいらないです。あれは浪漫が足りない。

並行詠唱やら高速詠唱がカッコいいのであって、短文なら無詠唱でええやんって思うんですよね。おほほ。

 

あ、ベルは普通に好きなんで。主人公は別腹よ。

 

てかあれじゃね?このとんでも魔法さ、俺エルフ設定だからレフィーヤ使える様になるくね?軽く世界壊れちゃね?

でも神様やらモンスターいっぱいおるし、星?の強度が違うんだろうしかまへんか!

 

転生時期は、アストレアファミリア絶対助けたいし、アルフィアも助けたいから、強くなる為にリヴァイアサン討伐に参加出来るくらいがいいなぁ。

 

 

頭の中でチートモルガンにて原作悲劇達をメタメタにしつつ、程良い眠気の中ソファに横たわる。

明日もアラームで起きて仕事。

その前に風呂も・・・でもちょっと頭痛いし、世界がぐわんぐわん

瞼の裏の星々もプラネタリウムみたいにぐわしゃーとすんごい勢いで回転してらっしゃる。

なかなかのバットなコンディションや!と空元気をしながら、意識は闇の中へ落ちていく。

 

 

 

 

 

何よりも大切な

数多の異世界へと想いを馳せる、情景を灯し、燃やし続けた情熱と妄執、

必死にかき集めた夢を薪に焚べながら。

一人の人間は淡い燐光を残しながら、部屋から消失した。

 

 

 

 

 

 

 

さあさあと、小雨が降り注ぐ

夜空には満天の星々が細やかに、強かなに自己主張を告げる

『何万年も昔の光』なのに、どうしてこんなにも引かれる光を放つのか。

 

この泉で『物心』ついた時から、幾度この星々が巡ったのだろうか。

雨に濡れぬ様、寝床とした大木の虚で、少しちくちくとする柔らかい草を感じながら、私は泉に写し出された星空を眺める。

 

私はこの虚の中で目覚めた。

いつのまにか集まっていた淡く日からぽわぽわ達が、『親愛』を伝えてくるのを何故かわからないけど、理解していた。

喉が乾けば泉の水を飲み、お腹が空いたと思っていると、泉の周囲の森から大きな白い奴が果実やら実を加えて運んでくれた。

感謝はしているが、水浴びをする度にこちらをじって見てくるので実は嫌いだ。なんだかそれは『いけない』事だと思う。

 

雨音を聞きながら、私は泉を眺める

明日もきっと同じ毎日が来るのだろう。

 

起きて、ぽわぽわと小さいふわふわした生き物と戯れ、実を食べ、眠る

これはきっと『しあわせ』な事なのだと、どこからか知らないけど、『わかる』

 

でも、

どうしてこの胸は時折締め付ける様に痛むのだろう

『皆』共にいて暖めてくれるのに、この『気持ち』はなんなのだろう

どうして、この泉を離れろとこの胸は鼓動を強く鳴らすのだろう

どうして、どうして、どうして

 

 

私はこの泉から、離れられないのだろうか。

 

幾度か、散策しようと森をひたすら真っ直ぐ歩いた事がある。

ある程度歩くと、深い霧が溢れ、気がついたら泉に戻っている。

そんな事を何度も繰り返してるうちに、泉から離れられない事を理解した。

 

明日も同じ様に私は考えて、ずっと過ごすのだろうか。

最初から虚の中にあった『首飾り』を握りしめて、両膝に頭を強く押し付けると、暗闇の中、ずっと見ていた星々が浮かびあがり、胸が締め付けられ、眼から『なにか』が溢れだす。

 

私は・・・この身はいったい・・・いったい何を

 

『失ったと言うのだろうか』

 

胸の痛みを感じながら、このまま寝ようと横になった時、私は初めて『異常』を感知した。

 

土を踏む足音が二つ・・・四つ・・・?

あの大きな白いのが夜に来るのは初めてだ・・・

 

かさかさ、がさがさ

遠くになにか音がする

 

「ーーーーーとは。ーーきーーーろ。」

 

「わーーーーー、まー。」

 

「わーーーーーーーー!!!」

 

どんどん近づく、胸がばくばくと煩い。でも身体は動かない。

これは一体なんなのだろう、どこかに行かなくては?動いてはダメ?

わからない、わからない。どうすればーー

 

 

「リヴェリア、ええ感じの気が生えたらでー!!」

 

「ロキ、そう急ぐな。モンスターが居る可能性もあるんだぞ?幾ら精霊の結界とは言えこの世に絶対等ない。」

 

「せやかてー、微精霊がこんなにいるなんて王森並みなんやろ?」

 

「それはそうだが・・・」

 

「ほい!とーちゃく!とりま!あまやど・・・・」

 

「どうした!?ロキ!!」

 

 

私の目の前にそれは現れた。

 

薄く細いが全体的に美しいと感じる緋色の髪の『誰か』

翠色をした綺麗で、『あたたかさ』を感じる『私と同じ耳』の『誰か』

 

それらと私の瞳が混じり合った。

 

 

どうしよう、どうしよう。

私は、私は・・・っ!?

 

 

「きゃんわええええええ!!!!!うおおおおおおお!!!!下界最高おおおおおおおおおおおおん!!」

 

「まさか、この気配・・・この無条件に感じる親愛は・・・愛子か!?それも最上・・・いや、原初・・・まさか、そんな・・・」

 

「ほわああああ!!!ぜったい連れてかえる!ワシがまもる!いや守護る!はい決めましたー!!天地神明いや、ワシが神やろがい!!」

 

「っ!?ロキ!!この子が怖がっているだろう!まずは事情を聞かねばならん!・・・・君、言葉はわかるか?」

 

何故か荒ぶってはあはあと息を吐く緋色の人に『何か』を感じながら、翠髪の人がそっと手を差し出して来た。

 

私は・・・いや、身体が勝手に動き、その手を掴む。

『つめたくて、あつくて、あったかくて、胸がぽかぽか』する。

自然に私の口が開き、音を、、、声を出した。

 

「わたしは、ずっといずみにいました。あなたたちはなんですか?」

 

あまり意味もわからないけど、こう『言えば』よいと思った。

 

「あぁ、すまない、私はリヴェリア。リヴェリア・リヨス・アールブ。今回はセオロに霧の迷い森が現れたと依頼があり、オラリアより調査しに来たんだ。」

 

「おら・・・りお?りえりあ?せおろ?」

 

「ふむ、これは・・・」

 

リヴェリアと名乗る人が繋いだ手をそのままに、反対の手で口に手を当てながら考え込むと、隣の緋色の人がなぜかスッキリとした顔で近づいて来た。

 

「なんとなくやけど事情はわかったで。気がついたらここに居て、初めて人と会った。恐らく手がかりはその握りしめてる首飾り。ちょいと見せてくれへんか?」

 

すっと差し出されたその手に、おっかなびっくりに首飾りを手渡す。

 

「読めんな。古代語か?リヴェリアは読めんか?」

 

「ふむ、見た事の無い紋章と・・・古代エルフ語か、掠れていて所々読めんな、いや・・・ル・フェイ?」

 

「なるほどな、よし!じゃあこの子はセツナたんや!この儚い見た目!決定やろ!!」

 

「ロキ!しかし彼女は!!」

 

「いや。もう無理や。ギルドにこの森が認知されてる。闇派閥(イヴィルス)なんかに見つかったら目もあてられん。それにこの容姿と精霊の愛子。ハイエルフ確定しかもそのなかでも超激レア。わかりきってるやろ?」

 

「それはそうだが・・・君は・・・セツナ、君は良いのか?」

 

 

二人に問われる

正直、わからない、何を言っているのか、私はわからない。

だけど、先程聞いた『オラリオ』

そして二人から感じる『あたたかさ』

わからないけど、私はここから『出ていかなきゃ』ならない。

胸が早く早くと騒ぎたてる

身体が熱く動け動けと落ち着かない

うん。きっと『このため』に『待ってたんだ』

 

「ん、いく。わたしをつれていってくださいっ」

 

「ほな!決まりや!とりま背中出してくれんか?」

 

「んっ!」

 

 

 

 

ベヒーモス討伐により沸き立つオラリオが落ち着きを見せた時に、ギルドよりロキ・ファミリアよりクエストが発行された。

理由については『エルフの森に深い知識を要する』と合った為、リヴェリアとロキは二人でギルドのまとめ役たる肥満の目立つエルフ、ロイマンに詳細を聞いた。

 

曰く、里の守りと類似する迷いの霧が立ち込めている

曰く、エルフ達に依頼するも、どの合言葉、迷いを晴らす呪文もスキルもダメ

曰く、もう頼れるのはオラリオに唯一居る王族たるリヴェリアしか頼れない

 

些か怪しさを感じつつも、その霧はオラリオ近郊のセオロ密林に突如出現。最初は他国の攻撃かと疑われたが、半年経つも何も起きず。

闇派閥が霧の森に対して不穏な動きを見せつつある為、早急に調べて欲しいと。

 

ホームである黄昏の館にてロキが「なにがあってと受けるで。ウチのカンがすんごい勢いで行けってゆーとる。フィン、ガレスは護衛な。霧の解析はリヴェリアにまかせるわ」

有無を言わさずそく出発となり、珍しくフィンも文句を言わずにロキに従っていた。なんでも「反対意見を言おうと思考したら親指が折れると錯覚する程傷んだ」と言っていた。

 

三人と一柱が霧の森に辿り着き、フィンとガレスが周囲の警戒を。

リヴェリアが結界を調べ、夜の帳が下りた頃に、森の中へと侵入に成功。

清らかな気配を感じると口走ったのがロキの耳に入り、無理やりと神が我先にと侵入。

 

小雨が降り始める中、泉が現れ、大木の虚に向かうと『ソレ』は居た。

 

輝く銀糸、細い四肢、清らかな薄い蒼を宿す瞳、長い耳

溢れ出る親愛と守護欲が胸の奥から沸き立つ

衣服はどこぞの民族衣装なのか黒を基調にさ所々蒼く、腹の部分は透けている

歳の頃はエルフ、ハイエルフとしても10にも満たぬ7.8歳程

唯一の所持品である首飾りにはリヴェリアの記憶するどの氏族の紋章とも合わず、ロキが小声で古代氏族のどっかが時渡の秘術とかで送り出したか守ったか。出会った時にはその愛らしさに狂喜乱舞しつつ急に聡明ななるあたり、天界の詐欺師(トリックスター)は健在。

 

強い意志でついていく事を了承したセツナに、ロキが恩恵(ファルナ)を授け、「こんな事もあろうかと」とか言い出して折りたたんで居た羊皮紙をセツナの背中に押し当て、写しを取り出し、二人を息を呑んだ。

 

■ ■ ■

 

セツナ・ル・フェイ

Lv.1

力: I 0

耐久: I 0

器用: I 0

敏捷: I 0

魔力: I 0

 

■発展アビリティ

神秘:I

 

■魔法

空きスロット6

 

■スキル

 

精霊の愛子(せいれいのいとしご)

・魔力成長に高補正

・魔法発現率超高補正

・精霊種からの好感に超高補正

 

幻想創造(ファンタズム・メイカー)

・魂に記憶されし道具の創造権

・レベルにより創造権の拡大

・魔力消費による射出と回収

・発展アビリティ神秘の獲得

 

魔力放出

・魔力消費による身体能力の向上

 

 

■ ■ ■

 

 

「はわぁ、すんごいチートぉ」

 

「これは、すさまじいな」

 

「・・・・?」

 

不思議そうに佇むセツナ

ロキと視線を合わせ、頷きあう

 

「リヴェリア、とりま」

 

「あぁ、ロキ」

 

「「すぐに帰って会議(やで)!!」」

 

「?????」

 

 

セツナと共に泉を離れ、霧を抜けると、蜃気楼の様に霧の森は跡形もなく消え去り、元の密林へと姿を変えた。

恐らくセツナが離れるまでの魔法と判断し、野営の準備をするフィンとガレスにセツナのステイタスを見せつけ、冷や汗を流しつつも最大限に警戒しつつ、私達はセツナを連れてオラリオへの帰還を果たすのであった。

 

 

 

 

 

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