「第15回!セツナたん保護者会をはじめるでー!!」
細目貧乳関西弁の一柱が拳を上げ、高らかに宣言する。
金髪小人(パルゥム)のフィン・ディムナ レベル3
厳つい巌の土人(ドワーフ)のガレス・ランドロック レベル3
流麗なる貴人王族たるハイエルフのリヴェリア・リヨス・アールブ レベル3
主神以外の男性二人は幾分か疲れたため息を吐き、ハイエルフは静かに瞳を閉じて居る。
「なんやあ?皆んなはセツナたんの重要度わかってないんか?」
「いや、そうは言うけどロキ、こう毎日同じ事をしても意味ないんじゃないかな?」
「フィン、わかっとらんなぁ。セツナたんは1日1日成長しとるんやで?このかんわいい時間はすぐに過ぎ去ってしまうねんで?お?お?」
「可愛さは認めている。今朝朝食時に飲み物を運んでくれてね、それはそれは目の保養になったさ。しかし、基本方針は既に決めて居るし、しばらくは『様子見』で良いと言ったのはロキ自身じゃなかったかい?」
「ちっ!」
「神ともあろうものがそんな簡単に舌打ちしないで欲しいな・・・」
少し疲れた顔でフィンはぼやき、少しばかりの沈黙を感じ、リヴェリアがまとめる。
「現在調査中ではあるが、セツナの出自については恐らく古代ハイエルフで間違いは無いだろう。恐らく滅んだ氏族ではあるが、愛子たるエルフは精霊の血が濃い。残った大精霊も少ない中、その希少価値は計り知れん。今は気づかれては居ないが、ファミリア所属のエルフ達が『なぜだろう、崇めなきゃいけない気がする。そんな事より尊いので守護しなきゃ・・・』等と呟くのを多くの団員が目撃している。信用の出来る物達にはそれとなく伝えたほうが良いだろう。
常識や基礎知識が乏しいのはすぐに理解したが、セツナは水を吸い込むスポンジのごとく教えた事を吸収している。実に頭の出来が良く、教えてもいないが礼節がしっかりしている印象がある。
スキルに関しては幻想創造は今の所魔力で形作った剣を射出可能。効果は薄いがポーションが作れる事は確認出来ている。魔力放出と合わせ、後衛として敏捷と魔力を基本に訓練中だ。詳しいステイタスはロキに聞け。
情報封鎖が功をあげたか今の所セツナを狙う闇派閥はないと見える。」
一息に、そして早口で告げると、リヴェリアは足早に会議室を去って行った。
「なんじゃ、あやつ。そんな急いで、このところ早口でまとめてすぐに出ていくな?」
「心配なのさ、ガレス」
「ほお、そんなものか」
「そんなものさ、母親は」
くつくつと男達が笑い合いながら、気に掛かった事をフィンがロキへと問う。
「ロキ、セツナのステイタスの上昇は?魔法は発現したかい?」
「ん〜伸び率は普通のレベル1と変わらん・・・いや魔力だけとんでもなく伸びとるわ。もうFはいっとるで。魔法はまだやな。ママが言うには魔法の知識がなーんもないのが原因らしいで?普通のエルフは森で学ぶからレベル1の時から覚えるらしいけどな。あと家族への抱っこ攻撃が最近のお気に入りや。」
「なるほど、了解した。では、次の探索時はどう考えている?」
「んー、せやなぁ、向こうの返答次第やけど、最良がアストレア。次点でヘラんとこ。補欠がガネーシャで最悪論外ゴミカスうんこがゼウスんとこや。」
「ずいぶん都市最強派閥を貶すけども、僕も概ね賛成だ。アストレアにはもう伝えたのかい?」
「手紙はもう出した。早ければ今日挨拶にくるで?エルフ連れて」
「今日かい?そしてエルフ?」
「なんやセツナたんは無条件に精霊や妖精に好かれるタチみたいでな?エルフは妖精入っとるし、元を辿れば精霊やから本能的にハイエルフの王族を敬い、守り、忠誠を誓うらしーで?個々人で程度の差はあるらしーけどな、試してみるのも一興やろ?」
「たしかにね。レベルは?」
「んー確かアストレアんとこは大体が2か1。団長が3やったか?」
「紅の正花(スカーレット・ハーネル)だね。僕らもウカウカしてられない。暫く準備期間らしいが、リヴァイアサンの攻略をゼウス、ヘラが計画しているらしい。ベヒーモスでは後方支援だったが、僕らもレベルを上げてリヴァイアサンでは少なからず戦果を上げたいと思っている。」
「ウチもレベル上げは賛成や。なら、とりあえずダンジョンアタックに関してはアストレアんとこと足並み揃えて交代交代がええな、なんや都市の秩序維持ゆーて色々してるみたいやし、ちょうどええやろ。セツナたんの可愛さでイチコロや。改宗(コンバージョン)は何が起きてもせーへんけど。」
「あぁ、僕の夢の為にも、僕らは力をつけなくてはならない。弱いままでは大切な物を守れない。セツナに恥じない家族でありたい。そうだろう?ガレス」
「異議無し。」
「よし!会議終わり!閉廷!セツナたあーんんん!!!」
話し合いが終わるや否やセツナの元はダッシュする主神にため息が出るが、後で様子を見に行こうと思って居たので人の事を言えないかとフィンは己を少し恥じた。
ファミリアの運営についての書類を幾つか眺め、次の探索に想いを馳せるのであった。
◆
目に入る物全てが真新しかった。
都市に着いた時の人、人、人。
到着時は夜の為少ないと言われ、日中はもっと沢山居ると教えられた時の衝撃はすごいものがあった。
連れられて来た館にて過ごす中、リヴェリアより沢山の知識を得た。
文字、神、この地の成り立ち、人、エルフ、ドワーフ、獣人、
魔法、スキル、ファミリア、正と邪。
そして 『ダンジョン』
人々を襲うモンスターの巣窟であり起点。
あれなるは神々が求める未知。
様々な事を学ぶ中で、私は『大切』を決めた。
一番は心がぽかぽかする『仲間、家族、友人』
二番はわくわくする『魔法、スキル、ダンジョン』
三番以降はまだ探し中である。
そして今私の心を占めているのは、朝食後のこの時間。
所謂二度寝だ。
リヴェリアにはだらしないから辞めなさいと言われてしまうが、この館に住む様になってからこのリヴェリアの匂いがするベットが何よりもお気に入りである。次点でお風呂なのだが、最初に入った時にリヴェリアは驚いてた。なにか「両方・・・あるのか・・・」とか呟いてたけど、真剣な顔で私は女の子だと言われた。それと絶対に私以外とは風呂に入らない事を約束した。
ここに居るとふわふわと気持ち良くすやぁ・・・と眠る事が出来るのだ!
しかしこの幸せの時間は短い。
だってそろそろ・・・
「セツナ!起きなさい!!」
「むー・・・あとごはくむいか!」
「そんなに寝ては魔法は覚えられんぞ?」
「ふぐぐぐ・・・うー!にゃあ!」
魔法は覚えたい!リヴェリアの魔法を見せて貰った時から、『憧れ』がすごく胸をドキドキさせる。
この抗い難きふわふわを泣く泣く諦め、せめてもの抵抗にリヴェリアに抱きつく。わがままを言えばなんだかんだ抱っこしてくれる事を私は学んだのだ!
「はぁ、歳相応なのかセツナの甘えん坊は凄まじい。並の者ではエルフヒューム問わず陥落するのが目に見えて居る。果たして神アストレア達は持ち堪える事が出来るのだろうか・・・」
「むふふふ」
何か聞こえるが、私は長い耳をピカピカ動かしながらリヴェリアの胸に顔を押し付け、ふかふかでふわふわになりつつ訓練所まで運ばれる。
途中ファミリアの人達が「っ!?尊い!?あっ鼻血が・・・」等何故か四つん這いで悶えてる人が何人か居たけど、あれはなんだったんだろう。
黄昏の館に来てからちょこちょこ見る。エルフが多めだ。実にふしぎだ。
辿り着いた場所で降ろされ、今日も訓練を開始する。
私が今出来るのは、幻想創造(ファンタズム・メーカー)と魔力放出
スキルに意識を向けると、頭の中に作製できる物が思い浮かび、出来そうなのが剣、槍、なんかしょぼそうな赤と青のポーションだ。
条件等わからないが、私が欲する物が思い浮かび、強い願いやレベルが上がれば作れる物が増えるだろうとリヴェリアが教えてくれた。
作製した武器やアイテムは私が創造した物ならば収納可能で、頭の中にあれがいつくあると常に意識を向けると理解出来る。
射出にも収納にも魔力を使うので、1日に出来る回数が限られるが、毎日出来る量と回数は増えていて、その度に褒めて貰えて嬉しい。
特にロキ様に伝えるとデレデレに褒めてくれて、胸がふわふわする。
魔力放出は一度限界までやってみろって言われて、眠くなるまで頑張って、起きたら3分でマインドダウンだって言われた。
三日前にやったのでまた時間は伸びてるだろうけど。
魔力放出時の身体能力は、なにもしてない時の4.5倍くらいで、すんごく魔力を込めるともっといけると思う。でも一度魔力を込めすぎて、魔力を溜めた腕から血が出て皆んなが大変だった。痛くて涙が出たけど、皆んなが大慌てで、なんかその後リヴェリアが回復魔法を覚えたとかなんとか言ってた。
基本的に何本か剣と槍を作製して、射出の威力向上と収納速度の訓練
魔力放出状態での運動訓練と、杖術、戦闘時の立ち回りの確認をして、
魔力を使って眠くなる手前くらいに休憩して、ご飯食べて、お勉強して、晩御飯とお風呂。最後にステイタスの更新をおやすみなさいが1日の流れだ。
近々リヴェリア達は探索しにダンジョンに向かうらしい。
目標は27階層のアンフィスバエナ討伐と言って居たのを覚えてる。
ダンジョンについて聞いているので、階層主討伐と無事の帰還を毎日お祈りしている。
泉に居た白い大きいのはユニコーンって魔物らしくて、ついては来れなかったけど、ぽわぽわ今でも沢山居る。
リヴェリアが言うには微精霊と言うものらしく、基本的にエルフの森に多く居るらしいがその他の地にもそれなりに居る。
私の周りには特別集まりやすく、『すき』とか『親愛』とかなんとなーく暖かい感情を伝えてくれる。最近はなにもしなくても集まる微精霊達に、フィンとガレスとリヴェリアを守って!とお願いしている。
一番集まるのがリヴェリアのとこで、次にガレスでフィンが一番集まりが悪い。
それを伝えるとなんか三人が言い合ってたけど、気にしない事にしている。
ロキが言うにはスキル一歩か二歩手前くらいの加護が付くようなもん、らしい。
◆
今日もお昼を食べて、お勉強だーって思って居た時に、知らない人達が二人お部屋にやって来た。
胡桃色の髪をした綺麗な人が神アストレア様
お付きの金髪のエルフの人がリュー・リオンさん
挨拶を終えると、アストレア様が丁寧にお返事をくれて、リューさんが
「いや・・・まさか?リヴェリア様!?」
とあたふたしていて、リヴェリアが私の事を色々と伝えてくれた。
の、だが、私は今非常に困って居る。
身体が全力でこの二人に甘えろ、くっつけと全力で叫んでいる。
何故なのか!?わかんない!でも抗えない!!
椅子から立ち、フラフラとアストレア様に近づき、そっと顔を見上げると、ニコッと笑顔だったので、ふわっと抱きついた。
お日様みたいな匂いでなんだか眠くなっていると、頭を優しく撫でられた。
ひとしきり抱きついて満足したので、私は次の標的に向かった。
リヴェリアはやれやれみたいな事を言っていて、アストレア様がちょっと残念そうにしながら、あらあらってしてて。
リューさんはオロオロしながら、膝を着こうかどうか悩んでいるみたいだったけど、構わず抱きつく。
「はわぁ〜」
「あ、あ、あ、あ、あのセツナ、、、様??」
「大樹の虚に居るみたいやぁー」
「ロキの言葉遣いは辞めなさい、セツナ」
「あーうー」
リューさんのお腹に顔をくっつけながらふがふがしてると、眠気が強くなり、私は希望を口にする。
「抱っこ」
「え!?いや!?セツナ様!?」
「抱っこ!!」
ふふふ、この見上げながらの抱っこ攻撃に耐えた人はまだ居ない。フィンは仕方ないなってしてくれて、ガレスはちょっと何かに耐えてからしてくれる。大体はノータイムでしてくれるけど。
最終兵器お腹ぐりぐりを敢行すると、リューはそっと私を抱き抱えてくれた。
まるで、泉の側にいる様な感じがして、あったかくて、ふわふわして・・・
「すやぁ」
「せせせせせせせ!セツナさまぁーーー!!」
遠くに慌てるリューさんの声が聞こえた。
抱っこガチ勢