売れないアイドルスクール!   作:Lenwin

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第1話

アイドルってさ。

きっと誰もが一度くらいは憧れた事があるんじゃないかな。

ステージに立ってライト浴びて、可愛い衣装を着て可愛くメイクアップしてもらって。

そして大勢の観客が見ている中で、歌やダンスを披露して。

それを見ている観客達は、全員がそのアイドルの事が大好きで。

アイドルの歌とダンスに合わせて、皆一緒にサイリウムなんか振っちゃったりして。

あたしはそれがキラキラ輝いて見えて、ああ、自分だって頑張れば皆のアイドルになれる!絶対なる!なんて意気込んでた。

ちょっと前までは。

 

 

 

今は、と言うと。

うん。まあ認めたくないんだけど・・・

超絶売れてないアイドルやってます!

 

そんなあたしの名前は皆野シホ。

小さい頃から、テレビで見るアイドル達に釘付けだった。いつも真似して一緒に歌ったり踊ったり。

周りからはよく可愛い可愛い言われるし、自惚れかもしれないけれど自分でもルックスやスタイルは悪くないと思ってる。

それで歌やダンスのスクールにも通って、精一杯練習した。体型維持やトレーニングだって頑張った。

もちろん、楽な事ばかりじゃなかったけど、アイドルになる為なら辛いだなんて思わなかった。

そうして、事務所に所属する為に色んな所でオーディションを受けて回ったんだけど、ほぼ落ちてばかり。

あたしならきっと一回で受かる!なんて思っていた自分が情けない。

落ち込むに落ち込んで、とにかくどこでも受けて、ようやく受かった所が、超ドマイナーで名前も全然知られていない小さな事務所だった。

だから当然、仕事なんて来ない。

生活費やレッスン代は、夜勤のバイトで何とかしのいでる状況。

ちなみにこの事務所、一応芸能界とは首の皮一枚で何とか繋がっているみたいなんだけど、詳しい事までは分からない。

 

最初は「売れっ子にしてみせますよ!」なーんて言われて期待してたんだけどなあ。

その気配はまったくナシ。

 

「はあ。」

 

ため息をつきながら、あたしは今、考えてる。

あたしと同じ年、それか年下なのにテレビや雑誌に引っ張りだこにされるアイドルと何が違うのか。

そしてそれを考える度に虚しさや悔しさが込み上げてくる。

自分が手に入れられてないものを、その子達は既に手にしている。

アイドルって人を幸せにする存在のハズなのに。

前はアイドルを見て、あたしも笑顔になったのに。

今は見てしまうと、とても辛い。

 

動画配信とかで名前を知って貰おうにも、再生回数は三桁いけば良いほう。

コメントはついたとしても、やましいものばかり。

 

売れっ子は、やっぱり事務所の力が凄いのかな。

または大きなコネがあったり…

あたしは、そんな物持てなかった。

 

「もうこのまま諦めた方が楽かな」

 

一人で、そんな事を口走る。

憧れだったアイドル。キラキラ輝いてるアイドル。

自分には遠すぎる存在だったんだ。

だって、このままじゃ辛いだけだもん。

それならもう。

 

「?」

 

ふと、床に散らかってるチラシが目に入る。

それを拾い上げ、じっと見た。

 

「全然売れないマイナーアイドル育てます…?」

 

悩んでる子!怖がらずにおーいで♥

 

可愛いフォントでそう書いてあった。

それと、電話番号が載っている。

 

怪しい。どう見ても。

事実、こういう業界は、夢ある若者を騙したりひどい目にあわせたりしようと企む人も後を絶たない。

連絡なんかしたら、変なことさせられるかもしれない、

 

でも。

どの道、あたしはもう死んだようなもの。何も残ってないんだ。

それになぜか、このチラシが気になって頭から離れない。

それなら。

 

 

気が付いたら、その電話番号へとダイヤルしていた。

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